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1章 二学期中間テスト
伊織には言わねぇし
しおりを挟むしばらくそんなのが続いて、落ち着いた俺達は並んでベンチに座った。
何となく照れ臭かった。
また空と話が出来るようになったのは嬉しいし良かったけど、やっちゃいけない事をしている。
これじゃまた前みたいな繰り返しになるだけだ。
「貴哉さー、こんなの桐原さんにバレたらどーすんの?間違いなく俺は半殺しにされるだろうけど」
「伊織には言わねぇし」
「ふーん。俺と付き合ってる時もそう言って桐原さんと浮気してたんだ?」
「!」
空にそう言われながらジーッと睨まれた。
俺は何も言い返せずにいると、空は笑った。
「あん時はすげぇ悔しかったけどさ、いざ浮気する側になるとまた違うのな。なんつーの?優越感?向こうは知らないけど、俺は知ってるみたいな。まぁ俺は貴哉の本命じゃねぇからそこはもどかしいけどな」
今度は真っ直ぐ前を向いてそう言った。
これは、浮気なのか?いやでも何か違くないか?確かに、抱き合ってキスしたのは浮気になるだろうけど、そもそも空は俺の事をまだそう言う好きでいてくれてるのか?
ただの勢いでキスしたって可能性もあるよな?
「空、何でキスしてくれたんだ?」
「したかったからだよ。嫌だった?」
俺は首を横に振って答えると空がまた笑った。
今俺の横にいる空は俺の知ってる空だ。
笑顔の柔らかい感じの。でも何でだろ?
何となく、前とは違う感じがするんだ。
どこがどう違うのか分からなくて、俺は戸惑った。
「なぁ、貴哉はココにどこまで聞いたんだ?今日はその説教をしようとしてたんだろ?」
「あ!そうだよ!お前またおっさんと会ってるんだろ!?藤野からはお前がサウナにいたって事を聞いたんだ!ヤバいんじゃないかって!」
「ヤバいって、それを言うならココもだろ。何でココは良くて俺はダメなんだよ」
「なっ!だって藤野は……」
あれ?これって空に言っていい事なのか?
空こそ藤野の事をどこまで知ってるんだ?
藤野は出会い目的でハッテン場を使ってるけど、ゲイだって事はバレたくないんだよな?
だとしたら俺が空にそれを言うのはマズイか。
「藤野と空は俺にとって大切な度合いが違ぇんだよっ!藤野も友達としては大切だけど、空は……その……友達以上だから……」
最後の方は恥ずかしくなって小声になっちまった。何でかな?今こう言う事を空に言うのは凄え恥ずかしい!てかこうして二人で話すのも恥ずいんだけど!
空はクスクス笑いながら俺達の空いていた空間を埋めるように近付いて座った。
「友達以上って何ー?浮気相手ー?セフレー?」
「違ぇよ!俺にとってお前はそんなんじゃねぇ!もっとこうっあれだっ!うーん?親友?いや、そんなもんじゃねぇ!おい空っ!分かるだろ?俺が言いたい事!」
俺が上手く言葉に出来ずに空に振り向くと、すぐそこに空の顔があってまたキスしちゃうかと思った。
「分からねぇよ。何とか捻り出せって」
「はぁ?分かれよ!」
「もーいいじゃん浮気相手でもセフレでもさ~。とにかく、俺にも危ない事やるなってんならココにも同じ事言えよって話。あいつも学校にバレたらヤバいだろうが」
「確かに……藤野にも言うよ」
「ん。じゃ解決した?そろそろ帰る?一緒にいるの学校の奴に見られて桐原さんの耳にでも入ったら大変だから俺先行くけど」
空はあっさりそう言って立ち上がった。
え、もう帰っちゃうのか?
俺は空と話すのが久しぶりだからまだ一緒にいたいと思っていた。
てかやっぱり変だ。空は前と違って、あっさりしてる……こうして話してはくれるけど、俺との間に薄い見えない壁を作ってる感じ……
仕方ないのか。
それを空に言った所でまた傷付けるだけだよな。
それならこのまま離れた方がいいのか。
ここで二人で会って話した事、空が泣いた事、キスした事、無かった事にした方がいいのかもな。
「空、今日は待っててくれてありがとう。あとさ、今まで本当にごめん。俺、空の気持ちも考えずに突っ走ろうとしてた。今の俺には空を心配する資格なんかねぇのに……直登達にも言われたんだ。諦めようとしてるのに期待させるような事するなとか、空はもう俺に興味ないんだって。確かにその通りだって俺でも分かるよ。でもさ……気になっちゃうんだからしょうがねぇじゃんっ、空大丈夫かなぁって、見ちゃうのしょうがねぇじゃんっ」
「…………」
「でもさ、俺ももう分かったよ。空にとって俺は良くない存在なんだって。空の言う通りもう関わるのもやめるよ。他人になれるようにする。今までしつこくして本当に悪かっ……た……」
俺が話してる間、空は一言も喋らなかった。最後まで聞こうとしないでチャラ男号の方へ歩いて行くのが見えて俺はとても悲しくなった。
何がもう分かっただよ。全然分かってねぇ癖に。また空に笑って話してもらえて嬉しかった癖に。
空の事、何も分かってねぇ癖にっ!
俺は今の自分の立ち位置を考えて、そこに座ったまま先に帰って行く空を見送るしか出来なかった。
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