【完結】どいつもこいつもかかって来やがれ6th season

pino

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4章

※ 黙れクソ犬。まずは靴を脱げ靴を

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 ※侑士side

 俺にとってこの学校から排除すべき生徒の一人である今は金色の髪の桃山が目の前に現れた。


「あいつ、土足のまま入って来やがった」

「……湊」


 桃山はスニーカーのまま中に入って来て、そのまま俺達の前を通り過ぎようとした。俺はすかさず体を低くして左足を桃山の進行方向を妨げるかのように廊下に伸ばす。
 桃山はそれをジャンプしてヒョイっと避けた。着地した瞬間に桃山の鋭い目が俺を睨んだ。以前は肌身離さずマスクを着用していたけど、数ヶ月前から外し始めてから分かりにくかった表情が露わになって、怒っているのかとても機嫌が悪そうだった。


「ようクソ会長さん。邪魔してんじゃねぇよ」

「黙れクソ犬。まずは靴を脱げ靴を」

「あー、靴ね~。はいはい~っと!」

「っ!!」


 俺が土足を注意すると、桃山はしゃがんで靴紐を解いて脱ぐそぶりを見せたかと思ったらその脱ぎかけたスニーカーを俺に向かって蹴飛ばして来た。
 口調こそいつもの適当な感じだけど、やはり怒っているようだ。それか俺が相手だからか。
 至近距離だったから避けられずに腕を前に構えてガードするけど、桃山の飛ばして来たスニーカーは俺の腕に当たって落ちた。
 こいつ……俺はキレる寸前だった。一応二之宮がいるから抑えていたけど、こうなったら本気で行くしかない。


「前田、大丈夫か?」

「ああ、大丈夫だ」

 
 俺が桃山にキレかけた時、隣にいた二之宮が心配そうに俺の腕を触った。それによって俺の気が緩み、桃山に隙を与えてしまった。


「油断大敵~♪」

「ぐっ!!」


 桃山は靴下一枚になった足を高く上げて思い切り俺に振り下ろして来た。二之宮に当たらないようにそのまま両腕で受けるけど、桃山の攻撃は半端なガードじゃ意味をなさない。
 過去に桃山を取り締まるのに抵抗された事が何度かあるけど、こいつの身体能力は恐ろしく高かった。こうやって暴力的になると俺も痣の一つや二つは覚悟するもんだ。そうして毎回逃げられるんだけど、今回こそは捕まえたい。
 重い踵落としを喰らい、衝撃で後ろに倒れそうになるのを必死で堪えていると、二之宮が桃山に向かってポツリと言った。


「やめろ」

「…………」


 この二人が別れてからどうなったのかは知らない。少なくとも話してる姿を見ないから、友達に戻った訳ではなさそうだ。
 桃山と付き合っている時の二之宮はこういう時は怒っていたけど、今もそうなのか?二之宮が加勢してくれるなら心強い。そう思って俺はそっと二之宮の顔を見て、言葉を失った。
 そこには弱々しく困ったような表情の二之宮がいたからだ。


「頼むからそのまま行ってくれ。前田も、彼を見逃してくれないか?」

「…………」


 申し訳なさそうに「頼む」と言う二之宮に、何て言ったらいいか分からなかった。
 桃山は俺達を見下ろしていたけど、数歩下がってもう片方のスニーカーを脱いだ後、俺にぶつけて来たスニーカーを拾い自分の下駄箱へ向かって行った。


「ごめん、ごめんな前田」

「何で二之宮が謝るんだよ」


 中履きに履き替えて戻って来た桃山は二之宮を見た。二之宮も桃山を見てフワッと笑った。


「なぁ、貴哉と紘夢が階段から落ちたってよ」

「ああ、さっき秋山に会ったよ。二人共保健室にいるぞ」

「ふーん。情報提供感謝しまーす♪」


 笑顔の二之宮に言われて桃山はニッコリ笑ってそのまま保健室の方へ走って行った。
 あ、俺はまた悪を止める事が出来なかった……

 いや、今はそれよりも目の前にいる二之宮が気になって仕方がなかった。
 俺にも笑顔を向けてくれるようにはなったけど、やはり桃山に対しては別物だった。今隣にいる二之宮の笑顔はまるでお互いが信頼し合っているかのような、とても安心したような暖かいものだった。愛おしい者に向ける笑顔。

 そうか、二之宮はまだ桃山の事を想っているのか……

 そう感じたら俺の胸はズキンと痛くなった。

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