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「あの...いつまでやってますの?」

 ドロシーが呆れ気味にそう言った。

「とっくに5分経ったような...」

 ミシェルは懐中時計を取り出した。

「あぁ、すいません。ちょっと時間が過ぎてしまいましたね。ミハエル殿下、ライラさん、お疲れ様でした。席にお戻り下さい」

 ファリスはシレッとそう言った。

「それは残念」

 ミハエルは名残惜しそうにソファーから立ち上がったが、完全に力が抜けてしまったライラはソファーに崩れ落ちてしまった。

「ライラさん? 大丈夫ですか?」

「...大丈夫そうに見えますか?」

 表面上は心配しているように見えるファリスが近寄ると、ライラは恨みがましい目で睨み付けた。

「では二回戦を開始しますので席に戻って下さい」

 ファリスは目を背けてそう言った。

「...気分が悪いので失礼します...」

「あ、ちょっと...」

 ファリスが止める間も無く、ライラはツカツカと早足で歩み去ってしまった。場に気不味い空気が流れる。

「え、え~と...」

 ファリスは助けを求めるようにソニアの方を見た。さすがにやり過ぎたかと思ったソニアは肩を竦めた。

「私も気分が悪くなりましたので失礼致しますわ」

 ドロシーはそう言って立ち上がった後、

「この間のソニアさんといい、今回のファリスさんといい、とてもじゃありませんが貴族のお茶会とは思えない気品の無さでしたわ。ミハエル殿下も悪ふざけが過ぎましてよ? あなた方に猛省を促しますわ」

 痛烈に批判して足早にその場を後にした。

「私も失礼しますね...」

 ミシェルもそそくさと後に続いた。

「やれやれ...これじゃお茶会どころじゃないな...確かに僕もちょっと調子に乗り過ぎた...ファリス嬢、お開きにしよう。後片付けを頼むよ」

 ミハエルはそう言って立ち上がると背を伸ばした。

「分かりました...」

 最後に残ったのはファリスとソニアだけだった。

「ソニアちゃん、さすがにちょっとやり過ぎたんじゃ...」

 ファリスは縋るような目でソニアを見詰めた。

「う~ん...ライラさんには少し刺激が強過ぎたかしらねぇ...というか、ミハエル殿下がエロ過ぎでしょ...」

 ソニアは腕を組んで目を伏せた。

「これからどうするの?」

 ファリスが不安そうに尋ねる。

「取り敢えず、ライラさんには謝っておきましょうかね。あぁ、ファリスさんはいいわよ? 私が黒幕だっていうことはバレバレみたいだしね」

 そう言ってソニアはペロッと舌を出した。

「ハハハ...」

 ファリスは苦笑するしかなかった。
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