上 下
83 / 178
1章 写真ばら撒き事件

もう豪遊しねぇよ!俺が悪かったよ!

しおりを挟む

 ベトベトになった体を流す為シャワーした後リビングに行くと食い散らかしたピザとかのゴミが綺麗になってて驚いた。
 セックスしてる時に、片付けるの忘れてて母ちゃんに怒られるなぁと思ったんだけど、俺がシャワーしてる間に伊織が全部やってくれたらしい。

 そして母ちゃんと楽しそうに話す伊織。

 この男、本当に何でも出来るな……
 さすが俺のパシリだ!


「母ちゃんおかえり」

「貴哉!あんたは毎日取っ替え引っ替えイケメン連れ込んで!やるじゃん!さすが私の息子!」


 なんか褒められた。
 母ちゃん機嫌いいし、いっか。


「凛子さん、さっきの話ですけど、明日からでもいいですか?」

「ああいいよ!どうせ貴哉は停学終わるまで毎日休みみたいなもんだし、土日もやってあげて♪」

「おい、何だよ明日からとか土日もとか」


 二人は俺の分からない話をしてて、気になって会話に入ると、伊織がニッコリ笑って答えた。


「明日から来週の火曜日まで貴哉のカテキョやるんだよ♪俺がみっちり教えてやるからな♡」

「はぁ!?いらねぇよそんなの!」

「あんたね、どうせ学年最下位なんだろ?この機会に少しは勉強もやりなさいよ。そんなだから停学なんかになるんだ」

「停学は俺のせいじゃねぇ!」

「あんたのせいだろ!日頃怠けてるからこうなるんだ!伊織まで巻き込んで、残りの停学中は伊織に勉強教えてもらいな」


 機嫌のいい筈の母ちゃんに怒られて、伊織をキッと睨むと嬉しそうに笑ってた。
 こいつ、母ちゃんを味方に付ければいいと思ってやがるな!

 せっかく家でダラダラしてられると思ってたのに勉強なんてやだ!
 今は何を言っても言い返されるから、母ちゃんいない時になんとかすりゃいいか……


「分かったよっ!それと、今日伊織にマックとピザ払ってもらったんだよ。母ちゃん金渡してよ」

「マックとピザだとぉ?昼間っから何豪遊してんだ!貴哉お前停学の意味分かってんのか?ちっとも反省してないね!」

「だぁ!もう豪遊しねぇよ!俺が悪かったよ!」


 文句を言いつつも財布から金を出して伊織に渡してる母ちゃん。

 もうこれ以上怒られたくねぇから、俺は母ちゃんから逃げるように自分の部屋へ行った。

 そしてベッドに寝転がってやっとスマホを見る。

 ずっと気になってたんだよなー。
 電話もだけど、紘夢どうなったかなって。

 まず、あん時の着信は空からだった。
 今頃は部活やってそうだな。
 終わったら連絡するように言っとくか。
 
 紘夢からの連絡は無し……か。んー、まぁ俺に連絡ねぇって事はそんな悪くはなってねぇって事かな?
 今伊織いるし後で電話してみっか。

 それにしても今日はみんなからの連絡が少なかった。
 それはそれでいいけど、みんな紘夢の件に集中してるって事かと思った。

 あの学校一の問題児と言われた奴がみんなの前で謝ったんだもんなぁ。
 そりゃ話題にもなるか。

 あー、俺もその場で聞きたかったなぁ。紘夢の謝罪。

 ぼんやりそんな事を考えてると、いきなり空から電話が来てそのまま手に持ってたからすぐに出る事が出来た。


「おう空!昼間は電話返せなくて悪かったな」

『なぁ、動画見たか?今学校中が一条さんの話で持ちきりだぜ?』

「見た見た。あいつも可愛いとこあんだろ?」

『まぁ驚いたかな。あの人があんな風に思ってたなんてな。そんでさ、貴哉明日会えるー?』

「明日か……それが俺明日から勉強しなくちゃいけなくなっちまったんだよ」

『勉強?担任に言われたとか?』

「いや、母ちゃんと伊織に……」

『ちょっと待って!凛子さんは分かる!でも何で桐原さん!?』


 だよな。気になるよな。

 うん、もう変に隠すの辞めよう。
 後で面倒な事になるからな。


「実は今伊織が来てんだけど、どうやら母ちゃんとグルになって俺のカテキョやるって言ってんだ。学校に復帰するまで毎日……」

『毎日!?そんなの俺がやるよ!断って!』

「いや、お前教えるの下手じゃん」

『でもそんなのやだよっ』

「んな事言っても母ちゃんが言ってんだ。俺は従うしかねぇよ。てかせっかく学校行かなくていいのに勉強だなんて俺も嫌だし」

『じゃあ今日貴哉んち泊まる!いいよな!?』

「何でそうなる?まぁいいや、ちと聞きてぇ事あったから来いよ」

『もー!貴哉早く学校来てよぉ!』


 やっぱり空はうるさくなると思ったよ。
 でも母ちゃんに逆らえないのは本当だ。
 やるしかねぇ。

 空との電話を切った後、ため息を吐いてると母ちゃんと話を終えた伊織が入って来た。


「たーかや♪俺そろそろ帰ろうと思ってんだけど」

「おー、帰れ帰れ。どうせまた明日来るんだろ」

「うん。準備したら来る」
 

 伊織はニコニコ笑って俺に近付いて来た。
 なんだよ、見送れとか言うのか?


「貴哉、またな♡」


 ベッドの横まで来てほっぺにチュッてして微笑んだ。
 こいつは自然とこういう事しやがる……


「おい、俺達付き合ってねぇんだけど」

「付き合ってなくても好きだからいいでしょ♡」

「ったく」


 俺はベッドに寝転がったまま手を振る伊織を見送った。

 結局関係は変わらずって感じだな。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

【完結】別れ……ますよね?

325号室の住人
BL
☆全3話、完結済 僕の恋人は、テレビドラマに数多く出演する俳優を生業としている。 ある朝、テレビから流れてきたニュースに、僕は恋人との別れを決意した。

それはきっと、気の迷い。

葉津緒
BL
王道転入生に親友扱いされている、気弱な平凡脇役くんが主人公。嫌われ後、総狙われ? 主人公→睦実(ムツミ) 王道転入生→珠紀(タマキ) 全寮制王道学園/美形×平凡/コメディ?

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です。帰らせて。

かーにゅ
BL
「君は死にました」 「…はい?」 「死にました。テンプレのトラックばーんで死にました」 「…てんぷれ」 「てことで転生させます」 「どこも『てことで』じゃないと思います。…誰ですか」 BLは軽い…と思います。というかあんまりわかんないので年齢制限のどこまで攻めるか…。

学園の支配者

白鳩 唯斗
BL
主人公の性格に難ありです。

全寮制男子校でモテモテ。親衛隊がいる俺の話

みき
BL
全寮制男子校でモテモテな男の子の話。 BL 総受け 高校生 親衛隊 王道 学園 ヤンデレ 溺愛 完全自己満小説です。 数年前に書いた作品で、めちゃくちゃ中途半端なところ(第4話)で終わります。実験的公開作品

私の事を調べないで!

さつき
BL
生徒会の副会長としての姿と 桜華の白龍としての姿をもつ 咲夜 バレないように過ごすが 転校生が来てから騒がしくなり みんなが私の事を調べだして… 表紙イラストは みそかさんの「みそかのメーカー2」で作成してお借りしています↓ https://picrew.me/image_maker/625951

処理中です...