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貴哉とは笑い合っていたいかな
しおりを挟む風呂入って、夕飯食ってベッドでゴロゴロしながらスマホを見る。戸塚に奢ってもらったオムライス食ったからあんま食えなかったなー。
早川の他に楓から着信とメッセージが来てて、少し嬉しかった。今電話したら出るかな?
とか考えてワクワクして、スマホの画面見てたら桐原から電話が。
ヤベ、忘れてた。
「アンタ本当暇人だな」
『暇じゃねぇよ?俺は約束を守る男なんだ♡』
「悪い忘れてた」
『だと思って準備しといたから大丈夫だ!』
「は?何の準備だよ?」
頭にハテナを浮かべてると、家のチャイムが鳴った。誰か来たのか?母ちゃんが出るだろうと放っておくと、桐原からの電話は切れていた。
何だアイツ?
するとすぐに下で母ちゃんが俺を呼んだ。
「貴哉ー!友達来たよー!」
「友達?……まさか!?」
嫌な予感がして慌てて下の階に行くと、玄関の方で桐原と母ちゃんが話す声が聞こえてきた。
アイツ何で家知ってんだ!?
巷で話題のストーカーかよ!
「てめぇ!何で家に来てんだ!」
「あ、貴哉こんばんはー!会いに来たよー♡」
「貴哉!人様にてめぇなんて言葉使うんじゃないっていつも言ってるだろ!まったく誰に似たんだか!」
「口悪ぃのは母ちゃん似だ!」
「はは、貴哉の母さん面白いな」
俺の母ちゃんは普通の母ちゃんじゃない。見た目こそ普通だけど、てか他の母ちゃんに比べたら若い方だが、性格が男みたいなんだ。父ちゃんは一目惚れしたらしいけど、どこに惚れたのか不思議なぐらい男勝りで、俺が口悪いのは母ちゃん似ってのは間違ってない。
「貴哉、少し外で話さないか?すぐ帰るから」
家に上がる訳じゃねぇのか。少しホッとして、俺はそのまま桐原と家を出た。くそー、これからダラダラする予定だったのに面倒くせぇなぁ。
庭に出ると見慣れない原付が停まってた。
「ん?コレお前の?」
「そ、俺の愛車♪ちょっと停めさせてな」
「へー、俺も欲しいんだよ。くれよ」
「いいけど、タダじゃあげないよ♡俺の後はこえーよ?」
ニヤリと笑う桐原。本気で貰うつもりは無かったから俺も笑ってそのまま歩いて外に出た。
「で、どうやって俺ん家が分かった?ストーカー野郎」
「葵くんに聞いた。葵くんなら何でも知ってるから」
「生徒会長!?お前、知り合いなのか?」
「友達だよ。そんな驚く事か?」
「あの生徒会長と友達とかやっぱ変わってるわお前」
「そうか?貴哉も変わってるよな。一緒にいて楽しいし楽だ」
「人を茶化して楽しむとか悪趣味だな」
「茶化してなんかないだろ。貴哉には真剣に接してるつもりだ」
暗くて良く見えないけど、桐原は笑っている気がする。茶化されるのは慣れてるから別に気にならないけど、俺相手にここまで粘ってくる奴はそうそういないからな。俺は遠慮とかしねぇし、口悪いのは自分でも分かってる。もちろん直す気もねぇ。それでも寄って来るんだからこっちとしても楽だ。
「コンビニ寄って帰ろうか」
「何か買ってくれんの?先輩」
「いいよ。買ってあげる」
二人でコンビニに入って飲み物を選ぶ。財布はおろかスマホも置いて来ちまった。本当にすぐに帰るみたいだからいいけどな。
「貴哉、決まった?」
「ん、迷ってる」
「どれとどれ?」
「レモンティーかミルクティー」
「間をとってストレートで良いんじゃね?」
「やっぱコーラにするわ」
「全然違うやつじゃねぇか!どんな心境の変化だよ!」
「うるせぇなぁ。コーラも候補にあったんだよ。ほら会計」
コーラを取って桐原に渡すと、笑いながら受け取ってくれた。今日初めて会った奴なのに、普通に会話して普通に奢ってもらうとか変な感じがした。
でも桐原となら普通に出来てしまう。うーん、早川に似てるからか?
会計を済ませた桐原はコーラを俺に渡した。
「んじゃ帰りますか」
「サンキュ」
「ん?」
「コーラだよ。ありがとな」
「はは、可愛いな貴哉は」
「…………」
普通にお礼を言っただけなのに、優しく笑われた。
何でだろ。可愛いとか馬鹿にされてんのに、桐原だと嫌じゃない。年上だからか?俺に兄貴とかいたらこんな感じなのかな。
「なぁ桐原は弟いるのか?」
「いねぇよ?何で?」
「何か今兄貴っぽかったぞ」
「え、貴哉の兄貴?」
「俺は一人っ子だ。年下の扱い慣れてるんだな」
「あー、何か俺って慕われる事多いんだよな。それと俺自身に兄貴がいるんだけど、それの真似かも」
今度はへへっとガキっぽく笑った。
桐原は悪い奴じゃない。いきなり抱き付いてきたけど、ちゃんと訳があったしな。
俺はコーラを飲んで歩いて行く桐原の後を追った。
「兄弟って羨ましいぜ。兄貴が欲しかった」
「俺も貴哉みたいな弟欲しかったよ。毎日飽きなそうだ」
「俺達が兄弟だったら毎日喧嘩してそうだな」
「そう?毎日仲良くイチャイチャしてんじゃん?」
「は?」
「俺は貴哉と毎日喧嘩したいと思わねぇな。むしろこうやって一緒に散歩したり何か買って一緒に食べたり飲んだりしたい」
「それって普通じゃね?」
「普通が良くない?喧嘩もいいけど、貴哉とは笑い合っていたいかな」
「お前って不思議な奴だよな。お前が笑うと何か変だ」
「笑顔が変って事か?ひでーなそりゃ」
「そうじゃなくて、上手く言えねぇからいいや」
「はは。貴哉おもしれー」
家に着くと、桐原は原付に乗って帰って行った。本当に会いに来ただけ。特別な話をする訳でもなく、何をするでもなく。俺にコーラを買ってくれただけ。
でも何となく俺は楽しかったんだと思う。
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