廃人だけどモテモテ勇者なオレ参上プラスアルファ

ザノ・夕ナ

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邂逅から始まった愛・恋・仕事

魔街

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「夜になるのはこれから二時間ぐらい経ってからだよ」
「ありがとー、ならまた!」
 オレたちはバンガローヒルに向かう。
 今は夕方。
 最寄りの駅まではまだ遠い。
 夜行列車を頼ろうと思う。
 女子高生たちと一旦距離をおくことにする。嫌われたわけではない。もちろんオレはこの世界のことを愛しているし、彼女らを嫌ってなんかはない。ならなんで離れたのか。それは、単に、本命ではないから、フレンドどまりというか。
 なんにしてもオレは女子高生たちといろいろやりまくったし、今後も別の学校の子ともあってやろうかなって感覚あるよ。別れてもまた会いたくなったら会いにいくし、もうなんだってありさ、オレは、こっちでなら、どこかにマスをかくようにウマくいく。オレ、マスをかくのは大得意だから。でも数学はニガテだ。
 〼とかをさ、定規でたくさんのマスを上手くかいていくの、そんなんでも昔はたのしめた。マスは数学的だ。ていうか実際、数学は英語でマスだったっけ? アハ、アハハハハハハ!
 今夕方七時。
 こっちの世界では、夜になるのは九時頃からって女子高生から聞いた。こっちに来て数日もういるオレだが、時間までは気にしていないから、しっかりとした把握はできていないが。
 まえいた世界の時間は酷なもので、時間がほしい時は本当に短く過ぎていく。時間はいろいろと大切で、いつなにするか、そういうこともつき纏う。オレが苦しさでどんどん壊れていった頃からは頭が壊れたのか、時間がすぐ過ぎた。嫌だった、だって、その頃オレは、いろいろとアートを作りたかったから、才能がなかったとしてもだ。
 オレは学校に通っていた頃、時間がありすぎてその膨大な時間が気持ち悪いなんて、感じていた、これはもうオレの思考の癖にもなっていって、結果、オレはテキトーに生きていくようになったのかもだ、時間なんてどうでもいいんだ、と。
 でも、時間も、どうでもいいって思うオレ。オレは廃人だ。だから、何も、なしとげれない。こっちにきたいまならなしとげれることはたくさんあるけど。
 でも、もうオレは勝ち組。でも、時間はどうでもいい。だって、こっちは、時間に追われて苦しむことも、ないのだから。
 愉しい、さいこう!
 まえいた世界でオレの使っていた寝具はオレの崩壊と比例するように破れていって、オレはワタだらけ。家族にはキレられるしもうオレの居場所はどこにもない気分だった。
 でも、こっちは違う。
 オレは歓迎されている、世界に。
 異世界、こっちこそが世界。もうまえいたところなんて、オレは世界とは思っていない。もう無関係といってもいいオレとまえいた世界。でも、オレは、まえいた世界に、まだ、オレを壊そうとする要素がいるんだって、思うと、馬鹿だろって、思ってしまう、気を使っているんだ。
 急に、マンゲキョウが見たくなったオレ。
 またマンゲキョウを見せてもらおう。オレは持ってないから、誰かのを借りて。
 マンゲキョウ、オレ好きなんだ。漢字で書けないけど。
「駅弁大会やろう!」と、ムロイは言った。
「いいな駅弁! ほら、綺麗なバイトさんも一緒に!」
 オレたちは駅弁を購入。
 オレたちは駅弁をむさぼった。
 駅弁売りのバイトの美少女も一緒に駅弁大会に参加した。
「ウマいな!」
「駅弁すげえ!」
「オレ運動ニガテだけど駅弁食いする力ならあるんだああああああああああああああああああああああああああ!」
 オレはダンスしながら駅弁食いした。
「すごいむさぼりよう……」
「だろ? 駅弁屋さん!」
「まだバイトなんですが……」
「それでもジョウデキ! もっと愉しませてくれよ! 駅弁じゃなくてもいいんだぜ! ……あっ! そうだ! 駅弁屋さんのお姉さん! マンゲキョウプリーズ!」
「どうぞ!」
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお! 仕事早すぎ!」
 オレの手の動きはもっと早くなった。
 駅弁食いのスピードが早くなったのだ。
「うめえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ! お姉ちゃんうめえよおめえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!」
「あはは、どういたしましてっ♡」
「うん、いいねっ。その態度、食欲そそる」
「ゴッド、そろそろ乗車券買わないと遅れるかもだぞ」
「おお、そうだな、われに返してくれてありがとう、キング」
「どういたしまして、ゴッド」
 オレは、乗車券売り場で。
「……バンガロー、あった、あの! 壱拾参番の券くれませんか! えぇっと……何人いるだっけ……とりあえず壱拾参人分で」
 異世界銀行でのゲリラライヴで儲けた金をテキトーに支払った。
「どうぞっ」
「あざーす!」
 とりあえず購入。
「どうだった、ゴッド。まあゴッドが買いにいかなくてもよかったが。俺はただゴッドが駅弁に夢中になりすぎてるから、ああやって声かけたんだ」
「でもいいさ! こっちでのパシりやみんなのために頑張るのって嬉しいからさ!」
「さすがゴッド! 余裕だな!」
「キングこそ、なんか愉しそうだ」
「アハハ、そりゃな、まえいたとこなんかよりも、ずっと」
 壱拾参番行きは……魔界都市バンガロービル行き列車だ。バンガローヒル行きは、壱拾参番ではなかった。バンガロービルをバンガローヒルと見間違えたオレ。魔界都市バンガロービル、そこは、知る人ぞ知る、魔境。知ってる人は、魔街と呼ぶのが基本。……といった具合で、列車に乗って、指定席のある部屋に入って、くつろいでいる頃に、オレは、思った。これは予知能力か、ただの妄想か。

 きっと、ボスのかわいい娘がいる……それは妄想だ。
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