王妃候補に選ばれましたが、全く興味の無い私は野次馬に徹しようと思います

真理亜

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「ねぇ、ちょっと。メチャクチャ腹減ってんだけど? なんかちょうだいよ?」

 疑問に思うことは多々あれど、まずは生理的欲求を満たすことをライラは優先した。

「フハハハッ! なかなかに胆力の据わった女だ! 気に入ったぞ! ルイス、なにか食べ物を与えてやれ」

 それまでやたらテンションが低かったマクシミリアンが、さもおかしそうに笑いながらそう言った。

「...よろしいのですか?」

「構わん。山越えの途中で倒れられたりしたら敵わんからな」

「...分かりました」

 釈然としない感じではあるが、ルイスはマクシミリアンの命に従ってライラに食料を与えた。

 ライラは二日ぶりの食料を貪り食って満足したのか、また眠りに落ちて行った。そんなライラをマクシミリアンは眩しそうにただ見詰めていた。


◇◇◇


「殿下、失礼致します」

 近衛騎士団長が騎士団の詰め所に戻って来た。

「どうだった?」

「はい。マクシミリアン大公の隠れ家の一つに、直前まで誰かが居た痕跡は発見できました」

「ということは一歩遅かったのか...」

「はい...残念ながら...我々が踏み込んだ時にはもぬけの殻でした...」

「そうか...」

 ミハエルは目を伏せた。

「ただ、朗報もあります。隠れ家の一つにマクシミリアン大公の奥方様とお子様方達がおられました」

「そうか。保護したんだな?」

「はい」

「くれぐれも丁重に扱えよ? 奥方はともかく、子供達に罪は無いのだから」

「心得ております」

「奥方の尋問はこれからなんだな?」

 ミハエルは自分が尋問を担当しようと腰を浮かせた。

「はい...それがその...」

 急に近衛騎士団長の歯切れが悪くなった。

「どうした?」

「尋問は国王陛下が直々に行うとの仰せでして...」

「なんだって!? 父上が!?」

 ミハエルは思わず、父のことを陛下付きで呼ぶのを忘れるくらいにビックリした。

「はい...国の重大事に関わることなので他の者には任せられないと...」

「それは分かるが...国王自らが尋問を行うなんて前代未聞だぞ...」

「おっしゃる通りでございますな...」

「...取り敢えず了解した...我々は我々で出来ることをやろう。国境の検問所の閉鎖は完了したか?」

「はい、猫の子一匹だって通しません」

「結構。あ、それとマクシミリアン大公の隠れ家は全てあたったのか?」

「はい、こちらが把握しているものは全て」

「となると、後は...近衛騎士団長、そちらで把握している密入国のルートはあるか?」

「あることはありますが...非常に危険なルートですのでまず選ばないかと...死にたいなら話は別ですが...」

「構わん。そのルートを教えてくれ」
 
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