上 下
136 / 219
3章 文化祭まで一週間

駅までの道を走るのみ!

しおりを挟む

 図書室の隣の部屋で待機していた俺に茜から電話があった。俺達を探してるみてぇだな。
 そして茜からの電話を切って俺はクスクス笑う。
 茜を構うの面白れぇ♪
 そんな俺を見て伊織と卯月はなんだ?と言った顔で見て来た。


「なぁ、二之宮なんだって?」

「ああ、どこにいるのか聞かれたから完全に落ち着いたらまた電話しろって言った」

「まだ怒ってるのか……」

「気にすんなって!卯月もただ話すだけじゃなくてちゃんと不満言わなきゃダメだぞ?茜はちゃんと話せば聞いてくれる奴だから何でも言っちまえ」

「でもあんなに怒ってる二之宮は見た事がないから。許してくれないかも」

「それなら気の済むまで怒らせときゃいいじゃねぇか。何でこっちが気使わなきゃなんねぇの?」

「貴哉、みんなお前みたいな考えじゃないんだ。あまり無理を言うな」

「そりゃ分かってっけど……ん?」


 スマホが鳴ったからまた茜かと思って電話に出る。すると、空からだった。


「おう、どうしたー?」

『どうしたじゃないだろ!お前今どこにいるんだよっ!』


 あれー?空ってば何か慌ててる?紘夢と先に帰ってる筈だよな?


「何で?俺ちゃんとメッセージしたじゃん」

『何があったのかは雉岡さんから簡単に聞いた。さっきの貴哉との電話で茜が怒って一人で帰っちゃったんだよ!』

「はぁ!?帰っただぁ!?」


 俺の大きな声に二人は目をぱちくりさせて驚いていた。
 いやいや、俺もビックリだわ!
 あいつ俺の言う事無視して帰りやがっただと!?どういうつもりだ!?


『もー、貴哉が素直に居場所教えてればこんな事にならなかったのに!今俺達玄関にいるんだけど、早く来いよ!』

「俺のせいかよ!くそ!茜のヤロー!分かった!今行く!」


 空からの電話を切って俺は二人に大変な事になったと伝えた。


「茜がさっきの電話でキレて一人で帰ったらしい!」

「マジかよ」

「ああ、俺のせいだっやっぱり二之宮は怒ってるんだっ」

「狼狽えるな!伊織、お前は卯月と居てやってくれ!俺は茜を追う!」

「いいけど、もう帰ったんだろ?間に合わなくね?」

「あいつは電車通学だ!駅に向かえば追いつくだろ!」

「ん。後から行くわ」


 卯月の事は伊織に任せて俺は茜を追う事にした。
 茜がこんなに怒るなんて、部活以外では最近は無かった。きっと何かあったに違いない。
 まぁ俺がちょっとふざけちまったのも悪いしな!責任持って茜を捕まえてやる!

 俺は廊下に飛び出して玄関までダッシュした。

 玄関に辿り着くと、そこには空達がいた。空の他には紘夢と、雉岡、トモがいた。


「貴哉!」

「話は後だ!俺は茜を追う!後から伊織と卯月も来るから頼んだ!」

「えっ!おい貴哉~!」


 俺は靴を乱暴に履き替えてそのまま外に飛び出した。きっと茜はもう学校出たよな。なら駅までの道を走るのみ!

 俺は学校から駅までの道を全力で走り抜けた。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

俺の義兄弟が凄いんだが

kogyoku
BL
母親の再婚で俺に兄弟ができたんだがそれがどいつもこいつもハイスペックで、その上転校することになって俺の平凡な日常はいったいどこへ・・・ 初投稿です。感想などお待ちしています。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

真・身体検査

RIKUTO
BL
とある男子高校生の身体検査。 特別に選出されたS君は保健室でどんな検査を受けるのだろうか?

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

処理中です...