ぬい【完結】

染西 乱

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外に出れば、解放された気分で自転車のカギをパーカーのポケットから取り出してさっさと目の前にある信号を渡った。
信号を渡れば、最近できたばかりのコンビニの駐車場がでかでかとあって、今日はそこに一台も車は止まっていない。
日が暮れてすっかり暗くなってしまった道を自転車でかっとばす。
先ほどのバイト先のすぐ前の信号以外に、家に帰るまでの間には一つだけ大きな交差点があったが、夜になると車一台通っていない。
もともと霊園に向かう車用に作られた道なのだろうと思う。
お盆になれば車はビュンビュン行きかうが、それ以外は地元の人間しか使わない。
大きな道の割には、交通量はかなり少ない。

青信号がチカチカと点滅していて、私は行けるかいけないか、いや車一台も来てないし「行く」しかないと自転車の速度を上げてギリギリのところで信号を渡る。

そこを渡ればもうそのあたりは霊園のテリトリーに入っているといっても過言ではない。
葬儀社が営む喫茶店と、墓石のお店がいくつか。
当然こじんまりとした花屋もある。少し離れたところには仕出しのお店があるが、それは私の家の方向とは異なっている。
葬儀社の建物はかなり大きく、四六時中明かりがついていた。
それに比べて火葬場は時間が決まっているため、夜は真っ暗でそこに火葬場があることがわからないようにひっそりと静まり返っている。

私は真っ暗な闇に包まれた火葬場の横を特になにも思うことなく自転車で進んでいく。
風がそよそよと気持ちがいい温度だ。
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