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第12章 ラグナロク-神との戦い-
第130話 空の神への反抗
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「ではリビティナ様。空の神様に戦いを挑むと」
「あの者が元凶になっているからね。ボク達でどうにかしないと」
テロのようにナノマシンをばら撒くあの女を止めないと、この世界の四分の三以上の人が死ぬ事になる。生き残った者も人間の姿となって、今まで築いてきた文明や文化は全て失われるだろう。
人類をこの星で復興させる。それがあの女の目的なんだろうけど、この世界を潰してまでする事じゃないよ。世界の全ては自分達の物だと考え、自然破壊もいとわない傲慢な人間の性格は変わらないみたいだね。
「里にある弾道ミサイル。ここからですと神様が居るという場所まで届きませんな」
「最長射程の長距離ミサイルを南に持って行って、撃ち上げれば届くんじゃないかな」
「確かに……真上に撃つ感じならば、届くかもしれません」
あの女のいる場所は赤道上空。宇宙から見た惑星の大きさからすると、多分地上から八百キロほどの高さだ。赤道までミサイルを運べれば直接攻撃も可能になる。
「レールガンも神様の住まいまで届きませんね。どうしましょうか」
レールガンの射程は百五十キロ程だね。この星の大気圏は地上百キロメートルだから大気圏内の戦いなら使えそうだ。
「地上での戦いにレールガンは有効だよ。中距離ミサイルも持って行こうか」
どんな戦いになるか分からないからね、色んな種類の武器を持っていこう。
「リビティナ様。敵からの反撃はないんでしょうか」
「多分、エネルギー兵器があるだろうね」
「大出力レーザーとかビーム兵器でしょうか」
神様と称する者は、宇宙空間にあるあの場所から出られないと言っていた。
地上の物質的な資源はあまりないはずだ。ミサイルや爆弾の製造はできない代わりに、高エネルギー兵器があるだろうね。
あの空の上でも核融合炉や相転移エンジンぐらいは持っているだろう。この星の分厚い大気で減衰はするけど、空からビームを撃ってくることは考えられる。
でもそれらの兵器を知るのはリビティナの他にはイコルティとアルディアだけ。その並外れた威力も里の者には理解できないだろう。
伝説にある神のイカヅチ、それと同じ攻撃を仕掛けてくると説明する。
「赤道近くになれば反撃があるだろうね。こちらの武器をどこまで運搬できるかがカギになるよ」
弾道ミサイルの運搬には大型の爆撃機を使うつもりだけど、足が遅いからその方策も考えないといけない。
魔国の科学レベルはこの異世界ではトップだ。でも前の世界からするとお遊びみたいなもの。この星で再現できた武器だけで戦うのは無謀なんだけどね……。
「俺はリビティナ様に付いて行きますよ。今までの恩をまだ返しちゃいませんからな」
「ネイトス……」
今回ばかりは死を覚悟した戦いになる。不死身のヴァンパイアといえど、ビームで焼かれれば復活は叶わないからね。でも眷属のみんなは「私も付いて行きます」と励ましてくれる。そうだね、みんなのためにも頑張らないと。
「リビティナ様。マスクの事なんですが、静電気で病気の元を捕らえると言っておられましたな」
「そうだね。いくらきめ細かい繊維でもウイルスに近い大きさのナノマシンが通れる隙間はあるからね」
「その静電気を強力にすれば、小さな機械を破壊する事もできるのではないかと」
確かにそうだね。このナノマシンは元々医療用の物だ。リビティナが牙で直接体内に入れたり注射で体に入れるのを前提としている。空中に漂わすというのは想定外の使い方になる。
単一の機能に絞り、マシンサイズを小さくして体内で動き易くしているから、高電圧に耐えられる設計にはなってないはずだ。
工場長が言うには、魔道具で強力な静電気を付加すれば強力なマスクができるそうだ。
「それならあたしがミシュロム共和国の女王様にお願いして、そんな魔道具を作ってもらうわ」
エルフィが直接女王に会ってくれるなら話は早いね。早速職人を連れて行ってもらって開発してもらおう。数が多いから安価で簡単な構造にしてもらう必要があるけど、ガスマスク型に付けられる量があれば、現場で戦う兵士や国の中枢を担う者達を守る事ができる。
空の神に反転攻勢をかけるのはこの魔国以外じゃ無理そうだけど、ここ数日で各国を回って協力を得る事ができている。それぞれの国で国民を守る事ができれば、空にいるあの女の企みも潰えるだろう。
「できるだけの準備をして挑もう」
既に戦いは始まっている。戦力を整えて、より早く赤道まで運ばないといけない。弾道ミサイルの積み込み、戦闘機の整備など戦いの準備は進んでいく。
◇
◇
「巫女よ、鬼人族の巫女よ。聞こえておるか」
「あ、あなた様は、空におられる神様!」
「これより神託を下す。鬼人族全ての力を持って魔王を倒せ!」
「魔王!? 魔国の魔王殿の事でしょうか」
「そうだ。神に逆らいし魔王を討ち果たすのだ」
「あの者が元凶になっているからね。ボク達でどうにかしないと」
テロのようにナノマシンをばら撒くあの女を止めないと、この世界の四分の三以上の人が死ぬ事になる。生き残った者も人間の姿となって、今まで築いてきた文明や文化は全て失われるだろう。
人類をこの星で復興させる。それがあの女の目的なんだろうけど、この世界を潰してまでする事じゃないよ。世界の全ては自分達の物だと考え、自然破壊もいとわない傲慢な人間の性格は変わらないみたいだね。
「里にある弾道ミサイル。ここからですと神様が居るという場所まで届きませんな」
「最長射程の長距離ミサイルを南に持って行って、撃ち上げれば届くんじゃないかな」
「確かに……真上に撃つ感じならば、届くかもしれません」
あの女のいる場所は赤道上空。宇宙から見た惑星の大きさからすると、多分地上から八百キロほどの高さだ。赤道までミサイルを運べれば直接攻撃も可能になる。
「レールガンも神様の住まいまで届きませんね。どうしましょうか」
レールガンの射程は百五十キロ程だね。この星の大気圏は地上百キロメートルだから大気圏内の戦いなら使えそうだ。
「地上での戦いにレールガンは有効だよ。中距離ミサイルも持って行こうか」
どんな戦いになるか分からないからね、色んな種類の武器を持っていこう。
「リビティナ様。敵からの反撃はないんでしょうか」
「多分、エネルギー兵器があるだろうね」
「大出力レーザーとかビーム兵器でしょうか」
神様と称する者は、宇宙空間にあるあの場所から出られないと言っていた。
地上の物質的な資源はあまりないはずだ。ミサイルや爆弾の製造はできない代わりに、高エネルギー兵器があるだろうね。
あの空の上でも核融合炉や相転移エンジンぐらいは持っているだろう。この星の分厚い大気で減衰はするけど、空からビームを撃ってくることは考えられる。
でもそれらの兵器を知るのはリビティナの他にはイコルティとアルディアだけ。その並外れた威力も里の者には理解できないだろう。
伝説にある神のイカヅチ、それと同じ攻撃を仕掛けてくると説明する。
「赤道近くになれば反撃があるだろうね。こちらの武器をどこまで運搬できるかがカギになるよ」
弾道ミサイルの運搬には大型の爆撃機を使うつもりだけど、足が遅いからその方策も考えないといけない。
魔国の科学レベルはこの異世界ではトップだ。でも前の世界からするとお遊びみたいなもの。この星で再現できた武器だけで戦うのは無謀なんだけどね……。
「俺はリビティナ様に付いて行きますよ。今までの恩をまだ返しちゃいませんからな」
「ネイトス……」
今回ばかりは死を覚悟した戦いになる。不死身のヴァンパイアといえど、ビームで焼かれれば復活は叶わないからね。でも眷属のみんなは「私も付いて行きます」と励ましてくれる。そうだね、みんなのためにも頑張らないと。
「リビティナ様。マスクの事なんですが、静電気で病気の元を捕らえると言っておられましたな」
「そうだね。いくらきめ細かい繊維でもウイルスに近い大きさのナノマシンが通れる隙間はあるからね」
「その静電気を強力にすれば、小さな機械を破壊する事もできるのではないかと」
確かにそうだね。このナノマシンは元々医療用の物だ。リビティナが牙で直接体内に入れたり注射で体に入れるのを前提としている。空中に漂わすというのは想定外の使い方になる。
単一の機能に絞り、マシンサイズを小さくして体内で動き易くしているから、高電圧に耐えられる設計にはなってないはずだ。
工場長が言うには、魔道具で強力な静電気を付加すれば強力なマスクができるそうだ。
「それならあたしがミシュロム共和国の女王様にお願いして、そんな魔道具を作ってもらうわ」
エルフィが直接女王に会ってくれるなら話は早いね。早速職人を連れて行ってもらって開発してもらおう。数が多いから安価で簡単な構造にしてもらう必要があるけど、ガスマスク型に付けられる量があれば、現場で戦う兵士や国の中枢を担う者達を守る事ができる。
空の神に反転攻勢をかけるのはこの魔国以外じゃ無理そうだけど、ここ数日で各国を回って協力を得る事ができている。それぞれの国で国民を守る事ができれば、空にいるあの女の企みも潰えるだろう。
「できるだけの準備をして挑もう」
既に戦いは始まっている。戦力を整えて、より早く赤道まで運ばないといけない。弾道ミサイルの積み込み、戦闘機の整備など戦いの準備は進んでいく。
◇
◇
「巫女よ、鬼人族の巫女よ。聞こえておるか」
「あ、あなた様は、空におられる神様!」
「これより神託を下す。鬼人族全ての力を持って魔王を倒せ!」
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