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2章 文化祭までのいろいろ

ぎゃはは!これ絶対なっちだろ!

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 生徒会室から教室へ向かう途中で、空から電話があった。学校にいるのに珍しいな。


「もしもーし?どしたー?」

『貴哉どこにいるー?』

「今生徒会室出たとこ」

『えっ!何でまたそんなとこに!?』

「前田侑士と昼飯食ってた。で、お前はどうしたんだよ?」


 俺は誰にも何も言わずさっさと一人で来ちまったからな。空が知らなくて当然だ。


『昨日、みんなが書いたTシャツのデザイン見たいって言ってたじゃん。鍵借りて来たから今から部室来いよって誘い~』

「マジ!?行く!ここからなら近いから♪」


 やべ。また忘れてた!
 生徒会室とボラ部部室は同じ階にあるから1分もしないで行けた。
 中には空が一人でノートパソコンをいじっていた。俺が入ると、嬉しそうに迎えてくれた。


「貴哉~♪なぁ先に見てたんだけど、これ数馬のだよ。あいつスゲェよ」

「どれどれー?」


 引っ込み思案な数馬だからこういうのは苦手そうだけどな。空の横の椅子に座って画面を覗き込むと、黒地に白と赤の柄。そこには男のイラストが書かれていて、背中には大きな翼が生えていた。今にも飛び立とうとしている姿で、首元には赤いネクタイを付けていた。あ、これ城山高校の制服か!そのネクタイには英語で何か書かれていた。


「すげぇ!これ数馬が描いたのか!?漫画家になれるんじゃね?なぁ、英語は何て書いてあるんだ?」

「freedom!だよ。自由って意味な。数馬の心の声かもね~。クールで好きだなーコレ♪」

「かっこいいなぁ!なぁ、紘夢のはー?」

「それがパスワード設定したらしくて、見れないんだよ~」

「げっ!紘夢らしいな!んじゃ後は手描きのか」


 パソコンの横に重ねてある紙の束を見てみる事にした。


「ぎゃはは!これ絶対なっちだろ!」

「しかいないよな~」


 一番上にあった紙に、黒の太いマジックで「筋トレ!」ってだけ書かれていて見た瞬間笑った。
 やべー!これ個性出るな~!

 次のやつは~、白地に黒文字の縦書きで「ボランティア魂♡」って書かれていて、横に小さな猫の絵が描かれていた。シンプルだけど、インパクトあるなー!このゆるキャラみたいな猫がまたいい!んー、これは……


「直登だ!」

「だろうな♪怜ちんのセンスじゃねぇだろ」

「え、残りって直登と怜ちんだけ?空のは?」

「俺のはまだ未完成だから持って帰ったんだよ」

「そうだったのかー!空の見たかったな~」


 数馬と、なっちと、直登のはあった。紘夢のは見れなかったし、空は持って帰ってるから同じく見れなかった。後は怜ちんだけど、見当たらなかった。空と同じで持って帰って描いてるのか?
 

「怜ちんのは俺らのとはレベチだと思うぜ~?美術部行った時に少し見せてもらったけど、マジで上手過ぎた」

「へー、そうなの?お前のも上手かったじゃん」

「俺のなんて怜ちんのに比べたらお絵描き程度だよ。後は貴哉と桐原さんだな」

「いやー!こりゃ難しいな!でも文字だけでもいいって事だよな?」

「そうだよ。普通に普段着てるTシャツのデザイン見て真似するのも有りじゃん?」

「俺のTシャツ無地ばっか」

「あ、ワンポイントとかでもお洒落で良いよな~♪」

「こういうのって桃山とか好きそうだよな。デザイン部だし」

「あの人いつもセンスセンス言ってるもんな。試しに描いて貰うのも面白いかもな」

「待て!俺のやつ桃山に手伝ってもらう!なぁ、これ期限ってあるのか?」

「特に決めてなかったけど、文化祭で着るみたいだから今週中とかじゃん?」

「今日の部活少し抜けて桃山のとこ行くか」

「バレて茜さんに怒られるなよー?」


 桃山がいたじゃねぇかぁ♪
 あいつには俺の浴衣作ってもらったし、Tシャツのデザインぐらいお手のモノだろ♪
 でも確かに、今演劇部は最後の追い上げでスパルタちっくだからな!上手く抜け出せればいいけど。
 
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