記憶を無くしている俺が、この世界に蔓延る輩を一人残らず粛清するまで(第一章、魔王を粛清するまで完結)

ぎたー

文字の大きさ
14 / 40
第一章、魔王を粛清するまで 

第14話・大天使という輩を粛清

しおりを挟む
 ゾンビの祝福という不死の何かになるスキルを手に入れた俺は大天使を召喚することを決意する。召喚した大天使は金色すぎて、残念成金の匂いがする。





 召喚された大天使はものすごく動揺している。

 「えぅ!?わ、私を、し、召喚したのは・・・あ、あなた?」

 「そ、そうですが」

 「ア、アンデッドではないのですか?」
 
 大天使は、自分を召喚したものがアンデッドだと一目で見抜いていたが、青年の容姿に加え丁寧な言葉を話すために思わずアンデッドなのかを聞いてしまっていた。

 俺は大天使が心底戸惑っていることに、その気持ちよく分かるよぉと心の中で頷く。
 なんで闇属性に振り切ったアンデッドの俺が光属性に振り切った大天使を召喚できているのかだろ?俺も聞きたい。にしてもやはり天使様なだけあってアンデッドの俺とも話をしてくれそうだ。
 清廉潔白という言葉を具現化したような上位の存在であろう大天使様は、たとえ醜くて汚くて醜いアンデッドだとしても寛容な気持ちで話してくれるってものよ。

 「そうなんです、私はアンデッドでしッッ」

 ソルがアンデッドだと答えている最中に大天使は瞬時に接近、金色の槍をソルへ突き刺す。
 突き刺さった槍はとてつもない力を秘めており貧弱なソルの身体は爆散した。

 大天使はソルを爆散させながら思う、何故アンデッドが私を召喚できたのだろう?
 いや、何かの間違いで召喚できるようになったとしても、何故アンデッドが召喚しようと思ったのだろう。

 
 私は召喚された際、清く正しいものになら仕えてもいいと思っていた。
 だが、明らかに悪意を持った不浄な存在であるアンデッドが召喚したとなれば話は別だ。生かしておけば生者に不幸をまき散らすのは確実と判断し殲滅したのだけど・・・もちろんアンデッドを倒したことに後悔ない、それでも話も聞かずに殺してしまったことに少しだけ罪悪感が募る。





 背後から、何者かの手が大天使の肩に置かれた。

 「!?」

 大天使の肩がビクッと跳ねる。
 私が気配すら感じることなく背後を取られ、ましてや肩に手を置かれている。魔王軍幹部とも戦ったことがあり、雑兵ならば数千を一人で屠る自信さえあるこの私が背後をとられているなんて、どのような存在が現れたのかと硬直しながら冷や汗をかく。

 「会話すらできないクズが」

 とても威圧的で低い声がする。
 その声は私を虫けらだと思っているように聞こえた。

 「身の程を分からせてやる」

 大天使は危機感からか体が動くようになり、この状況を脱しようとする。

 「生贄召喚」

 ソルが呟くと大天使の足元に魔法陣が展開し、大天使は一瞬のうちに魔法陣へ沈んでいく。そして、その魔法陣から大天使が片膝をついた状態で召喚される。その身体はガタガタと震え、真っ青な顔で過呼吸のような状態となっている。

 ソルは再度召喚された大天使の肩に手を置きながら口を歪める。
 こいつの状態を見るに生贄召喚は相当酷い目に合うらしい。さすが生まれてきたことを後悔させるというだけはある、会話すらできないクズには当然の報いだな。
 
 「大天使、ゾンビの俺に忠誠を誓え」
 
 大天使は極度に衰弱しなにも考えられない状態ではあったが、ソルの言葉で我に返る。
 このアンデッドは異常、いや、異常などという言葉で収まるような存在ではない。ここで確実に殲滅しなければ世界に大きな災いをもたらすのは目にみえている、大天使の目に使命感という火が灯り邪悪な化身を滅ぼそうとする。

 「生贄召喚」

 ソルは大天使が行動を起こそうとした瞬間に生贄召喚を執行する。大天使の足元へ再度魔法陣が展開し、大天使は一瞬のうちに魔法陣の中に沈んだ。
 その後、その魔法陣から召喚された大天使は前回と同じかそれ以上に衰弱した状態で召喚された。
 俺は当然のように魔法陣から出てきた大天使の肩に手を置く。

 「大天使、ゾンビの俺に忠誠を誓え」

 大天使はビクッとして身体を震わせながら怯える。
 2度目の生贄召喚を味わった事により身体の芯から恐怖に支配され、正義感や使命感などといったものが沸き上がってこない。ひたすらに逃げ出したい、もうあれを味わいたくない、それだけが頭を支配する。

 「分かるだろ、お前が助かる道はゾンビの俺に忠誠を誓うしかない。あ、お前なんかに時間をかけるのも勿体ないし、ここで忠誠を誓わないなら10回ぐらい連続で味わってみるか?」


 ソルからこの苦しみに終わりがないと言われたことで、大天使の心は完全に折れる。
 現状、私にはアンデッドに忠誠を誓う以外の選択を与えられていない。だが忠誠を誓ってしまえば天使達から恥さらしやクズだと蔑まれる人生を送る事になる。大天使としてアンデッドに仕えることだけは・・・
 
 大天使の目から光が消えた。
 私が大天使だからいけないんだ。
 私はもう死にたい。死にたいと願った時点で大天使としての私は死んだのと同義、なにものでもない私になったのならアンデッドに忠誠を誓ったとしても問題はない。と自身を正当化することで、この苦しみから逃げる道を選ぶ。

 「ち、忠誠、を、誓い、ます」

 生贄召喚の影響からか声を出すことも苦しいため、絞り出すような声でソルへ伝える。

 「よし、お前は今から俺の配下だ。よろしく頼む」

 「え?」
  
 ソルは先ほどの声と打って変わり優し気な声で大天使へ話しかけ、手を差し出す。大天使はその変わりように戸惑いながらもその手を握る。

 「よ、よろ、し、く、お願い、し、ます」




 実はこのときソルは心の中で狼狽していた。
 
 ど、どうしてしまったんだ俺は!
 確かに問答無用で殺されそうになった事には腹が立つ。腹が立ったのは分かるが、いきなり豹変し大天使を虫けらのように扱う鬼畜野郎のような振る舞いをするか?先ほどの自分が未だに信じられず悶える。記憶を失う前の俺はどんなやつだったんだぁ!!!

 と苦悩し終えて大天使を見ると俺に怯えている、ものすごく。
 いや、それはそれでおかしくない?大天使が俺を殺そうとしたんだよ?
 殺されそうになったから仕返しをしたら怯えられるってどういうこと?と言いたいんだけど、それぐらい怖い思いをしたと言われれば・・・いや、問答無用で殺されそうになったんだから正当防衛待ったなしでしょ!

 「大天使・・・大天使って呼ぶの面倒だな、名前は?」

 「ガ、ガブリ、エ、エル」

 「ガブリエルね、俺の名前はソル。召喚主は俺だけど必要以上に畏まる必要はないから、できれば仲良くしていきたいし」

 ガブリエルって聞いたことある名前だな、有名な天使の名前だったような?うーん、同名という線もあり得るし関係ないよな。

 「あ、あり、がと、う、ござ、います」

 ガブリエルはソルの仲良くするという言葉に怯えていた。
 このアンデッドは私をモルモットか捨て駒にするのが目に見えている・・・私にはなにもなくなってしまった。
 




 ソルの予定では大天使を無事に召喚できたら他も召喚したいと思っていたのだが、殺されたり相手を拷問したりと殺伐な事になり気が滅入りそうだったので辞めておくことにした。あぁ、疲れたなあと思う。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

薬師だからってポイ捨てされました~異世界の薬師なめんなよ。神様の弟子は無双する~

黄色いひよこ
ファンタジー
薬師のロベルト・シルベスタは偉大な師匠(神様)の教えを終えて自領に戻ろうとした所、異世界勇者召喚に巻き込まれて、周りにいた数人の男女と共に、何処とも知れない世界に落とされた。  ─── からの~数年後 ──── 俺が此処に来て幾日が過ぎただろう。  ここは俺が生まれ育った場所とは全く違う、環境が全然違った世界だった。 「ロブ、申し訳無いがお前、明日から来なくていいから。急な事で済まねえが、俺もちっせえパーティーの長だ。より良きパーティーの運営の為、泣く泣くお前を切らなきゃならなくなった。ただ、俺も薄情な奴じゃねぇつもりだ。今日までの給料に、迷惑料としてちと上乗せして払っておくから、穏便に頼む。断れば上乗せは無しでクビにする」  そう言われて俺に何が言えよう、これで何回目か? まぁ、薬師の扱いなどこんなものかもな。  この世界の薬師は、ただポーションを造るだけの職業。  多岐に亘った薬を作るが、僧侶とは違い瞬時に体を癒す事は出来ない。  普通は……。 異世界勇者巻き込まれ召喚から数年、ロベルトはこの異世界で逞しく生きていた。 勇者?そんな物ロベルトには関係無い。 魔王が居ようが居まいが、世界は変わらず巡っている。 とんでもなく普通じゃないお師匠様に薬師の業を仕込まれた弟子ロベルトの、危難、災難、巻き込まれ痛快世直し異世界道中。 はてさて一体どうなるの? と、言う話。ここに開幕! ● ロベルトの独り言の多い作品です。ご了承お願いします。 ● 世界観はひよこの想像力全開の世界です。

身寄りのない少女を引き取ったら有能すぎて困る(困らない)

長根 志遥
ファンタジー
命令を受けて自らを暗殺に来た、身寄りのない不思議な少女エミリスを引き取ることにした伯爵家四男のアティアス。 彼女は彼と旅に出るため魔法の練習を始めると、才能を一気に開花させる。 他人と違う容姿と、底なしの胃袋、そして絶大な魔力。メイドだった彼女は家事も万能。 超有能物件に見えて、実は時々へっぽこな彼女は、様々な事件に巻き込まれつつも彼の役に立とうと奮闘する。 そして、伯爵家領地を巡る争いの果てに、彼女は自分が何者なのかを知る――。 ◆ 「……って、そんなに堅苦しく書いても誰も読んでくれませんよ? アティアス様ー」 「あらすじってそういうもんだろ?」 「ダメです! ここはもっとシンプルに書かないと本編を読んでくれません!」 「じゃあ、エミーならどんな感じで書くんだ?」 「……そうですねぇ。これはアティアス様が私とイチャイチャしながら、事件を強引に力で解決していくってお話ですよ、みなさん」 「ストレートすぎだろ、それ……」 「分かりやすくていいじゃないですかー。不幸な生い立ちの私が幸せになるところを、是非是非読んでみてくださいね(はーと)」 ◆HOTランキング最高2位、お気に入り1400↑ ありがとうございます!

Sランクパーティを引退したおっさんは故郷でスローライフがしたい。~王都に残した仲間が事あるごとに呼び出してくる~

味のないお茶
ファンタジー
Sランクパーティのリーダーだったベルフォードは、冒険者歴二十年のベテランだった。 しかし、加齢による衰えを感じていた彼は後人に愛弟子のエリックを指名し一年間見守っていた。 彼のリーダー能力に安心したベルフォードは、冒険者家業の引退を決意する。 故郷に帰ってゆっくりと日々を過しながら、剣術道場を開いて結婚相手を探そう。 そう考えていたベルフォードだったが、周りは彼をほっておいてはくれなかった。 これはスローライフがしたい凄腕のおっさんと、彼を慕う人達が織り成す物語。

没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで

六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。 乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。 ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。 有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。 前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

処理中です...