29 / 219
1章 二学期中間テスト
彼氏が来るまで相手してやるよ
しおりを挟む今日からとうとう中間テストが始まる。
昨日は俺と伊織は勉強をサボった。まぁ中間だし、先週から少しやってたから前回より点数取れればいいなぐらいに考えていた。
勉強は大嫌いだけど、今日は不思議と心が落ち着いていた。
伊織に全部本当の事を話して分かってもらえたのがとても嬉しかったんだ。怒らずに、いや、内心はめちゃくちゃ怒ってるかもしれない。でも、伊織はずっと俺の側にいて、ずっと愛してくれた。
今回は腰も大丈夫みてぇだしな!少しだけ違和感あるぐれぇだ。
だからこれからは俺も出来る事をやろう。
余計な事は考えずに、無事進級出来るように嫌な勉強も頑張るんだ。
教室に入ると、みんなテストモードで、ほとんどの奴らが自分の机で勉強してた。俺はこの空気が嫌いだ。
「あ、貴哉おはよー。今日からテスト頑張ろうね~」
「おはよう貴哉」
直登と数馬も今日はイチャつかずにそれぞれ勉強してたみてぇだ。どれ、俺もやるかな?
「はよ。俺もたまには朝から勉強……ん?」
「貴哉ってばやる気満々~♪桐原さんに手取り足取り教えてもらった成果を出す時が来たもんね~?」
後ろから直登が茶化す声が聞こえるけど、そんなのはどうでも良くなった。俺の鞄の中はすっからかんで、いつも通り何も入っていなかったからだ。
「あ、やべ、いつものノリで何も準備してなかった」
「うわっ!やる気ねぇな!」
「貴哉、俺この教科は大丈夫だからノート貸すよ。読んで?」
「悪ぃな数馬♪うおっ字めっちゃ綺麗だな!」
「もうっ!数馬くんのノート汚さないでよね~」
俺は数馬にノートを借りてペラペラと捲って書いてある文字を読んでいた。今日は空の方は一回も見ていない。なるべく見ないように、空以外の事を考えるようにしようと思ってるんだ。
それからテストは普通に始まって初日が終わった。意外と手応えがあった気がするけど、気のせいか?なんか、伊織に教わったとこがあって、そこは埋められたんだ。まぁ半分は空白になっちまったけど、今までの白紙よりマシだろ!
て事で俺は伊織が迎えに来るのを待っていた。
んー、伊織が迎えに来るのはいいんだけど、今度から玄関とかで待ち合わせとかでもいいよなぁ?だってここで待ってるのとか暇だし?
そんな事を考えながら待ってるけど、いつもはすっ飛んで来る伊織がなかなか来ない事に気付く。
今日はテストだし、学年違うからなんかやってんのかなぐらいに思ってたけど、教室には数人しかいなくなった。今日は昼までだからみんな帰るの早かったなー。腹減ったもんなぁ。
俺は電話してみようとスマホを取り出した時、教室に誰かが入って来た。伊織かと思って見てみると赤い髪ではなく、明るい茶髪の空だった。
気まずくてすぐにふいっと窓の方に顔を向けてしまった。今日初めてハッキリ見たな。
テスト中、俺の席から廊下側に座る空が見えるから、横顔は見えていた。
くそー、伊織の奴早く来いよなぁ。
「帰らないの?」
「へっ!?」
声を掛けられるなんて思ってもなかったから思わず変な声が出ちまった!
え、今喋ったの空だよな?空の声だったよな?
空がいるであろう廊下側を見ると、こっちを見ていた。
「あー、帰るよ!でも迎えが来ねぇから」
「ああ、あの人ね」
それだけ言って教室から出て行こうとする空。てか何で戻って来たんだ?忘れ物でもしたのか?
俺は特に呼び止めるでもなく、そのまま空を見てたら空の動きがピタッと止まった。
そしてクルッとこちらへ歩いて来た。
なになになに?まだ何かあんの!?
「テストどうだった?」
「……まぁまぁかな。思ったよりは埋まったけど……?」
「俺はボロボロ!まぁテスト勉強なんかしなかったから当たり前だけどな~」
「でもお前勉強しなくても出来るじゃん」
「多分順位落ちる。空白何個かあったし」
「それでボロボロなんかよ」
「普通は全部埋めるだろ」
「喧嘩売ってんのか?」
何だこれ?普通に会話してっけど、ただの世間話みてぇな。空は普通に俺の側で話していた。
「はは、突っかかって来るとこ変わんねぇな」
「それはお前もだろ。てかそっちこそ帰らねぇのか?」
「帰ってもやる事ねぇし。彼氏が来るまで相手してやるよ」
「そりゃどーも。気持ちは嬉しいけど、その彼氏にはお前とはもう関わらねぇって言ってあるんだ。勘違いされるから気にせず帰れよ」
これは本音だった。
誰もいない教室で空と二人きりでこんな和やかに話してるとこなんか見られたら機嫌悪くなるに決まってる。
あまり深刻な感じにしたくなかったか、軽く言うと空は悲しそうな顔をした。
な、何だよっ?何でそんな顔すんだよ!?
空だって俺とは関わりたくねぇって言ってたよな!?
10
あなたにおすすめの小説
塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
発情期のタイムリミット
なの
BL
期末試験を目前に控えた高校2年のΩ・陸。
抑制剤の効きが弱い体質のせいで、発情期が試験と重なりそうになり大パニック!
「絶対に赤点は取れない!」
「発情期なんて気合で乗り越える!」
そう強がる陸を、幼なじみでクラスメイトのα・大輝が心配する。
だが、勉強に必死な陸の周りには、ほんのり漂う甘いフェロモン……。
「俺に頼れって言ってんのに」
「頼ったら……勉強どころじゃなくなるから!」
試験か、発情期か。
ギリギリのタイムリミットの中で、二人の関係は一気に動き出していく――!
ドタバタと胸きゅんが交錯する、青春オメガバース・ラブコメディ。
*一般的なオメガバースは、発情期中はアルファとオメガを隔離したり、抑制剤や隔離部屋が管理されていたりしていますが、この物語は、日常ラブコメにオメガバース要素を混ぜた世界観になってます。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)
優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。
本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。
男子寮のベットの軋む音
なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。
そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。
ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。
女子禁制の禁断の場所。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる