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3章 文化祭まで一週間
これが授業になるんじゃねぇの!?
しおりを挟む月曜日、今日も伊織に起こされ学校へ行き、ごんちゃんの朝の特別授業を受けていた。
今日は外で授業をするとかで三人で中庭まで来た。途中でいろんな生徒からめっちゃ見られたけど、ごんちゃんがいるからかサッと立ち去る奴が多かった。
「ごんちゃん!こんなとこで何やんのー?」
「今日は二人に頼みたい事があってね。おっ、いるいる~♪」
俺達に頼みたい事だぁ?
ごんちゃんは中庭で誰かを見付けてそいつに声をかけていた。そいつは花壇で何かをしていたらしく、ごんちゃんに気付いて顔を上げた。
って、元部長の渡辺じゃん!
「やあ渡辺くん。朝早くに悪いね~」
「いいっすよ。俺が頼んだ事だし。てか後任者ってそいつらかよっ!ガッツリ身内じゃねぇか!」
「梓さん、おはようございます。そしてお久しぶりです。後任者ってどういう事ですか?」
渡辺は草むしりをしてたのか、軍手を外しながら俺達を見て言った。
それに対して伊織が丁寧に挨拶をした後に俺も気になった事を聞いていた。
「あ?教頭から何も聞いてねぇのか?」
「おう渡辺~!俺達はごんちゃんに頼みがあるって言われて付いて来ただけだ」
俺が声を掛けると、「よう」と軽く言ってごんちゃんを見ていた。
ずっとニコニコ笑顔のごんちゃんは、両手を合わせて楽しそうに話し始めた。
「実は渡辺くんから相談されていた事があってね~。彼は自主的にこの中庭の花壇の手入れをいてくれていたんだけど、渡辺くんは三年生だから君達より先に卒業してしまう。そうなると誰も手入れをする人間がいなくなるって不安に思っているらしいんだ。そこで桐原くんと秋山くんに引き継いでもらえたらなぁってね。どうだい?やってみないかい?」
「てかそんなの部活で普通にやってっし!ボラ部に頼めば良くね?暇な奴らいっぱいいるだろ」
「それがボランティア部も人気で今人手が足りないと言われてしまってね~。別に毎日じゃなくてもいいんだ。こうした朝のちょっとした時間とかで十分だから」
「あ?あいつら暇な癖に何生意気な事言ってんだ!直登とか絶対手空いてんだろ!」
「まぁ文化祭が重なってますからねー。落ち着いたらボラ部で手分けして出来ますけど、俺はやりますよ。教頭と梓さんの頼みですから♪」
あ!伊織の野郎、一人だけ良い子ぶりやがって!俺ばっか文句言ってるみてぇじゃねぇか!
「桐原くんならそう言ってくれると思ったよ~♪じゃあ今日から少しずつ渡辺くんに教わってくれるかい?あ、今日は僕の授業はこれで終わりにするから、来週は僕の授業の後に手入れしてもらおうか~」
「えっ!これが授業になるんじゃねぇの!?」
「授業の一部にはなるよ。じゃあ後は頼んだよ渡辺くん」
「はーい。おいお前らちゃんと覚えろよ。この花壇は俺の聖域だ。手抜きやがったらただじゃおかねぇからなー」
ごんちゃんがいなくなった後、渡辺がメガネを光らせて俺達に言った。
あー、また面倒くせぇ事が増えちまったぜ。
「梓さん、いつも気になってたんですけど、どうして自ら進んで花壇の手入れをしてるんですか?」
「あ?そりゃ綺麗な花を咲かせる為だろーよ」
「でも何で学校で?花を育てたいなら家でやった方が良くないですか?」
「面倒くせぇから何で俺がここでやってるかの理由は省くが、俺は卒業までこの花壇の手入れをして、暖かくなったら季節の花を育てて来た。そしたらよ、愛着湧くじゃん?誰か俺の後継いでくんねぇかなって思った訳」
「ん?ちょっと待て。伊織が聞きたい事を省かなかったか?」
「うるせぇぞ秋山。いいから黙って立派な後継ぎになれ。今日は時間がねぇから後でいろいろ教えてやる。ちゃんと時間作れよ~」
渡辺はあくびをしながらさっさといなくなった。
相変わらずいい加減な奴だな。
伊織がいるからいいけど、俺一人だったら絶対断ってたぞ。
残された俺は花壇の横に座って、赤い花を見ていた。
「なぁ伊織、これ何て言う花?」
「サルビアだな。こうして見ると本当に綺麗に手入れされてんな。梓さんってどうしていつも花壇の手入れしてんだろ?」
「さぁな。庭いじりが好きなんだろ」
「本当にそれだけか?だったら家でやった方が……」
「まだ言うのかよ。もう渡辺はいねぇぞ」
「いつかは教えてくれるか。俺達も教室行くか~」
俺と伊織はのんびり歩いてそれぞれの教室へ向かう。
俺は花には興味ねぇから、渡辺が何でいつも手入れなんかしてるのかなんてどうでも良かった。
神凪から俺の事を引き継いだごんちゃんの頼みだからスルー出来ないんだ。
ただ面倒くせぇってだけ。
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