80 / 157
2章 文化祭までのいろいろ
俺に似てる奴なんだろー?すげぇ気になる~
しおりを挟む木曜日の朝、俺の隣を歩く恋人の伊織は見て分かるぐらい不機嫌そうだった。
朝から辞めてくれとか思ったけど、不機嫌な理由が俺だったからあまり強く言えなかった。
「伊織さー、空と電話ぐらいしても良くね?機嫌直せよー!」
「別にするなとは言ってねぇだろ。ただ俺が嫌だなって思ってるだけだから」
そう、昨日寝るまで空と電話をした事を話したんだ。それと、空が紹介をいらないと言った事もだ。
伊織の気持ちは分かる。だから隠すのも悪いと思ったから話してるのに、ずっとこんな感じだったら話さなかった方が良かったとか思っちまうじゃねぇかよ。
「伊織、ずっとそんな感じなら機嫌が直るまでお前とは距離置きたい」
「あ?ダメに決まってんだろ」
「何で伊織が決めるんだ?俺にも離れたいって言う権利はあるだろ!」
「……分かった分かった。機嫌直すから、そんな寂しい事言わないでくれよ」
俺が少し強く主張すると、伊織は一瞬ムッとした顔をしたけど、すぐにシュンとして俺の手を握って来た。
「それと、土曜日空と遊ぶから!この前プレゼント買えなかったから土曜日に買いに行くんだ」
「……うん。分かった。何時に帰って来る?」
「分からねぇ。空と遊ぶの久しぶりだからつもる話もあるしな」
「夜は俺と会ってくれるか?」
伊織は俺の目を見る事なく、下を見ながら言った。俺の手を握る力が強くなった気がした。
そんな伊織に少し罪悪感が湧いて来た。
うう、俺の恋人は伊織の方なのにあんな言い方無かったよな~。伊織は俺が空と会うの嫌がってるのに、俺がしたいからって脅すような事しちまった……
「伊織、悪かったよ。夜は伊織と過ごす。約束する」
「良かった。俺もキツく言い過ぎたな。早川に好きな物買ってもらって来い」
俺が謝ると、伊織は顔を上げてニコッと笑った。
そしてその後はいつものように優しくなった。
「うん♪あ、そうだ!紹介はいらないけど、昼休みは一緒に取りたいって~」
「いいぜ。紹介するつもりだった奴もそのまま連れてくわ。無理にはくっ付けさせようとはしねぇから安心してくれ」
「俺に似てる奴なんだろー?すげぇ気になる~」
実はどんな奴なのか見たかったんだ。
変な奴を連れて来たら伊織を殴ろうと思ってる。
俺がワクワクしてると、隣にいる伊織はクスクス笑っていた。
「なんだぁ?その笑い~?」
「別に~?貴哉は可愛いなぁって♡」
「可愛いってすぐ言うのな!」
いつも俺はかっこいいがいいって言ってんのによ。ん?そう言えば伊織の事可愛いって思った事あったか?かっこいいなとはいつも思ってるけど、年上ってのもあって可愛い瞬間とかあんま見ないよな。てか伊織がかっこつけたがるんだよな。
「なぁ!伊織、可愛いくなってみて!」
「いきなりだな!てか可愛くなれってどう言う事だよ?」
「伊織の事可愛い~♡って思ってみたいんだよ♪」
「いや、俺ってどっちかってーとかっこいいじゃん?可愛いくなるのは無理だって」
「桐原伊織に出来ない事はないんじゃないのか?」
苦笑いを浮かべる伊織に挑発するように言うと、困ったように頭を掻き始めた。あの伊織が困ってるー♪
よし、とどめを刺してやるか!
「あー、空の事は可愛いと思った事あるんだけどな~?伊織の可愛いところも見れたらもっと好きになるんじゃないかなぁとか思ったんだけどな~?出来ないんじゃしょうがないよな~?」
ワザと意地悪くやれやれという両手を横に出すポーズまで加えて言ってやると、無事伊織の中のやる気スイッチを押せたみたいで、目の色が変わるのが分かった。
「言ってくれるじゃん?俺が可愛いくなれば早川を越えられるんだな?男に二言はねぇな?」
「えっ!そこまでは言ってねぇだろ?」
「同じようなもんだ♪可愛い極めてやっから楽しみにしてな~♡」
一気に機嫌が良くなった伊織は、勝手に都合の良いように捉えて可愛いくなる宣言をした。
でも、空に対してはかっこいいも可愛いもどちらも思った事があるのは本当だ。そのどちらも俺の好きな空だし、だから伊織の可愛い部分も見れたらもっと好きになるんじゃ?
空を越えるかは分からねぇけどな……
10
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
【R-18】♡喘ぎ詰め合わせ♥あほえろ短編集
夜井
BL
完結済みの短編エロのみを公開していきます。
現在公開中の作品(随時更新)
『異世界転生したら、激太触手に犯されて即堕ちしちゃった話♥』
異種姦・産卵・大量中出し・即堕ち・二輪挿し・フェラ/イラマ・ごっくん・乳首責め・結腸責め・尿道責め・トコロテン・小スカ
【R18】奴隷に堕ちた騎士
蒼い月
BL
気持ちはR25くらい。妖精族の騎士の美青年が①野盗に捕らえられて調教され②闇オークションにかけられて輪姦され③落札したご主人様に毎日めちゃくちゃに犯され④奴隷品評会で他の奴隷たちの特殊プレイを尻目に乱交し⑤縁あって一緒に自由の身になった両性具有の奴隷少年とよしよし百合セックスをしながらそっと暮らす話。9割は愛のないスケベですが、1割は救済用ラブ。サブヒロインは主人公とくっ付くまで大分可哀想な感じなので、地雷の気配を感じた方は読み飛ばしてください。
※主人公は9割突っ込まれてアンアン言わされる側ですが、終盤1割は突っ込む側なので、攻守逆転が苦手な方はご注意ください。
誤字報告は近況ボードにお願いします。無理やり何となくハピエンですが、不幸な方が抜けたり萌えたりする方は3章くらいまでをおススメします。
※無事に完結しました!
首輪 〜性奴隷 律の調教〜
M
BL
※エロ、グロ、スカトロ、ショタ、モロ語、暴力的なセックス、たまに嘔吐など、かなりフェティッシュな内容です。
R18です。
ほとんどの話に男性同士の過激な性表現・暴力表現が含まれますのでご注意下さい。
孤児だった律は飯塚という資産家に拾われた。
幼い子供にしか興味を示さない飯塚は、律が美しい青年に成長するにつれて愛情を失い、性奴隷として調教し客に奉仕させて金儲けの道具として使い続ける。
それでも飯塚への一途な想いを捨てられずにいた律だったが、とうとう新しい飼い主に売り渡す日を告げられてしまう。
新しい飼い主として律の前に現れたのは、桐山という男だった。
ドスケベ刑務所♡雄っぱいライフ
ビビアン
BL
国が規定する雄っぱいサイズを大幅に超過するという大罪を犯したため、名前も人権も奪われて特殊な刑務所に収監された雄っぱい4545号、通称シコ。
いつか釈放される日を夢見ながら日々を過ごしていた彼だが、犯罪級の雄っぱいを持つ彼が平穏な生活など送れるわけもなく……
男でも開発すれば乳が出る世界。日本っぽいどこか。
深く考えちゃいけないタイプのアホエロです。
気まぐれ不定期更新
新しいパパは超美人??~母と息子の雌堕ち記録~
焼き芋さん
BL
ママが連れてきたパパは超美人でした。
美しい声、引き締まったボディ、スラリと伸びた美しいおみ足。
スタイルも良くママよりも綺麗…でもそんなパパには太くて立派なおちんちんが付いていました。
これは…そんなパパに快楽地獄に堕とされた母と息子の物語…
※DLsite様でCG集販売の予定あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる