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4章
※ 無事なんですね!良かった……
しおりを挟む※紘夢side
目が覚めたら学校の保健室だった。ベッドの上で、一瞬何でここにいるのか分からなかったけど、すぐに俺の体の激しい痛みと、記憶が蘇って直前に起こった出来事を思い出して今の状況を理解した。
階段の一番上から足を踏み外した貴ちゃんを助けようと思って手を差し出したけど、そのまま勢いで下まで落ちちゃったんだ。一応貴ちゃんに衝撃が最小限になるようにはしたと思うけど、あの高さから転がり落ちたからどうなったかは分からない。
隣のベッドを見ても貴ちゃんの姿はない。
無事だったか、俺よりも酷くて病院に運ばれたか……後者だったらと思ったら血の気が引いた。
俺が貴ちゃんを困らせるような事を言って追い詰めたせいでこんな事になったんだ。俺が貴ちゃんを傷付けた……。
俺は貴ちゃんとエッチな事が出来た事が嬉しくて舞い上がっていた。それに、もう少しで冬休みだと言うのにいーくんが海外へ行ったと吉報も入った。これで貴ちゃんともいっぱい過ごせるんじゃないかって浮かれていたんだ。
それにしても保健室が騒がしい。俺が目を覚ましてからも大人達の声が聞こえて来ていた。先生達が騒いでるんだろう。そりゃそうか、生徒達が階段から落ちたんだもんな。
痛みに耐えながら俺がむくりと体を起こすと、気付いた保健室のおばちゃんと俺の担任が駆け寄って来た。
「一条くん目が覚めたのね!良かったわ~!」
「一条!大丈夫か!?他の先生方に連絡して来ます」
「ええ、お願いします。私は一条くんの側についてます」
担任はバタバタと慌てて保健室を出て行った。そして残った保健室のおばちゃんが俺の様子を診始めた。その間に保健室にあった時計で時間を確認する。確か俺と貴ちゃんが会ったのは授業が始まる少し前だ。10分前とかか?あれから30分ぐらい過ぎてる。とっくに授業が始まってる時間だ。俺は比較的すぐに目を覚ましたみたいだな。
「一条くん、まだ横になっていていいのよ」
「あの、一緒にいた秋山くんはどうしたんですか?」
おばちゃんの心配を他所にずっと気になっていた貴ちゃんの行方を聞く。聞くのは少し怖かったけど、知りたいんだ。
するとおばちゃんはニコッと笑った。
「秋山くんなら柴田先生とここへ向かっているわ。もう少ししたら来るんじゃないかしら?」
「無事なんですね!良かった……」
本当に良かった!俺は安心してボフッと再びベッドに横になった。衝撃で体が痛くて顔を歪めると、おばちゃんにうふふと笑われた。
「何があったのかは知らないけど、喧嘩はダメよ~?ご家族の方に連絡取ってる所だから今日は帰って後日ちゃんと仲直りしなさいよ」
「喧嘩ではないんですけど……はい。ちゃんと謝ります」
俺が情けなさそうに言うと、俺の体の様子を診ていたおばちゃんは離れて書類を書き始めた。
家族にって言っても的羽が来るんだろう。
俺はぼんやり天井を見ながらそう思った。
体中は痛いけど、幸い記憶は無事だ。俺ならあれぐらいの高さなら受け身を取る事は出来たけど、貴ちゃんを庇いながらだから上手く行かなかった。だからどこかで頭を打って少し気を失っていたのかも知れない。
でも、貴ちゃんが無事で良かった。家族と言う言葉を聞いて少し動揺したけど、貴ちゃんが無事だったと言う事を知れてホッとしていた。
しばらくして廊下の方が騒がしくなった。
何人かで揉めてるような声が聞こえる。
誰かが騒いでるのか?授業中なのに誰だろう?
「きっと秋山くんが来たんだわ♪」
おばちゃんは楽しそうに笑って言った。
貴ちゃんが問題児なのはこの学校の誰もが知っている。きっとおばちゃんも騒がしい原因は貴ちゃんだと思ったらしい。
言われてみればそうかも知れないな。あの気の弱い柴田先生と一緒だから好き放題言って騒いでるのかも。
貴ちゃんの事を想って俺は嬉しくなって、軽く体を起こして待つ事にした。
もしこの騒がしいのが貴ちゃんだったなら、元気だと言う証拠だ。
早く顔を見たい。願わくばギュッと抱き締めて謝りたい。
貴ちゃんは何よりも大事な存在だから。
次第に声が大きくなってきて、すぐそこまで来ているのが分かった。でも何かおかしい。貴ちゃんと柴田先生の二人にしてはやけにうるさい。
もっと大勢、複数人いるような……?
俺とおばちゃんはお互い顔を見合わせて不思議そうな顔をしていた。
そして保健室のドアが開いて騒がしい原因達が一斉に入って来た。
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