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4章 文化祭
※ 外でデート出来んの?
しおりを挟む※空side
一条さんと二人でお好み焼きを楽しんでいると、俺達の前に座っていた中西が騒ぎ出した。
どうやら数馬がトイレに行ったっきり戻って来ないらしい。対人恐怖症の数馬にとってこの大人数は拷問だろうな。
「もー!また篭ってるよぉ!何回迎えに行けばいいんだよぉ!」
「仕方ないだろ。ここに参加して来ただけでも褒めてやろうぜ」
怒り出す中西をなだめるように言うけど、気の強い中西は厳しかった。
「そんなのボラ部に所属してるんだから参加して当たり前じゃん!いい加減人前に慣れないとヤバいでしょ」
「直登くんも大変だね~。いつもどうやってデートしてるのー?」
「それ俺も気になる。外でデート出来んの?」
満足そうにお好み焼きを食べながら一条さんが気になる話題を出して来た。
二人は休みの日とか遊んでるみたいだけど、こんな感じの数馬とどうやって遊んでるんだろ?
「一応出来るよ~。人混みとかだと、数馬くんパニック起こしちゃうからなるべく避けてますけど、人が少なそうなお店選んだりしてデートしてます。後は俺んちか数馬くんちで過ごしてるかなぁ~」
「直登くん人が多い所とか好きそうなのに、我慢してるの?」
「好きって訳じゃないですけど、ショッピングセンターとか普通に歩きたいですね」
「買い物もまともに出来ないじゃん」
「数馬くんはいつもネットで買い物してるんだよ」
「俺もネットで良く買い物するよ~。便利だよね~。家まで届けてくれるし♪」
「えー、一条さんと雉岡さんはどういうデートしてるんですか?」
「俺がしたい事をしてるよ♪」
「具体的に教えて下さいよ」
「この前の休みはゲームセンターに行ったよ♪クレーンゲーム面白かったなぁ♪こんな小さい子供でも景品を取れてたのに、全くダメだった吉乃が下手って事が分かったよ」
「うわっ普通!」
「いいなぁ♪俺もそういうデートしたぁい」
「ゲームセンターもダメなの?空いてる所なら行けるんじゃない?」
「一回行ったんですけど、子供が多くてダメでした。数馬くんにぶつかった子供が泣きそうになって、それから行ってません」
「あはは。それ数馬くんの見た目のせいでしょ!それは数馬くんもトラウマになるよね~」
「数馬って喋らないと怖いもんな」
「そのギャップがたまらないんだけどね♡」
まぁなんだかんだ二人が仲良くやってるなら良かったよ。中西とは貴哉を取り合った事があるから、このまま数馬とくっ付いてて欲しい。
ここで一条さんが誰かに気付いて手を振っていた。貴哉か?と思ったけど、恋人の雉岡さんだった。
「吉乃~♪ちょっとこっち来て~」
「えー、何だよぉ?」
恋人に呼ばれたのにダルそうに座敷に上がってくる雉岡さん。数馬もだけど、この人の見た目も結構怖い。この人の場合、ピアスは見える所だけじゃないんだ。
「これ!俺が焼いたの♪上手だろー?」
「まじ?紘夢が?」
疑ってるのか俺に確認してくる雉岡さん。
俺は頷いて答えた。
「へー、本当なんだ。ちゃんとひっくり返せたのか?」
「余裕~♪吉乃はやらせてくれないけど、空くんはやらせてくれたんだー」
「だってお前危なっかしいんだもん。怪我でもしたらどうすんだよ」
「そしたら吉乃が付きっきりで看病でしょ♡」
「はぁ?お好み焼き焼くぐらいで、看病レベルのどんな怪我する気だよ」
「まぁまぁ♪ほらあーんして♡」
「あーん」
なんだかんだこのカップルも仲が良い。
雉岡さんはダルそうだけど、いつも一条さんの言う事を聞いてるイメージだ。
そんな二人を見ていた中西が割って入った。
「二人って、どっちがどっちやるんですかー?」
「は?何言ってんだ?」
「直登くん、それは何に対しての質問?」
俺は中西が何を聞きたいのか分かったけど、二人は本当に分かってなさそうだった。
簡単に言うとセックスの時の立ち位置だろ?
てか良く聞けたなその質問。確かに気にはなるけどな。
「やだな~。エッチの時ですよ~。どっちが挿れる方ですかー?」
「ダイレクトだな!」
中西のケロッとした態度に思わず俺が突っ込んじまった!
これで二人は何の事か分かったようで、雉岡さんは気まずそうに。一条さんは何かを考えてるような素振りを見せた。
「おっと、俺取皿貰いに行く途中だったんだ~」
雉岡さんが座敷から逃げようとしてるのを一条さんがガシッと掴んで引き止める。
そして嫌がる雉岡さんをギューっと抱き締めて笑った。
「それなんだけどー、俺達ヤッた事ないんだよね~♪」
「てか男同士でどうやれってんだよ?」
まさかの二人の発言に、俺と中西はそれはそれは驚いた。
まず、一条さんが言うヤッた事が無いってのにもだけど、雉岡さんの天然っぽいセリフにも驚いた。
そりゃ俺も貴哉と初めてヤるってなった時とか知らなかったけど……
えー!二人共まだしてねぇのー!?
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