【完結】どいつもこいつもかかって来やがれ6th season

pino

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8章

面倒な事は御免だぜ?

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「早川と会ってたんじゃないのか?」

「空は用があるから会ってねぇよ。俺はこれから帰るとこ」

「一人なのか?」

「家に帰れば母ちゃん達いるけど、どして?」


 俺の状況を聞きたがる楓に、隣の恋人さんはすこぶる機嫌が悪そうだった。
 そりゃそうか。付き合ってる奴の元好きな奴の事なんかウザくて仕方ないか。俺も空の昔の女共の事にはうるさく言っちゃうしな~。何となく恋の気持ちが分かる気がして睨まれてもあまり怒る気にはなれなかった。


「俺はてっきり早川と会ってるんだと思ったから……」

「だから何?」

「貴哉……」

「楓さ、今は俺と会ってるんじゃなくて恋と会ってるんだろ。なら俺とじゃなくて恋と話せよ。これ以上足止めしたらもう口聞いてやんねぇよ?」

「…………」

「って事だからまたな~。あ、今度は仲良くやれよ?なんつって」


 俺は楓の返事を待つ気もなかったので、背中を向けて帰ろうとした。まぁコンビニの菓子はまた今度にしてやるよ。
 にしてもあれが楓の彼氏か。すげぇ気強そうで、俺とは合わなそうだな。なんか茜と初めて会った時みてぇな。
 ムカつくけど、訳があって邪険に出来ない感じとかさ。
 俺も空の事があるから楓とは少し距離置きたかったし、ちょうど良いかもな。


「おい貴哉!」

「んあ?」


 公園の入り口まで歩いた所で恋に名前を呼ばれた。振り向くと、こちらに歩いて来ていて悔しそうに唇を噛んでいた。
 立ち止まって待つ俺のすぐ近くまで来ると、真っ直ぐに俺を見て来る恋。チラッと見える楓も歩いてこちらへ向かって来ていた。


「さっきは睨んだり、キツい言い方して悪かったよ」

「別にもういいよ」

「あのさ、頼みがあるんだ」

「えー、面倒な事は御免だぜ?」

「楓と話してやってくれないか」

「楓と?何を話せって言うんだよ」


 ここで俺達に追い付いて来た楓を見る。楓も何の事だか分からない感じだった。


「楓がなんて言ってるのかは知らないけど、楓はずっとお前の事を想い続けてるんだ。また俺と付き合ってくれる事になったけど、多分、まだ貴哉の事を……だと思うから……」


 最後の方は小声だったからあんま聞き取れなかったけど、恋に言われて楓を見ると苦い顔をしていた。
 楓がまだ俺を想い続けてるだと?そんな事ないだろと思ったけど、楓の気まずそうな表情を見たら流すに流せなかった。
 もし恋の言う事が本当だとしたら、楓はずっと俺の事を好きでまた話したり会ったりしてくれてたって事だろ。俺はずっと楓とまた友達の関係に戻れて嬉しくてはしゃいでたけど、楓はそうじゃなかったって事……
 

「楓、そうなのか?」

「そうなんだよ!てかそれぐらい分かれよ!何年幼馴染やって来てんだよっ」

「恋!良い加減にしろ!勝手な事言いやがって、これ以上貴哉に生意気な口聞いたら許さねぇぞ」

「っ……ほら、やっぱり……楓はやっぱり俺の事なんて好きじゃないんじゃんっ!」

「貴哉、恋は冷静じゃない。相手にしなくていいから……あ!恋!」


 楓が俺に何かを言ってる時に、恋は走って公園から出て行った。あいつ、泣いてなかったか?
 すぐに楓に追わせようと思ったけど、俺はさっき恋が言ってた事が気になって楓と少し話す事にした。

 もし、楓がまだ俺の事をそういう目で見ているならちゃんとしなくちゃいけない。
 俺はまた楓と昔みたいに話せるようになって嬉しかったし楽しかった。でも楓にとっては辛い事だったんじゃないか?
 そんな楓の気持ちも知らずに俺は……
 

「楓、ちょっと話そうぜ」

「……ああ」


 走ってった恋から俺に視線を戻した楓はさっきの気まずそうな顔は無くなっていて、いつもの優しい笑顔だった。
 一体どっちが本当の楓なんだ?
 俺にとっての楓はこの笑顔の楓が本当だと思ってたけど、もしかしたらさっきの顔が本当の楓なんじゃないのか。

 俺は笑顔を作れなかった。

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