十年間片思いしていた幼馴染に告白したら、完膚なきまでに振られた俺が、昔イジメから助けた美少女にアプローチを受けてる。

味のないお茶

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第2章 後編

最終話 ~永久と凛音の戦い・決戦の中間テスト~ その⑥

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 最終話   その⑥



 凛音視点


「ただいま」
「お帰りなさい、凛音ちゃん」

 中間テストの初日を終えて、私は自宅へと帰ってきたわ。
 玄関の扉を開けて家の中に入ると、お母さんが出迎えてくれたわ。

「今日のテストはどうだったかしら?」
「ふん。完璧よ。全教科満点だという自信があるわ」

 お母さんの問いかけに私はそう答えると、額に貼り付けていた冷えピタシートを乱暴に剥がした。

「これもまぁ、知恵熱を冷ますくらいの役にはたったかしらね」
「色々と凛音ちゃんに策は伝えてあるけど、テストで北島さんに負けないこと。これがまず一番大切なことだからね」
「わかってるわ。同点だった場合の話はしてないけど、まぁその時はその時で考えるわ」

 私はそう言いながら、お母さんと一緒に居間へと向かう。

「今日の夕飯は凛音ちゃんの好きなオムライスよ」
「あら嬉しいわね。あとは今日は早めにご飯を食べて、お風呂に入って寝ようと思ってたの」
「それが良いと思うわ。お父さんももうすぐ帰って来るから、そうしたらご飯にしましょうか」

 私はハンガーに制服の上着を掛けたあと、お母さんに聞いてみたわ。

「ねぇ、お母さん。ちょっと話をしたいんだけど良いかしら?」
「えぇ、構わないわよ。夕飯の仕込みは終わってるから、時間には余裕があるわ」

 私のお願いに、お母さんは了承を示してくれたわ。
 そして、お母さんはコップを二つと麦茶を持ってテーブルに置いたわ。

「さて、凛音ちゃんは何が聞きたいのかしら?」

 椅子に座り、コップに麦茶を注ぎながら、お母さんは私にそう話を切り出したわ。

「そうね。まずは『何で今日は自転車で学校に行かせたか?』って所かしら」

『仮病』に信ぴょう性を持たせるなら、自転車で登校しないでお母さんの車で送ってもらう。そう言う方法が適切だと思えたけど。
 自転車で登校すること。これはお母さんから言われてたことだったわ。

 私がそれを問いかけると、お母さんからは予想外の返事が返ってきたわ。

「それはね、霧都くんに『凛音ちゃんが仮病だ』って事を確実に気が付いて貰うためよ」
「……え?」

 わ、私が仮病だってことに気が付いてもらうため?
 どうしてそんなことをする必要があるのかしら。

「まぁ、霧都くんの事だから、そんなことをしなくても凛音ちゃんが本当は体調不良なんかじゃないって気が付いてると思うけど、確信を持たせるためって感じかしら?」
「ど、どうしてそんな事をしたのよ」
「それはね、凛音ちゃん。『霧都くんの口から北島さんに、凛音ちゃんが仮病だってことを伝えてもらうため』よ」

 な、なんでそんなことをする必要があるの!?
 霧都が私の仮病に気がつくのはわかるわ。
 でも、それを永久にまで知らせるのは不味いんじゃ無いかしら……

「霧都くんは北島さんに、凛音ちゃんが仮病だってことを伝える。それを受けた彼女は優美さん……彼女のお母さんに話をするはずよ」
「そ、そうね……」

「優美さんはとても頭のキレる方よ。私が凛音ちゃんに教えた策も見抜いてくると思うわね」
「それを永久に話されるのは不味いんじゃないかしら?」

 私がそう言うと、お母さんはニヤリと笑ったわ。

「見抜いてはいても、全部は話さないわ。仮定の話をするよりもテスト勝負の方が重要。そういう風に結論を付けるはずよ」
「そ、そこまでわかってて……なんでこんなことをしたの?」

「そうね。じゃあ最初から話しましょうか。まずは凛音ちゃんに仮病をさせたのはクラスメイトや先生に『凛音ちゃんは体調が悪い』と言うのを知らしめるため。そして、それが仮病だと知ってるのは霧都くんと北島さんだけ。と言う状況を作るのが目的」

「次に、北島さんはその事を優美さんに相談するわ。そして彼女は自分の娘に私たちの策の話をするわ。その上でこういうはずよ『貴女は霧都くんが南野さんのお見舞いに行くのを止めてはいけない。正妻は貴女。彼女は幼馴染。その絆を裂くような真似はしちゃいけない』ってね」

「明日。凛音ちゃんは私の車で送るわ。そして試験が終わったタイミングで貴女を迎えに行くわ。その時に霧都くんも一緒に連れ出す予定よ。それを『彼女公認』にさせるためにはこういう手順を踏まないとダメだったからよ。北島さんが凛音ちゃんの事を仮病だと知ってなかった場合、彼女自身が凛音ちゃんのお見舞いに来ることも予想出来たわ」

 そこまで話したあと、お母さんは麦茶を飲んでから言ったわ。

「確実に霧都くんだけを凛音ちゃんの部屋に連れ出すためには、こうするのが最適だったのよ」
「そ、そこまで考えてたの……」
「当たり前じゃない。私は凛音ちゃんの血の繋がったお母さんよ。貴女の幸せのためにならなんだってするわよ」

 はぁ……凛音ちゃんが最初に霧都くんから告白された時に、袖にしなければこんなことにはならなかったのにね……

 なんて事を小さく呟いていたわ。
 し、仕方ないじゃない!!あの時とは気持ちが違うのよ!!

「あと、私が出来るのは『霧都くんを凛音ちゃん部屋に連れてくるまで』よ。そこから先は貴女の頑張り次第だからね?」
「ふん。わかってるわよ。ここまでお膳立てしてもらったのよ。しっかりやるわ」

 私がそう言葉を返すと、お母さんは小さく笑ったわ。

「私は、霧都くん以外を『息子』と呼ぶ気は無いわよ。しっかりやりなさいよ、凛音ちゃん」
「わかってるわ、お母さん」

 私たちが話し合いを終えたタイミングで、玄関の扉の鍵がガチャリと開いたわ。

『ただいま』

 と言う声が玄関の方から聞こえたわ。

「雅紀さんが帰ってきたわ。それじゃあ夕ご飯を作ろうかしらね」

 お母さんはそう言うと、椅子から立ち上がって玄関の方へと歩いて行ったわ。

「テスト勝負で負けたら元も子も無いんだからね?それだけは忘れないように」
「当然よ!!」

 私の答えにお母さんは満足そうに頷いてから居間を後にしたわ。

『お帰りなさい。今日もお仕事お疲れ様でした』

 そんな声が聞こえてきたわ。

「そうよ。まずはテストで負けないことが重要よ。その後のことはそれからなんだから」

 私はもう一度自分に気合を入れたわ。

 そして、お父さんに今日のテストの手応えを話したあと、夕飯を食べて、お風呂に入ったあと、直ぐに寝ることにしたわ。

 やっぱり高校生活最初のテストは緊張もあって疲れてたみたいね。

 私はベッドに入ると直ぐに眠りについたわ。

 勝負は明日。覚悟しなさいよね、永久に霧都!!
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