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邂逅から始まった愛・恋・仕事

最強最凶最恐最狂宝具:クサナギノカタナ

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 身長壱百五拾九センチメートル、体重は普通のキログラム……これがおれの身長体重……ココロガオレソウだ。おれは、いい高校に入れなかったから毎日三時間かけて電車で通学する必要がある学校に通っていたが、つらすぎて、自殺を考えながらも中退を考え、中退宣言をまず母親の前でした、大喧嘩だった、あとからノンキな親父もリヴィングルームに入ってきた、もっと大喧嘩だ、その日は泣きながらゲロはいたんだよ、ベッドもよごれちまった、マットレスだから、かえるの面倒くさいし、重い……いろいろと……。
 おれはとりえもない。頭も顔も悪いんだ。ハゲだしたのは壱拾代なかば。
 登校を頑張ってる、そしておれより年下の女子高生と並んでも背が彼女らよりも低い、きっと同情すらもされない。
 最近はずっとものの音が聞こえる、それも、なにの音か聞き覚えのない音なんだ。もうはっきりとわかったよ、心因性の幻聴だ。音が嫌いになった、昔は、アニソンやゲーソンをはじめとしたさまざまなものがスキだった、でも、おれはヒップホップとか、ロックとか、メタルとか……エトセトラ……ともかく、そういうの聴くのなんか似合わなくて、自己嫌悪。聴いてたら聴いてたで、なんか罪悪感、でも、際どい同人漫画とかでマスはかくし結局おれは、ダメダメナンダ……よ。
 ボブ・ディランシャマンっていうミュージシャン、ノーヴェル文学賞を取った。でも、そういう世間的な有名人の曲も、似合わないおれ。しかもそのボブ・ディランシャマン、イケメンなんだ……、邦題で『追憶のハイウェイ19』の自撮りしたジャケット見ればわかるけど……結局おれとイケメンの親和性は低いんだ。
 ボブ・ディランシャマンもフランズ・カフカもアーネスト・ヘミングウェーイもイケメン、おれは大変文学とも相性が悪い。おまけにロック史で伝説とも言われる、歌詞に評価の重きをおかれがちなアートロックバンドのピンク・フロード、それの中心人物のジョーン・ギルムーアもイケメン。やっぱりおれはアートと相性が大変に悪い。
 おれはそんな状態であっても、死にかけだったから、アートを積極的に見るようになっていった。弐拾が過ぎた頃の話だった。そして、ニートの影響で、毛が伸びたが、これではただのお笑い芸人ではないか、しかも変なのを売りにしたド道化の。
 運動神経は良くないおれ。でも座学系のことも不得意。
 そもそも譫妄? みたいな状態にもなるし、すごい嫌な感じだ。
 ニキビも多いし、ムシバも多い……なおしに行くヒマがないんだ、ニートでも、怖くていけない、もう人が怖いんだ。結果いろいろと悪い意味でしみるし、いま冬で寒い、惨めなんだ、この時期。

 おれは小中高といじめられていた。どうしてなのだろうか、きっとカリスマ性がないからだと思った、でも、カリスマすごくあって、おれと真逆のスペックみたいな同期のイケメンは、嫉妬によってボロボロにされて廃人になったんだ。そのカリスマイケメン廃人ボーイもいまは死んだとか噂あるぐらいで信頼されていないんだと、ある時聞いた、昔馴染から。その昔馴染はおれが唯一メルアドを知っていた、者で、おれはケータイはまず使わないからガラパゴスケータイのまま、で、相手はリア充だからスマートフォン。おれの電波のとびとかも悪いガラパゴスケータイ、あれじゃあまともに通話もできないし、相手も相手で返事途中から返してくれなくなった、勝手に廃人と思われて見捨てられたのかもな、確かに廃人だが……。
 おれの背の低さがカリスマをなくしてるのかなんて思うのは違うよ、小さくても、カリスマはカリスマなんだ。おれの祖父はおれより数センチだけ高いから威張ってくる、家族だっていうのに……。
 実は……おれはいじめをしたこともあった。おれは中学の時、不良にあこがれていたんだ、いまでは考えられない。不良グループが後輩ですごく勉強もできないでかっこ悪いやつを脱げなどと脅していじめていた、そして、おれもそれにつられてしてしまった……すると、問題になった。おれは学校で呼び出しをくらいいろんな教師に怒られた、中学時代。おれがいじめに加勢したから問題になったとは違うんだ、元々問題になるながれはできあがっていたのだ。
 おれがいじめた後輩の親は、元暴走族。そして、息子のクラスのマドンナがあるイケメンにフラれたことを知って、そのフッたイケメンを殴りに行こうともしたぐらいのオカシイのだ。そして息子のいじめられのことも知って、車を違法改造して、違法デシベルにした。俺は、その騒音で、嫌がらせを受けている、うるさすぎるし、スモッグだらけで、換気もしがたい、おれの家の周りに来るスズメの数も急に減った。
 おれは騒音車を何度も壊そうと思った、騒音者も壊したい。
 毎日参百壱拾デシベルを無理に鳴らせる改造がほどこされた違法改造車。おれはもうその存在を許容することは無理だと思った。

 正月の事だった。熱田神宮に行った。西暦で弐阡壱拾八年の事だ。
 熱田神宮、そこに、来た、例の違法改造車。おれを追ってきたのだ、もうこれで何年も経つのに、ねちねちと。
 吹かした車をおりて、タバコに火をつけ、こっちに向かってきた。ただでさえこの辺一帯に喫煙者は多いっていうのにさ。タバコノケムリでとても息苦しくなった。
 宝具クサナギノカタナがここにあることを知っていたおれ。
 おれはもういっそのこと、芸人のパフォーマンスか何かに見せようと思って、神殿に侵入してクサナギノカタナの封印を無理にといた、そしてクサナギノカタナで違法改造車を乗る違法改造者を殺そうと思った。
 この時、クサナギノカタナの封印をといてしまった呪いによって、おれは異世界にとばされた。
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