空間魔法って実は凄いんです

これなんてデジャヴ？

「こりゃあ当たりだぜ!　別嬪揃いじゃねぇか!」

「てめえら、大人しくしやがれ!　良い思いさせてやんぜ!」

「身ぐるみ剥いだ後でな!　ゲヒャハハハ!」

　盗賊だった。下卑た嗤いを浮かべながらゲスいことを叫んでいる。10人くらい居るだろうか。これまたセリフまでデジャヴ～

　ちなみにセリカさんは依頼者のお二人を連れてさっさと避難中。またもやデジャヴ～

「アスカ、撃ち漏らしを頼む」

「分かりました」

　短くそれだけを言って、ラウムさんはバスターソードを抜きながら盗賊の群れに突っ込んで行った。この展開もまたまたデジャヴ～

「うおっ!?　こ、この野郎!」

「ギャアアアッ!」

「やっちまえ!　逃がすな!」

　何人かが一瞬で弾き飛ばされて、盗賊の群れは忽ち大混乱になる。何人かは私とアスカさんの方に向かって来た。これでもかっていうくらいデジャヴ～

「吹き飛べ!」

　アスカさんの風の魔法が炸裂する。激しくデジャヴ～

「ギャアアアッ!」

　盗賊共が吹っ飛ばされる。こんな感じで盗賊共はあっという間に壊滅した。

　ちなみに私の出番は全く無かった。

　結局最後までデジャヴ～...って、もうえぇわ!

「なんだか昨日のリプレイを見せられているような気分なんですが...」

「あぁ、全くだな...」

「それじゃあカリナさん、昨日と同じようにお願いしますね...」

「分かりました...」

　私が盗賊共を一人一人亜空間に放り込んでいると、セリカさん達が戻って来た。

「またですか...やっぱり噂通りでしたね...」

「えぇ、カリナさん達に護衛を頼んで正解でした...」

　するとナタリアさんとヒルダさんがそんなことを言うのでちょっと気になった。

「ナタリアさん、ヒルダさん、噂ってなんですか?」

「ここのところ、盗賊の被害に遭っている人が増えているらしいというものです」

「だから私達は信頼のおけるカリナさん達に護衛をお願いしたんです」

「そうなんですか!?　なんでまたそんなことに!?」

「あくまでも噂なんですが、隣国でクーデターが起こって国の内部が乱れたそうなんです。それで食い詰めた人達が我が国に逃げて来て、その人達が盗賊化しているというものです」　

「我が国に逃げて来ても仕事も無いしお金も食料も無い。だから盗賊化するしかなかったんでしょうね。大変なのは分かりますし同情もしますが、だからと言って黙って襲われるなんてゴメンですからね。カリナさん達に護衛を頼んで本当に良かったですよ」

「へ、へぇ...そ、それはまた...」

　その噂が単なる噂じゃなく真実だと知っている私は、ただそう言うしかなかった。