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2章 文化祭までのいろいろ

階段上ってんなぁって思うけど

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 楽しいランチタイムを終えて空と教室へ戻って来た。大好きななっちもだけど、何か伊織が良い感じだったんだよな~。ちょっと戸惑う瞬間もあったけど、みんな笑ってたし、いつもああならいいのに。
 

「貴哉、桐原さんどう思う?」

「どうって?階段上ってんなぁって思うけど」

「絶対違う階段上ってんだろ!明らかに変だったじゃん」

「まぁ、いつもとは違うなぁとは思うけど、俺は嫌じゃなかったぜ?」

「何か企んでるよ」

「んー、企んでたとしてもプラスになるならいいんじゃん?いつも空と喧嘩ばっかってのも嫌だろ。てか俺が嫌だ」

「はぁ、いつ元に戻るか分からないし、警戒はしとこ~」


 昼休みは四人でめちゃくちゃ楽しかったのに、空は疲れてる感じだな。確かに一人で俺らにツッコミまくってたからな~。
 空も気楽に楽しめばいいのに。


「なぁ、なっちいいと思うぜ?」

「本気で言ってるのか?」

「別に恋愛対象としてじゃねぇよ。友達として!俺はなっち大好きだし、空も仲良くなれば一緒に遊べるじゃん♪」

「二人って仲良いもんな。確かに香山さんは良い人だと思うよ。明るくていつも元気だし、後輩の俺らにも周りと変わらずに接してくれるし」

「だろー?それになっちはいろんな事教えてくれるんだぜ♪夏休み中にボーリング行った時は上手い投げ方教えてくれたんだ♪カラオケ行った時なんかは立って歌うといつもより声が出るって……」

「ちょっと待って!香山さんとボーリング?カラオケ?どっちも俺と行った事ないのにいつの間に行ってたんだ!?」

「ほら、夏休みの終わりにお前連絡くれなかった時あったじゃん。そん時になっちが心配して相手してくれてたんだよ。伊織とはお前と決着つくまで会わないって決めてたからさ。あ、茜と桃山にも相手してもらったな~。でもなっちとならたまに飯とか行くぜ?」

「知らなかった……そこまで仲良かったんだ」

「だってさ、なっちといると楽しいじゃん♪茜は桃山がいっから結構断られるんだけど、なっちは誘うと時間作ってくれるんだよ♪」


 まるで大切なものを自慢するかのように嬉しそうに話す貴哉。俺の知らない所でそんな交友関係があったなんて。
 でも何だろう?香山さんが相手だと嫌な気がしないんだ。貴哉は香山さんを見付けると飛び付いて戯れる時があるけど、それは子供が大人に遊んでくれってせがんでるみたいで、どちらかと言うと微笑ましい光景なんだ。
 だから貴哉が香山さんの事を好きだと言っても、とても懐いていても嫌じゃないんだと思う。
 そして、香山さんも貴哉の事を本当に気の合う友達として見ているのも分かるから尚更だ。


「貴哉、良かったな。香山さんみたいな良い人に出会えて」

「おう♪俺は空にも伊織にも会えて良かったと思ってるぞ♪なっちにしか無い良い所、お前や伊織にしか無い良い所、全部違うから俺は全部好きだ♪」

「はは、貴哉らしいな。俺も貴哉みたいになれたらいいのに」


 貴哉は思った事を考えるよりも先に言葉にするタイプだ。俺は逆で、相手の出方を見てから言葉を選んだり、こう言ったらとかこう言えばとか考えてしまうタイプだ。
 こんな風に貴哉みたいに、好きなものは好き。嫌いなものは嫌い。ってハッキリ言えたらいいのにって思う。

 機嫌の良かった貴哉は少しムッとして俺に言った。


「そんなのダメだろ。空は空だから俺は好きなんだ。空が俺みたいになったら空じゃねぇもん」

「貴哉……」

「空が俺みたいになったら、言い合うのは変わらねぇけど、どちらも折れないからガチの喧嘩になりかねないだろ?」

「それって俺が折れるって事?」

「当たり前だろ~♪」

「はは、確かに俺らってそうかもな」

「空が折れるだけじゃなくて、ガキみたいに泣いたり駄々こねたりもするよな」

「……しねぇよ」

「するよ♪あれ結構可愛いから好きなんだぜ?そん時は困るけど、泣かれたりでもしたらほっとけなくなるじゃん?ん?て事は俺が折れてるのか?」

「かわっ!?まさか貴哉にそんな風に思われてたなんて……」


 俺の言う事にショックを受けてる空。
 空は普段は落ち着いていて、しっかりしてるっぽいけど、俺と喧嘩したりすると、子供みたいになるんだ。そんなの普通に可愛いだろ?
 前は良く泣いてたよな~。泣き虫空。そんな空を俺はほっとけなくて、笑って欲しくて頑張ってたな。
 それがいつの間にか空は強くなってて、あまり泣かなくなったな。今じゃ大人になり過ぎておっさんとエッチな事するとか変な遊び覚えちまったけどな。
 だからこれからも目が離せないでいる訳だ。


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