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3章 文化祭まで一週間
何が重ーいだ!テメェ誰よりも力あるだろうが!
しおりを挟む昼前になって渡辺んちの軽トラが大量の野菜達を運んで来たから今手が空いていた俺と直登で運ぶ事になった。ジャガイモ、さつまいも、カブと更にカボチャまであった。
え?カボチャ?
「今うちで栽培してる野菜達。お前ら丁寧に扱えよー?」
「すごーい!こんなにたくさん♪渡辺さんありがとうございます~」
「ちょっと待て!カボチャって詰める袋よりデケェじゃねぇか!どうすんだよコレ!」
渡辺と直登が呑気にそんなやり取りをしてたから、俺が突っ込むと、直登はにニヤリと笑った。
「そんなのこのまま詰めさせるに決まってるじゃん♪」
「だったらお前がやってみろよ!絶対無理だから」
「やろうと思えば出来るでしょー?ちょっとカボチャ触りますよー?よいっしょっ!重ーい!」
「何が重ーいだ!テメェ誰よりも力あるだろうが!」
「もううるさいなぁ!だったらカボチャはサービスで一人一個配れば良くない!?それか切り分けるとか!」
俺と直登がカボチャの前で言い合ってると、野菜を提供してくれた渡辺がメガネを光らせて圧をかけて来た。
あ、怒ってらっしゃる?
「お前ら!俺の言った事聞いてねぇのか!?丁寧に扱えって言ってんだろうが!野菜達の前で騒ぐんじゃねぇ!」
「すみませーん!貴哉が馬鹿だから説明するの大変で~」
「ぶん殴ってやる!」
軽トラが帰った後、今度は紘夢がやって来た。どうやらおもちゃも到着したらしい。
「二人共裏の駐車場に来て~!おもちゃ運ぶの手伝って~」
「あ、俺渡辺さんに野菜の保管方法とか聞いてから行くから貴哉先に行ってて~」
「おう!紘夢行こうぜ♪」
俺と紘夢は校舎裏にある駐車場へ向かう。途中で紘夢が不安そうな事を言った。
「でももっと人手があった方がいいんだよな~。那智くんとか手空いてないかな?」
「重いのか?」
「重いし、結構量があるんだ」
野菜が入った段ボールも重かったけど、おもちゃとかも重そうだよな。
場合によってはなっちに声を掛け……あ?
歩きながら話してたら、駐車場に一台の大型トラックが停まってるのが目に入って、荷台が空いていた。
え、まさかだよな?
「すみませーん!俺が一条でーす」
「ああ、一条さんですか。お荷物届けに来ました~。受け取りサインいただけます?」
「はいはーい♪」
紘夢は慣れたようにトラックの近くにいた宅配業者っぽい男の対応をしていた。
俺は一人でトラックの荷台の中を覗き込む……すると、そこには大量の段ボール箱が積み重なっていた。
もしかして、これ全部じゃねぇよな?両手で抱えられるぐらいの大きさの箱が軽く数十箱はあった。
「はい確かに~。お荷物どうされます?」
「ここら辺に適当に降ろしておいて下さーい。貴ちゃん、運ぼう!」
「待て待て!これ全部なのか!?」
「そうだよ~。ほら早く~!陽が暮れちゃうよ~」
どうやら紘夢はネットか何かで注文したおもちゃを学校に指定配達頼んでいたらしい。にしてもこれは二人じゃ無理だろ!
「やっぱり助っ人呼ぼう!数馬とか部室にいるはずだ」
「那智くんもいたら呼んで~」
俺は適当に手が空いてそうな奴らに連絡をする事にした。こんなのちまちま運んでたら昼飯の時間なくなっちまう!俺は午後になったら演劇部の方へ行かなきゃならねぇんだ。
あ、演劇部からも人借りるか?
演劇部の裏方リーダーの犬飼に電話で力仕事出来る奴寄越してって頼んだらすぐに向かわせると言ってくれた。
「俺先に少し運んでようか。誰か来たら説明するのに貴ちゃんここにいてくれる?」
「分かった。てか部室に入りきらねぇだろ。茜の部屋のが広いし誰も使わねぇだろうから借りようぜ」
「それなら茜ちゃんに鍵借りないと。俺茜ちゃんのとこ寄ってから行くね」
紘夢は一箱抱えながら後者の方へ歩いて行った。
てかこれ全部紘夢が支払ったんだよな?あいつ家追い出された癖にどんなけ金持ってんだよ。
助っ人を待ってる間に、どんなおもちゃがあるのか物色する事にした。
一番近くにあった箱を開けると、熊やキリンなどのぬいぐるみとかがたくさん入っていた。小さい子用だな。
隣の箱には車や飛行機の模型セット。
そして一際分厚く綺麗な箱が目に入った。あの箱に書いてあるのって、ゲーム会社の名前じゃね?
俺はその箱に近付いて開けてみる。
「あー!Switchじゃん!!ソフトまである!!」
その箱の中身はなんと大人からも人気のゲーム機だった。それも何十個も並んで入っていた。
いやいや、これって何万もするんだろ?何あいつ、こんなのをあんなちゃっちい袋に詰めさせる気なの?
ちなみに用意した袋の大きさは小さいペットボトルが2本ぐらい入るぐらいの小さい袋だ。野菜もだけど、ここにあるおもちゃはどれも入る気がしねぇけど……大丈夫なのか?
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