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2章 文化祭までのいろいろ
やめろ!伊織に燃やされんぞ!
しおりを挟む「おはよう貴哉~」
「貴哉おはよ♪」
直登数馬カップルのご登校です。
お、数馬は真っ先に気付いたみてぇだな♪俺のネクタイに。「あ」と言う顔をして俺を見ていた。
直登は俺を見てるけど、しばらく経ってから反応した。
「今日の貴哉何か違くない?あー!ネクタイ!」
「ふっ!やっと気付きやがったか♪どうだ?かっこいいだろう?」
「うん♪かっこいいよ貴哉♪」
「てかネクタイ持ってたのかよっ!何で今更?」
「ゔっ……自分のネクタイは失くした……これは、伊織に買って貰ったんだ」
「出たー!桐原さんてば買い与え過ぎだろ!貴哉もどんなけ貢がせる気だ!」
「人聞きの悪い事言うんじゃねぇ!これは伊織が勝手に買って来たんだ!」
せっかくかっこよく決めてたのに、馬鹿直登のせいで台無しだ!俺は伊織に締めてもらったネクタイの結び目の所をグイッと引っ張って緩めた。
俺達が騒いでると、空も入って来た。すぐに俺のネクタイに気付いたらしい。
「貴哉がネクタイなんて珍しいなぁ!んなだらし無く締めてお前らしいなぁ♪」
すかさず緩んだネクタイを直そうとする空。こいつは俺の母ちゃんか。
「空くん、このネクタイ桐原さんからのプレゼントなんだってよー?」
「……へー。あの人貴哉の事、貧乏でネクタイも買って貰えない可哀想な奴って見下してんのかな?許せなくない?許せねぇよな?」
直登がニヤリと笑って空に言うと、俺のネクタイをギューっと握り締めた。
「や、やめろ空!シワになる!」
「俺も貴哉に何かあげたい!貴哉!何が欲しい!?」
「はぁ?ねぇよ欲しいもんなんてっ」
「いいじゃん、空くんがこう言ってるんだし、せっかくだから高い物買ってもらいなよ」
伊織に対抗心出しやがって!ほんと面倒くせぇなぁ!貰う俺が困るって分かんねぇかな?
「じゃあ俺が選ぶ!リングは桐原さんに取られたから、俺はネックレスにしようかな?」
「いらねぇ!俺はそんなもん付けねぇ!」
「じゃあブレスは?」
「アクセサリーは嫌いだ!これ以上面倒な物身に付けさせんな!」
伊織に貰った指輪でさえ失くさないように気使ってんのに、これ以上増えたらたまったもんじゃねぇ。俺が言うと、空は困ったような顔をしていた。
「ねぇ、キーホルダーとかは?前にみんなでお揃いで買ったじゃん♪キーホルダーなら鞄とかにも付けられるからいいんじゃない?」
「ナイス中西!それにしよう♪って事で部活終わったら買いに行こうぜ~♡」
「いらねぇって言ってんだろ!誕生日でもねぇのにそんなに貰えるか!」
「俺は貴哉にあげてないもーん」
「お前からは絵を貰っただろ。あれで十分だ」
「絵って何ー?空くん絵なんか描くの?」
「そう言えばあの絵、剥がしただろ?」
空に聞かれてギクッとした。確かに空の態度がおかしくなった時に、もう関わらねぇって決めて剥がしてクローゼットに閉まったままだ。
空の奴、良く見てんなー。ちょっと誤魔化すか。
「剥がしたぜ?そろそろ新しい絵が欲しくなってな」
「嘘だろ。桐原さんに剥がせって言われたんだろー?」
「言われてねぇよ!自分で剥がしたんだ!」
「あー分かったよ!んじゃあ今度は俺と貴哉の写真を拡大して印刷して貼ろう!」
「やめろ!伊織に燃やされんぞ!」
「燃やされても貼り続ける!継続は力なり!」
「もー、二人ともうるさいよー」
俺と空の言い合いに直登が呆れたように言った。
あー、空の奴、すっかり元に戻りやがったな。
でもこの方が俺は好きだ。ちゃんと言い返してくれた方が疲れるけど、楽。モヤモヤもないし、やっぱり空とは言い合っていたい。
空も同じ事を思ったのか、ニッと笑った。
「とにかく、放課後デートは予約したからな~♡桐原さんに言っとけよ~♡」
「言えるか!」
ヒラヒラとカーディガンの袖から少しだけ出てる手を振って自分の席に戻って行く空。
決まり文句のように返したけど、伊織には言おうと思う。俺のしたい事だからな。
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