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1章 写真ばら撒き事件
もう豪遊しねぇよ!俺が悪かったよ!
しおりを挟むベトベトになった体を流す為シャワーした後リビングに行くと食い散らかしたピザとかのゴミが綺麗になってて驚いた。
セックスしてる時に、片付けるの忘れてて母ちゃんに怒られるなぁと思ったんだけど、俺がシャワーしてる間に伊織が全部やってくれたらしい。
そして母ちゃんと楽しそうに話す伊織。
この男、本当に何でも出来るな……
さすが俺のパシリだ!
「母ちゃんおかえり」
「貴哉!あんたは毎日取っ替え引っ替えイケメン連れ込んで!やるじゃん!さすが私の息子!」
なんか褒められた。
母ちゃん機嫌いいし、いっか。
「凛子さん、さっきの話ですけど、明日からでもいいですか?」
「ああいいよ!どうせ貴哉は停学終わるまで毎日休みみたいなもんだし、土日もやってあげて♪」
「おい、何だよ明日からとか土日もとか」
二人は俺の分からない話をしてて、気になって会話に入ると、伊織がニッコリ笑って答えた。
「明日から来週の火曜日まで貴哉のカテキョやるんだよ♪俺がみっちり教えてやるからな♡」
「はぁ!?いらねぇよそんなの!」
「あんたね、どうせ学年最下位なんだろ?この機会に少しは勉強もやりなさいよ。そんなだから停学なんかになるんだ」
「停学は俺のせいじゃねぇ!」
「あんたのせいだろ!日頃怠けてるからこうなるんだ!伊織まで巻き込んで、残りの停学中は伊織に勉強教えてもらいな」
機嫌のいい筈の母ちゃんに怒られて、伊織をキッと睨むと嬉しそうに笑ってた。
こいつ、母ちゃんを味方に付ければいいと思ってやがるな!
せっかく家でダラダラしてられると思ってたのに勉強なんてやだ!
今は何を言っても言い返されるから、母ちゃんいない時になんとかすりゃいいか……
「分かったよっ!それと、今日伊織にマックとピザ払ってもらったんだよ。母ちゃん金渡してよ」
「マックとピザだとぉ?昼間っから何豪遊してんだ!貴哉お前停学の意味分かってんのか?ちっとも反省してないね!」
「だぁ!もう豪遊しねぇよ!俺が悪かったよ!」
文句を言いつつも財布から金を出して伊織に渡してる母ちゃん。
もうこれ以上怒られたくねぇから、俺は母ちゃんから逃げるように自分の部屋へ行った。
そしてベッドに寝転がってやっとスマホを見る。
ずっと気になってたんだよなー。
電話もだけど、紘夢どうなったかなって。
まず、あん時の着信は空からだった。
今頃は部活やってそうだな。
終わったら連絡するように言っとくか。
紘夢からの連絡は無し……か。んー、まぁ俺に連絡ねぇって事はそんな悪くはなってねぇって事かな?
今伊織いるし後で電話してみっか。
それにしても今日はみんなからの連絡が少なかった。
それはそれでいいけど、みんな紘夢の件に集中してるって事かと思った。
あの学校一の問題児と言われた奴がみんなの前で謝ったんだもんなぁ。
そりゃ話題にもなるか。
あー、俺もその場で聞きたかったなぁ。紘夢の謝罪。
ぼんやりそんな事を考えてると、いきなり空から電話が来てそのまま手に持ってたからすぐに出る事が出来た。
「おう空!昼間は電話返せなくて悪かったな」
『なぁ、動画見たか?今学校中が一条さんの話で持ちきりだぜ?』
「見た見た。あいつも可愛いとこあんだろ?」
『まぁ驚いたかな。あの人があんな風に思ってたなんてな。そんでさ、貴哉明日会えるー?』
「明日か……それが俺明日から勉強しなくちゃいけなくなっちまったんだよ」
『勉強?担任に言われたとか?』
「いや、母ちゃんと伊織に……」
『ちょっと待って!凛子さんは分かる!でも何で桐原さん!?』
だよな。気になるよな。
うん、もう変に隠すの辞めよう。
後で面倒な事になるからな。
「実は今伊織が来てんだけど、どうやら母ちゃんとグルになって俺のカテキョやるって言ってんだ。学校に復帰するまで毎日……」
『毎日!?そんなの俺がやるよ!断って!』
「いや、お前教えるの下手じゃん」
『でもそんなのやだよっ』
「んな事言っても母ちゃんが言ってんだ。俺は従うしかねぇよ。てかせっかく学校行かなくていいのに勉強だなんて俺も嫌だし」
『じゃあ今日貴哉んち泊まる!いいよな!?』
「何でそうなる?まぁいいや、ちと聞きてぇ事あったから来いよ」
『もー!貴哉早く学校来てよぉ!』
やっぱり空はうるさくなると思ったよ。
でも母ちゃんに逆らえないのは本当だ。
やるしかねぇ。
空との電話を切った後、ため息を吐いてると母ちゃんと話を終えた伊織が入って来た。
「たーかや♪俺そろそろ帰ろうと思ってんだけど」
「おー、帰れ帰れ。どうせまた明日来るんだろ」
「うん。準備したら来る」
伊織はニコニコ笑って俺に近付いて来た。
なんだよ、見送れとか言うのか?
「貴哉、またな♡」
ベッドの横まで来てほっぺにチュッてして微笑んだ。
こいつは自然とこういう事しやがる……
「おい、俺達付き合ってねぇんだけど」
「付き合ってなくても好きだからいいでしょ♡」
「ったく」
俺はベッドに寝転がったまま手を振る伊織を見送った。
結局関係は変わらずって感じだな。
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