cross of connect

ユーガ

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絆の邂逅編

第四話 天才魔道士

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「・・・トビと言ったな」
翌日、再び謁見の間に通されたユーガとトビに、カヴィスは視線を向けた。
「ログシオン陛下からの書状、確かに眼を通した」
あの、とユーガがカヴィスを見る。
「その書状って、何が書いてあったんですか?」
「ユーガ。貴公は少し図々しいぞ」
セルがユーガを抑える。トビが小さく確かに、と頷いた。
「よい」
カヴィスがセルに手を上げる。セルは眉を顰めて一歩下がった。
「・・・ユーガ、トビよ。ケインシルヴァとクィーリアの二国、両方に「天才魔道士」というのがいるのを知っているか?」
「天才魔道士・・・?」
ユーガは首を傾げたがトビは、ああ、と頷いた。
「・・・クィーリアの天才魔道士がシノ・メルト。ケインシルヴァの天才魔道士が・・・確か、ルイン・グリーシアだった筈だ」
「へぇ・・・よく知ってるな、トビ」
ユーガはトビを見ると、トビは呆れた眼でユーガを見て、一般常識だと思うが、と言った。
「そうだ。今世界に起こっている地震を調査するならその二人に協力要請を頼め、と書状には書いてあった」
「・・・それを早く言ってくれればケインシルヴァに来る前にシノに話をできたってのにな・・・」
ちっ、とトビが舌打ちをした。確かに、とユーガも納得する。
「さらに、ユーガ、トビの二名は協力させるように許可を出す事を申請してきた」
カヴィスは、昨日トビが渡した手紙をひらひらと振った。
「・・・協力?俺がユーガを利用する、の間違いでは?」
トビは少し意地の悪い笑みを浮かべて言った。しかし、ユーガはそれを気にせず、
「・・・俺はトビと協力して、安心して暮らせる世の中にしたいです。わがままなのはわかっていますが・・・陛下。どうか許可をいただけないでしょうか」
とユーガは頭を下げた。本気のようだ、とカヴィスは思う。ふぅ、と軽く息をつき、
「・・・頭を上げよ、ユーガ。・・・いいだろう。お前達の協力を許可する」
ユーガは頭を上げ、驚いたように眼を開いた。
「ホントですか⁉︎ありがとうございます、カヴィス王!」
ユーガは眼を輝かせて、カヴィスに近寄った。トビはやれやれ、と手を振る。
「・・・だから、協力じゃねぇっつの」

「・・・じゃあ、ネロはここに残るんだな」
レイフォルスへ向かう直前、ガイアの出口でネロがユーガ達を呼び止め、残ると言った。そうだよな、とユーガは思う。だが、とトビはネロを見る。
「あんたが和平を結ばせるから、この条約には意味があるんじゃなかったのか?」
ネロは少し俯き、ゆっくりと首を横に振った。
「・・・そうかもしれないけど、ユーガも元貴族なんだし。由緒ある家の末裔が結ぶなら文句は言わないと思う。カヴィス王もログシオン陛下もわかってくれるよ、きっと」
ユーガはええ、と頭を掻いた。
「・・・ネロがいないのに、大丈夫なのか・・・?」
「なんだ?降りるか?それなら楽なんだけど」
トビが顎に手を当ててニヤッと笑う。ユーガはむ、とトビを見た。
「降りないよ。まったく・・・」
ふーん、とトビはユーガから眼を離す。ネロがユーガに近付き、折り畳まれた紙のような物を渡した。どうやら地図のようだ。
「昨日、使用人に急いで作らせたんだ。クィーリアとミヨジネアの地域もあるから、迷うことは無いと思う。それと、レイフォルスへ行くなら馬車を用意したけど・・・乗るか?」
「馬車まで用意してくれたのか⁉︎ありがとう、ネロ!」
ユーガは地図を袋にしまって言う。その横でトビは眼を細めた。
「・・・三国全ての地図を作らせたのか・・・やれやれ、こいつも人使いが荒いな・・・」
と、小声で呟いた。今頃、ネロの家の使用人はヘトヘトだろう、とトビは確信した。

「・・・なぁ、トビ」
ユーガは馬車に揺られるトビに声をかけた。
「・・・なんだ」
眼をつぶって、トビはー少し不機嫌そうにー返事をした。ユーガは気になっていた事を聞く。
「・・・トビは元々、貴族なんだよな。で、滅んじまった」
「・・・・・・ああ」
「・・・もしかしてさ、トビの家が滅んだのって・・・ウチの元使用人のレイト・フィムのせいじゃないか?」
ユーガは聞いた。トビがゆっくり眼を開ける。
「・・・・・・」
「思い出したんだ。俺の家が滅んだ時にー。」

そう、思い出した。俺の家に攻め込んできたクィーリア兵はー。
『ナイラルツ家が滅んだのはサンエット家の策略だ!』
と。確かに言っていた。

「・・・どこかでナイラルツ家って聞いた事あったんだけど・・・もしかしたら、レイトが・・・」
「黙れ」
そこまで言ったところで、トビの手がユーガの胸倉を掴んだ。
「・・・トビ・・・⁉︎」
ユーガはトビの手首を掴むが、力が強い。トビは鋭い眼をユーガに向けた。
「・・・お前はそうやって、自分の使用人が俺の家を滅ぼしたって俺に自覚させて自慢でもするのか?わざとらしい言い方しやがって」
トビがユーガの胸倉を掴む手をさらに強くする。
「・・・違うよ」
小さく、ユーガは呟いた。何、とトビは眼を細める。
「・・・俺はトビに謝りたかったんだ・・・」
「!」
トビの手が、少し緩む。ユーガは緋色の眼を少し開け、トビを見る。
「・・・俺が直接トビの家を滅ぼしたわけじゃないけど・・・それでも、俺の使用人がやっちまった事は事実なんだ。それに、レイトはここにいない。だったら、俺が謝るべきだって思ったんだ」
「・・・謝って俺の失ったものが返ってくるわけじゃねぇのにか」
「・・・そう、だな。謝ったところで、何も変わらないけど・・・」
ユーガは一度息を吸う。そして、言った。
「・・・ごめん」
ユーガの視界が、少し歪む。トビもそれに気付いた。
「・・・なんで泣いてんだ」
「・・・当たり前だろ。トビの家を滅ぼしちまったんだ」
ユーガはごめん、ともう一度呟いた。トビはユーガの胸倉から手を離す。
「・・・ちっ」
トビは背もたれに背中を預け、ユーガから眼を逸らせて窓の外を見た。
(敵国の人間に涙を流して謝るのか・・・馬鹿じゃねぇのか、こいつ・・・)
トビは窓の外を見つめながら、何なんだよ、と苛立ちを覚えた。
ーそれが誰に向けてなのかわからないまま、馬車はレイフォルスへ向かったー。

「・・・着いたな、レイフォルス」
ユーガは街の入り口の看板を見上げる。レイフォルスはケインシルヴァ屈指のリゾート地だ。浮かれている人物も何人か見受けられる。
「・・・ここに天才魔道士の一人が、ねぇ」
トビはふーん、と辺りを見渡す。トビは先程の事を気にしていないそぶりを見せているが、本当のところはどうなのだろうか。やはり怒っているのだろうか。ユーガは何となく気まずさを感じ、トビから眼を逸らす。ーと、ドォォォォォォォン・・・と衝撃と共に黒煙が上がった。
「何だ⁉︎爆弾か⁉︎」
ユーガが止める間も無く黒煙の上がった方へ走り出した。トビはちっ、と舌打ちをしてユーガを追いかける。その途中、トビは女性ー歳は四十代くらいだろうかーに声をかけられた。
「あんた、ちょっとお待ち」
「・・・はい?」
トビはうぜぇ、と思いながら応える。ユーガはその間にどんどん走っていく。
「もしかして、あの黒煙の上がってる所へ行くのかい?」
何であんたに教えなきゃなんねぇんだ、という思いを閉じ込めて、はい、と言う。すると女性は、
「それはやめときな。あそこには変人が住んでる。行くのはおよし」
とやだやだ、と首を振った。変人、とトビは呟いて、ユーガの向かった方向に歩き出す。
「ちょっと、今の話聞いてたの?行くのは・・・」
「・・・変人だからって差別するあんたの話、聞いてる方が無駄だ」
トビは言葉を遮って走った。変人度合いだったら、ユーガの方が上だな・・・トビは先程の女性に微かな苛立ちを覚えて走る速度を上げた。

「この小屋から黒煙が上がってる・・・」
ユーガは黒煙が上がっている小屋へ辿り着いた。かなりもくもくと煙が上がっている。そういえば、トビを置いてきちまった、と後悔する。ガタっと中から音が聞こえ、ユーガは小屋の扉を開けた。
「・・・大丈夫ですか⁉︎・・・うわっ」
ユーガは煙を吸うまいと、腕で口と鼻を塞ぐ。
「だ、大丈夫・・・問題はありません」
煙の中から、硬い口調の返事が返ってくる。どうやら人はいるらしい。ユーガは咳込みながら煙をパタパタと手を振った。
「・・・とにかく、小屋の外に出てこれますか?」
ユーガが問いかけると、はい、と返事が聞こえた。煙の中に影が映る。そこから出てきたのは、深い緑色の髪、白衣のローブを着た少年だ。長い髪の頭頂部からはぴょこ、とあほ毛が立っている。彼は緑の瞳でユーガを見た。
「・・・あなたは・・・?」
「俺は、ユーガ・サンエットです。何があったんですか?」
「その前に、自己紹介を。私はルイン・グリーシア。よろしくお願いします、ユーガさん」
ユーガはその名をどこかで聞いたような、と首を傾げた。
「ルイン・・・か。あ、俺の事は呼び捨てでもいいよ。さん付けは慣れてなくて・・・」
そうですか、とルインは笑顔を見せる。
「よろしくお願いします、ユーガ」
うん、とユーガも笑顔を返す。そこへ、トビが、あ、と声をあげた。
「あんた・・・ケインシルヴァの天才魔道士のルイン・グリーシア・・・か?」
ユーガは、え、とルインを見る。この人が天才魔道士だったのか・・・どうりで名前も聞いた事がある筈だ。カヴィス王の前でトビが言ってたし、と思い出す。
「天才・・・ではありませんが・・・確かに私がルインですよ」
そう言うと、ルインはニコッと笑って頭を下げた。
「・・・なぁ、ルイン?どうしてこんな爆発が起きたんだ?」
「・・・研究が失敗してしまったんです」
研究?とユーガが呟くと、ルインはキッと眼を街の入り口に向けた。トビも揃ってそっちを見る。
「・・・魔物の襲撃か!」
トビがそう言うと、ルインが街の入り口へ走り出す。ユーガもそれを追いかけて走り出すが、トビは鼻を鳴らして腕を組んだ。
「・・・確かに、ちっと変人だな・・・ユーガの馬鹿程じゃねぇが・・・」
ふぅ、と息を吐いてトビもユーガ達を追って走った。トビがユーガ達に追い付くと、ユーガが眼を開いて地平線を見つめていた。何してんだ、とトビが声をかける。ユーガは眼を動かさずに、
「・・・ボアの大群だ!こっちに向かってきてる!」
と叫んだ。トビもユーガの見ている方向を見るが、何も見えない。
「・・・おい、デタラメを・・・」
トビがそこまで言ったところで、異変に気付いた。地面が微かに揺れている。もう一度先程の方向を見ると、土埃が上がっている。眼を凝らすと、そこにはユーガの言った通りにボアの群れが向かってきていた。
「・・・本当ですね。しかし、この量・・・自然発生とは思えませんね」
ルインが呟くのを聞いて、トビは驚いたようにユーガを見た。
(こいつ・・・あの距離のボアの群れを肉眼で見たってのか・・・⁉︎どんな視力してやがんだ・・・⁉︎)
トビが驚いていると、ユーガが剣を抜いた。
「あいつらがこの街に来ちまったら、この街が壊滅しちまうよな!何とかして食い止めないと・・・!」
そのユーガの言葉で、トビはハッと我に返った。そうだ、今はボアを何とかするのが先だ。ユーガの事は・・・とりあえず後だ。トビも銃を抜く。
「だが、この量のボアをどうする?ただ淡々と戦ってたらジリ貧だぞ」
「・・・私に任せてください」
ルインがそう言って一歩前に出る。ユーガとトビはルインを見ると、何かを詠唱し始めた。魔法だろうか?
「風よ吹き荒れろ・・・」
ルインの周りに風が巻き起こる。それはルインの意志をそのまま形にしたような風だ。
「・・・ウィンドレッシュ!」
ルインが叫ぶと、巻き起こっていた風が広範囲に広がった。それはボアを次々と攻撃し、土埃が消えるとその数は約半数まで減っていた。
「・・・すげぇ」
「闇よ、悪しきを飲み込め・・・ナイトメアセルド!」
トビの魔法がさらにボアの数を減らす。ユーガは剣を握ってトビとルインの間を駆けた。もうほぼ減ったボアにまっすぐ向かって剣を振るう。ボアがバタバタと倒れ、ユーガは吠えた。
「燃えろ!瞬烈火!」
ユーガが降った剣はボアを斬り、そこから炎が散る。横からボアが飛びかかるが、トビが銃でその体を撃ち抜いた。
「・・・ふぅ、何とか終わったな」
ユーガは剣についた血を振り払い、鞘に納めた。トビも銃をしまい、ルインを見た。
「・・・助かった、ルイン」
ルインは少し笑い、トビに顔を向けた。
「ルイン・グリーシア」
そこへ、しわがれた声がかかる。ユーガ達が顔を向けると、そこには一人老人がいた。
「街長・・・なんでしょうか」
ルインは街長と呼ばれた老人に眼を向けた。街長はルインをじろりと睨んでー。
「ルイン。お前はこの街から追放する」
「・・・追放っ⁉︎何故ですか、街長!」
ユーガは口を開きかけたが、トビが手で制した。
「ルイン。ボアという魔物は大きな音に反応する。その魔物がこの街を襲った、この意味がわかるか?貴様が先程引き起こした爆発のせいで魔物がこの街を襲ったんだ」
ルインは驚愕の表情を見せた。だけど、とトビの手を逸らせてユーガは今度こそ口を開いた。
「ルインはそれでもこの街を守ろうと戦った!それでも追放するんですか!」
当たり前だ、と街長は言った。トビがルインをちらりと見ると、ルインは顔を俯けて口を噤んでいた。
「・・・あなた達は・・・!」
「待て、ユーガ」
トビがやれやれ、と言って口を開いた。
「・・・まぁ、いいんじゃね?こんな街にいるより、どこかに移住でもしたらどうだ?ルイン」
トビが顔を背けたまま言った。ユーガはえ、とトビを見た。
「トビ⁉︎何言って・・・」
ユーガの言葉はトビの視線に遮られた。ふっ、と意地の悪い笑みを浮かべた。
「・・・自分達と違うから変人、と扱い・・・挙句、この街を救ったってのに追放。こんな街にいる価値があるのか?」
ルインはトビの顔を見た。トビは鼻を鳴らして、さらに続ける。
「街を出るなら準備が必要だな?だったら早いとこ準備してどっかに行けば良いんじゃねぇの?」
とルインに言って街の出入口へと歩き出した。ユーガはルインの隣へ歩き、心配気に声をかける。
「ルイン、どうするんだ?」
「・・・ええ、この街を出る事にします。迷惑をかけてしまっているのは事実ですし」
ルインはそれだけ言うと、先程の小屋へ戻った。ユーガはルインを手伝おうと追いかけ、足を止めて街長を振り返った。
「・・・あの、ボアは大きな音には反応しませんよ。ボアが反応するのは芋などの作物類です。例えば、そこに植えてあるサツマイモみたいな物です。だから・・・ルインには何の罪もありません」
それだけ言って、ユーガはルインの小屋へ向かった。その後には、僅かに沈黙が流れた。

「・・・ルインは良いのか?追放なんて・・・」
ユーガは小屋の壁に寄りかかって、黙々と旅支度を整えていくルインに声をかけた。はい、とルインは答える。
「・・・迷惑をかけているのは事実ですから。それに、私は研究を続けたいんです」
研究?とユーガは首を傾げる。
「はい。私の親は・・・昔、魔物に襲われて亡くなりました。そんな犠牲者をこれ以上出さない為に研究を続けているんです」
ルインは準備をする手を止めた。その横顔はどこか寂しさを感じさせ、ユーガは思わず口を開いた。
「・・・そうなのか・・・なぁ、ルイン。もしよかったら俺達と一緒に来ないか?ルインが行く宛がなければ、だけど」
ルインは驚いたように眼を開き、そして、ふっ、と笑った。
「奇遇ですね・・・私も連れて行ってほしい、と頼むところでした」
「ホントか⁉︎やった!よろしくな、ルイン!」
ええ、とルインはにこやかに笑って準備を進めた。
「・・・準備はできました。行きましょう」
ルインが小さな袋を抱えた。ユーガはうん、と頷いて、
「街の出入り口にトビがいるはずだ。まずはトビと落ち合おう」
と言って小屋から出た。ルインもユーガに続いて、街の出入り口へ向かった。

心が躍っている。普段この街から出ないからだろうか?少し名残惜しさもある。しかし、心が躍る思いの方が上だ。
ーかくしてまだ見ぬ世界に期待を抱き、「ケインシルヴァの天才魔道士」はレイフォルスを発った。緋眼と蒼眼の少年と共にー。
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