空間魔法って実は凄いんです

真理亜

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作戦

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「セリカさん! 凄い! ファインプレーです!」

「いやぁ、それ程でも~」

 今だけはセリカさんのドヤ顔もウザく感じない。

「ラウムさん、怪我はありませんか?」

「ハッ!? あ、あれ!? ここは!? 私どうなったんだ!?」

 どうやら記憶が少し飛んでるようだ。

「ラウムさん、地竜の攻撃を避け損って危ない所だったんですよ。それをセリカさんが間一髪、瞬間移動で助けたって訳です」

「そうだったのか...ありがとう、セリカ。お前は命の恩人だな」

「どういたしまして~」

「しかし...これでまた戦況は苦しくなりましたね...」

 ステラさんが言う通り、戦線は更に下げられてしまった。私達はかなり後方に居たはずだが、次第に地竜の姿が大きくなって来ている。

 ん? ステラさん? 

「ステラさん、いつの間にか人の姿に戻ってますよ? しかも真っ裸だし」

 私はステラさんにバスタオルを渡しながらそう言った。ちなみにアスカさんは亜空間に収納済みだ。

「あ、すいません。ラウムさんが危ないって思ったら無意識に戻ってました」

「鳥に戻って下さい。まだ飛べますよね?」

「えぇ、問題ありません」

「ラウムさんはいったん休んで下さい」

「忝ない」

「セリカさん、まだ魔力は残ってますか?」

「はい、アスカさんから魔道の杖をお借りしましたんで大丈夫です」

「あぁ、確か魔力が上がる杖でしたっけ?」

「えぇ、ご自分の魔力が尽き掛けなので私に託したんです」

「なるほど。じゃあもう一度くらいなら瞬間移動は可能ですか?」

「はい、大丈夫です。カリナさん、もしかしてなにか作戦を思い付いたりしたんですか?」

「作戦って言う程のもんじゃないんですけどね」

 私は前線に目を向けながらこう思っていた。地竜の硬いウロコに阻まれて攻撃が届かないなら、ウロコに包まれて居ない場所を攻撃してみたらどうか?

 具体的には地竜の腹の部分とか。普通に考えたら地竜の攻撃を躱しながら下に潜り込むなんてまず無理だろう。

 上手く潜り込めたとしても、攻撃した瞬間に地竜は超重量で押し潰しに掛かるだろう。だからヒットアンドアウェイが必須となる。それも素早く行う必要がある。

 そして私達にはそれが実行可能なスキルがある。ただし何度もは使えない。一撃で仕留める必要がある。

「ラウムさんの体調が戻ったら試してみたい作戦があるんです。聞いて貰えますか? セリカさんも」

「分かりました」

「私はもう大丈夫だ。作戦とやらを聞かせくれ」

「それじゃあ説明します。まずセリカさんがラウムさんを連れて、瞬間移動で硬いウロコに包まれていない地竜の腹の下に潜る。次にラウムさんが地竜の急所を一撃で仕留める。そしてまた瞬間移動で離脱する。作戦としては至ってシンプルですが如何でしょうか?」
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