記憶を無くしている俺が、この世界に蔓延る輩を一人残らず粛清するまで(第一章、魔王を粛清するまで完結)

ぎたー

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第二章、国王を粛正するまで

第39話・「帝国将軍レイラと会う前の出来事3・魔王軍幹部狼男編」

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 ソルはユウを召喚リストへ加え、配下とした。ユウの仕事は人間の子供を育成することだと伝えられ、鬼20体が護衛につくこととなった。





 魔王ソルは事がうまくいったことに満足気な顔をしている。

 魔王軍幹部のサキュバスであるユウはソルを見てゾっとし、もう一度筋肉ムキムキの赤黒い巨体の鬼を見上げながら冷や汗を流す。
 な、なんだいこいつらは・・・一体一体が魔王幹部クラスじゃないのかい?
 
 魔王ソルは鬼20体をすんなりと召喚し、私に3体と孤児院に17体を用意すると言っていた。魔王軍幹部クラスの鬼を配下にポイっと投げ捨てたのだ、おかしい。いや、おかしいとかそういう次元ではない。そうなってくると今回召喚した鬼達は魔王ソルが召喚できる下位の存在なのか・・・魔王ソルは歴代最強じゃないのかい?

 当人からは微塵も強さを感じない事が意味不明だけど、魔王だったギーゼを配下に加え、私の事さえ簡単に配下へと加えた。
 ユウはソルの底が見えないと判断し、一層の忠誠を誓うことにした。



 「おいおいおい、俺達に怯えて顔も出せない魔王様が来てるらしいじゃねえか」

 ソルは色々とうまくいってるなぁと思っていたらイキった声が聞こえてきた。
 声のするほうを向くと狼男らしき者達がたくさん出てくる、ざっと100人以上はいそうだが。
 喋りかけてきたやつは、先頭で一番ガタイのいい狼男だ。

 「ガルフ、魔王様に向かって無礼だぞ」

 「ああ?!俺達に挨拶もこない野郎だぞ、礼儀なんてあるかよ」

 「元魔王、あれはガルフという名前なのか?」

 「そうです、魔王軍幹部で狼男のガルフと申します。教育が行き届いておらず申し訳ございません」

 「気にするな、こういうやつらがいることは織り込み済みだしな」

 ソルは上機嫌に元魔王と話す。

 
 「お前が魔王ソルか、弱そうだなぁ。よし!さっさとぶち殺して俺が魔王になってやるよ」

 魔王軍幹部ってのはすぐ魔王を殺そうとするんだなとソルは笑ってしまう。ガルフはソルの笑いで舐められていると感じ即行動に移す。

 「お前らぁ、魔王以外の足止めを任せる!俺が魔王を殺すだけの時間を稼げ!」

 「「「おおおおお!!!」」」

 ガルフが配下の狼男達に檄を飛ばし、それに配下達は全力で応える。


 ガルフのセリフにソルは頭を抱える。
 おいおい、俺そんなに弱く見えんの・・・いや、見えるんだろうけど俺腐っても魔王よ?と言いたくなる。
 はぁ。まずはメッセージで指示するかぁ。

 全員、なるべく殺さないように。
 こいつら全員仲間にするから。

 ソルの召喚した者達は、しっかりとメッセージを理解した瞳をしている。


 「突撃だぁ!!!!!」

 ガルフの掛け声と共に狼男達が一斉に駆けてくる。
 シャーロット、元魔王、ユウ、鬼20体は配下の狼男達を迎え打つ。
 
 「お前は速攻で殺す!!!」

 ガルフは瞬時にソルへ接近し長く鋭い爪をソルに向けて振りかぶる。
 ソルは迫りくる刃の中、一言呟く。 

 「ヴィシャ召喚」

 キンッ!!!という金属音が大きく響く。

 「だ、誰だてめえ」

 黒い甲冑を全身に纏ったヴィシャが黒剣でガルフの爪を受け止めていた。

 「主、どうする?」

 「殺さずに動かなくすることはできる?」

 「了解」
 「死ねえぇええええ!!!!」
 
 ヴィシャが答えている最中に、ガルフは目にも止まらぬ速さで両腕の爪で攻撃を仕掛ける。
 が、ヴィシャは平然とガルフの攻撃を捌き続ける。

 ヴィシャは魔法無効化という能力を持っているが、その能力に頼らずとも剣術だけで相当な強さだろうなとソルは感心する。

 「ちっ!」
 
 ガルフはこのまま攻撃してもヴィシャに届かないと感じ、いったん距離をとる。
 ヴィシャも黒剣を鞘へ納める。

 「あんたつえぇな!そこまでの強さがありながら何故雑魚にぃイ”!!!」

 ドサッ。
 ガルフが喋っている最中にヴィシャが消え、気づいたらガルフが倒れた。
 ただ全く出血していないことと、ヴィシャが黒剣を抜かずに鞘を振り抜いていたことを見るに峰打ちらしい。
 お見事。
 
 「戯言等、聞く必要なし」

 さすがとしかいいようがない。

 「ヴィシャ、さすがだな」

 「いえ、相手が弱かっただけです」

 なんかヴィシャ怒ってないか?
 うーん、まあいいか。とりあえずいつものいっとく?
 ソルはガルフの元に歩き出す。



 配下の狼男達は当然のように全員転がっている、誰も死んでないらしい。素晴らしい。
 そして、俺の目の前には土下座しているガルフ。
 まあ、ガルフ君にはいつもどおり生贄召喚からの召喚リスト入りをしてもらったから問題なしと。
 
 「ガルフよ、お前にはユウとこの孤児院を陰ながら警護してほしい。他の魔王軍幹部が攻めてきたときに被害を最小限にするべく行動せよ、それ以外は自由にしてかまわん」

 「はっ!」

 「ただし、配下の不始末はお前に責任を取らす。孤児院に手を出してみろ、お前にはあの苦しみを味合わせてやる」

 「は、は、は、はいぃぃぃ」

 ガルフはガクガクと震えながら首を垂れる。
 ソルはガルフの態度に満足し、シャーロットへ話しかける。

 「シャーロット、村のほうの準備は万全か?」

 「はい、全て滞りなく」

 「よし、元魔王、ユウ、ガルフよ孤児院の事はお前たちに任す。何かあればメッセージで報告せよ」

 
 ソルは孤児院組に指示を出し、ヴィシャを召喚解除してシャーロットと共に村へと戻る。
 輩共を粛正すべく。
 
 夜は更けていく。
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