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6.婚約式&パーティー

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当日。

朝から始まった婚約式は無事に終了し、ここからは婚約パーティーの時間だ。


「すっっごくお美しいです!」

「ありがとう」

「そういえばこのアクセサリーがそのドレスと一緒に入っていましたよ」



そう言ってラズが見せてくれたのは

初めてウォルター様と町に行った時に店の外から見ていたサファイアが加工されたネックレスだった。



「え、なんでこれ」


もしかして、見てたのに気づいてくれてたのかなって思ったけどただの偶然だろうな。



「ではカノン様。いってらっしゃいませ」

「うん、ありがとう。ラズ、ラピナ」



2人に見送られてパーティー解除の入口でウォルター様を待つ。



「カノン、」

「ウォルター様!」



ウォルター様はいつもと違って正装をしている。よく見たら私のドレスとリンクしている。



「すごく綺麗だね」

「あ、このドレスありがとうございます!ドレスすごく綺麗ですよね」

「ドレスも綺麗だけど、カノンがいつも以上にすごく綺麗」

「……ありがとうございます」

「変な男に絡まれないか心配…」

「大丈夫ですから、もう行きましょ!」



パーティー会場に入場する。

そこにはすっごくたくさんの貴族や隣国の人とかが参加している。

その中にはシルジュ親王国の第一王子と大聖女様もいるらしい。

昨日ウォルター様に教えてもらった。
ウォルター様も昨日知ったらしく、昔のことを知ってるからか昨日からずっと心配されている。



「皆様、この度は私たちの婚約パーティーにご参加頂きありがとうございます。今宵は楽しんでください」



ウォルター様の挨拶が終わり、大量の挨拶回りに疲れ私はバルコニーに逃げた。



「……はぁ、」

「やぁ」

「誰?!」



後ろにいたのはシルジュ親王国の第一王子のアレク・シルジュ。
私の元婚約者だ。



「…失礼致します」

「ねぇ俺たちの仲じゃないか」

「もう関係はなくなってます」



アレク殿下話しているウォルター様が遠くからやってきた。



「何しているの?」

「アクアライト王太子殿下、この度はおめでとうございます」

「そんなことはどうでもいいんだけど、カノンと何していたの?」



なんだか少し不穏な空気が流れている。
ウォルター様の怒っているところを初めてみた。



「アレク!」



そうしてると私が1番会いたくなかった人がやってきた。



「……麗華様」



小声でそういったのが聞こえたのかウォルター様が少し盾になってくれた。

そうしてくれたウォルター様に安心して服の裾を掴んでしまった。



「アレク!何やってるの?」

「麗華。久しぶりにカノンと話していたんだ」

「カノン……。あぁあの人ね」



あぁ麗華様にとって私は記憶にも残らない人だったのか……。



「アレク殿下。その方はシルジュ親王国の噂の大聖女様ですか?」

「あぁ、そうだ。麗華」

「初めまして、白鳥麗華です!
ウォルター様かっこいいですね!」

「どうも、というか私、貴方にその呼び方を許可した覚えはないですが……」



そういったウォルター様は今までに聞いた事のない低い声でそう言った。
麗華様は少し怯えたような感じだった。



「後、貴方はもうカノンの婚約者ではない。呼び名を考える必要があるのでは?」


「あぁ申し訳無い。ティレーネ嬢とこれからは呼ばしてもらう」

「……は、はい」

「ティレーネ嬢に声をかけたのには理由があるんだ。もし良ければシルジュ親王国に招待したくてね」



いきなりの申し出で困惑しながらウォルター様の方を見ると


「いいんじゃない?」


そう言ってくれたので私たちはシルジュ親王国に婚約旅行という名目で行くことになった。

アレク殿下の招待で。
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