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2章 文化祭までのいろいろ
超優秀じゃねぇか!
しおりを挟む昼休みになると、空が機嫌良く俺のとこに来た。
焼きそばパンを持ってるけど、まさか……
「貴哉~♡一緒にランチしよ~♡」
「お前チャレンジャーだなぁ。伊織もいるけど?」
「俺は気にしない。俺の目的は貴哉だし♡」
「それならいいんじゃね?」
別に俺は空がいてもいいと思ってる。問題は伊織だ。俺のしたい事をさせるような事言ってるけど、限度があるだろ。あまり我慢させて爆発でもされたら面倒くせぇよ。
「ところで放課後デートOK貰えた?」
「まだ言ってねぇ。てか本当いらねぇからな?無駄に買うなよ?」
「ちょっとした物にするよ」
「お前と伊織は違うだろ。伊織と張り合おうとするなって」
「ムッ。何だよそれ?俺じゃ桐原さんに勝てないって言うのか?」
「そうじゃねぇよ。伊織は常人とはズレてるじゃん。空は空のままでいい」
「俺だって貴哉に何かプレゼントして喜ぶ顔が見たいのに」
シュンと悲しそうな顔をして俯く空。ぐっ!何か俺が悪い事してるみてぇじゃん!
「空、そんな顔すんなよ。ほら顔上げろって」
「だってぇ」
すっかり元気の無くなった空は俯いたままチラッと目線だけ俺に寄越した。空のしおらしい上目遣いにドキッとしちまった。か、可愛いな何か!
「空!お前は笑顔で俺の側にいるだけでいい!だから元気出せよっ」
「貴哉ぁ♡」
良かった!少し元気になってくれたか♪
ほどなくして伊織が俺を迎えに来た。そして俺の前の椅子に座る空を見てさも嫌そうな顔をしていた。けど、特に空に突っかかる事もなく、状況を分かったようだ。
「今日はここで食うか?」
「いや、天気良いし外がいい!」
昨日あまり寝てねぇから食ったら少し寝たいんだ。このままじゃ午後の授業全部寝ちまう。
俺達三人は誰もいない屋上に来て、それぞれ食い始めた。俺はおにぎり。空はパン。伊織はカロリーメイトと野菜ジュース。弁当持ってる奴いたらおかず貰えたのになぁ。
「晴れてるけど、空気がもう秋だなぁ」
「だな!これぐらいがちょうどいいぜ~」
「ところで貴哉、テスト返って来た?俺の方は二教科返って来たぞ」
「ぐっ!」
伊織の問い掛けに俺はギクッとした。事情を知ってる空はクスクス笑ってる。
そう、テストは返って来た。午前中だけで三教科。午後は数学も返って来ると思う……
「その反応はダメだったのか」
「ほ、本命は数学だ!午後が楽しみだぜ!」
「でも先生達褒めてたよな。一学期より点数上がってるし、授業もちゃんと参加してるって」
「そうなんだよ。何かやたら優しかった気がするんだ。前は俺にテストの紙渡すのにため息ばっかついてたのにさ」
「努力した甲斐があったじゃねぇか♪まぁ期末で挽回すりゃいいだろ。期末はみっちり見てやっからな♪」
「伊織はどうだったんだ?お前もあんま勉強出来なかっただろ?」
「俺はいつも通りだったよ。今んとこ90点は取れてる」
「超優秀じゃねぇか!」
「さすがですね桐原さん」
「早川はー?お前こそ学年で片手に入る頭してんだろー」
「俺はダメでした。成績落ちますね」
「つってもそんな酷くねぇんだろ?お前ちゃんと学校来てるし、ちょっとやりゃ勉強出来るとか言ってたじゃん」
「授業聞いてればテストならね」
「余裕だね~。そうだ、貴哉に会いたがってる奴がいるんだ」
カロリーメイトを食い終わって野菜ジュースを飲んでる伊織が言った。俺に会いたい奴だぁ?伊織の知り合いだから面倒くさそうだなと思いつつも話を聞く事にした。
「誰?お前のダチ?」
「前田侑士だよ。前お前も気にしてたじゃん」
「前田!」
「侑士!」
噂の新生徒会長か!
これには空も驚いていた。
「俺に内緒で会うの遠慮しててアポ取りに来たんだ。俺は侑士なら会わせても全然平気だけど、どうする?」
「俺に何の用なんだよ?」
「俺には挨拶がしたいって言ってただけだけど」
「挨拶ぅ?いらん!面倒事はごめんだ!断れ」
「前田さんはまさか貴哉を狙ってるって事はないですよね?」
「それはないんじゃね?あいつとは結構仲良いけど、そういう話聞かねぇから大丈夫だろ」
「人って分からないですよー?そうやって恋人の方から手懐けて気付いた時には取られてましたーなんて事もあるんじゃないですかー?」
「そうなる前に侑士を消してやるよ♪」
「現に俺を消せてないじゃないですか~。俺が言いたいのは貴哉に変な虫近寄らせないで下さいよって事です」
「おう分かった。早川が侑士の事虫扱いしてたって伝えとくわ」
「酷っ!貴方って人は本当に意地が悪い!」
二人共楽しそうだなー。良かった良かった。
とにかく俺は前田侑士には会わない。
伊織にそう言ってこの後は昼寝タイムにする事にした。
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