【完結】どいつもこいつもかかって来やがれ4th season

２章 球技大会

スポーツしてるお前見たかったけどな

　何だかんだ休みなんてもんはあっという間で、紘夢んちにみんなが集まったあの日から四日目の水曜日の朝。
　今日から停学処分が解けて、俺と伊織はまた学校へ通い出す。


「貴哉～！起きろー！」

「うるっせぇわ！もう起きてるっつーの！」


　空とのこのやり取りも何だか懐かしい。
　何となくベッドの中で起きていた俺はガバッと体を起こす。
　すると、ニコニコ嬉しそうに笑う空がいた。
　そんな顔されたら照れるじゃねぇか。


「おはよう貴哉♪」

「おう、おはよ……」

「俺さー、貴哉が今日から復活すんだって思ったら嬉しくて寝れなかったんだぜー？」

「へー、じゃあ寝てねぇの？その割には元気じゃん。まぁまた朝とかよろしくな」

「任せろー♡」


　相変わらずな空に俺も重い体を起こして準備を始める。
　正直、学校へ行くのは嫌じゃなかった。
　ずっと家にいるのも飽きたからだ。
　てか家にいると伊織が会いたがってうるせぇんだ。勉強教えるだの何だの言い訳して結局昨日までずっと毎日うちに来てたし。

　だから今日からはそれも無くなるから少し気が楽だった。伊織と一緒に過ごすのは嫌じゃねぇけど、空がいい思いしねぇからな。一応今付き合ってるのは空だ。もう嫌な思いはさせたくねぇ。


「そう言えば昨日の帰りに球技大会の話が出たんだ。先生が出たい種目決めとけって言ってた」

「今月末だっけ？」


　まぁ俺は数馬とテニスって決まってるしな。
　そういや空は何にすんだろ？


「月末～。今日からの体育は競技毎に分かれてやるらしいよ」

「空は何に出るんだ？」

「えー、貴哉いないならどれでもいっかなーって。別に何が得意とかねぇし」

「お前体育とか手抜いてるもんな」

「だって本気出したら汗かいちゃうじゃん！髪も乱れちゃうし！」

「女子かお前は！」

「スポーツ出来るとモテるけど、今はお洒落優先かなー？」

「えー、スポーツしてるお前見たかったけどな」

「えっ」

「お前が運動で本気出してるとこ見てみたかったんだよ。ほら背高いし、スポーツ出来たらかっこいいだろお前は」

「えええー！貴哉本気で言ってる！？」

「おう」

「貴哉にそう言われたら……本気出してみてもいいかも？」


　それから空は一人でニヤニヤしながら喋ってた。
　空のかっこいい所が見たいのは本当だ。一緒に馬鹿やって笑うのもいいけど、彼氏が頑張ってるとことか応援するのも有りかなぁって。
　でもそれは空がスポーツ出来るならの話だけどな。


「そもそもお前スポーツ出来んの？」

「貴哉がそれ言う？人並みには出来るよ。さっきも言ったけど、汗かきたくないからやらないだけ」

「俺も同じ理由だし。動くと疲れるからな。スポーツ出来るんならかっこいいとこ見せてくれよ。応援するから」

「分かった。なぁなぁ、かっこいいとこ見せたらもっと好きになるー？」

「は？ああ、なるだろそりゃ」


　一瞬、もっとって何だ？って思ったけど、めんどくさかったから話を合わせる事にした。
　俺からしたら空の事は十分好きなんだけどな。
　もしかして伝わってねぇとか？


「そんじゃあ本気出しちゃおっかなぁ♪カッコ良く決めるならどの球技かなぁ？」

「そんな選ぶ程出来るんだ？」

「一通りはね。やっぱり良く中学ん時ふざけてやってたからバスケかなぁ～」

「めちゃくちゃ動くやつじゃん。まぁ頑張れよ」


　俺の最も嫌いなスポーツだ。他の球技に比べて人数少ないし、動きが激しいからサボれないからだ。
　
　そんな会話をしつつ俺と空は家を出て学校へ向かった。