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第三章 真意 後篇

第三章 真意 後篇 6

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「生憎だが、てめぇらに話してやることなんざただの1つもねぇぜ。なんたって、てめぇらは今ここでくたばるんだからなぁああっ!」

男は左手で光永の胸倉を掴み上げたまま、光永の顔面目掛けて右拳を振り下ろした。

その瞬間、光永は左手で男の右拳を左斜め上へ受け流しながら掴むと、右裏拳上段打ちを男の顔面に食らわせる。

男が頭を仰け反らせると、さらに光永は右腕で男の右上腕を下から抱え、一本背負投いっぽんせおいなげを繰り出した。

男が仰向けに投げ倒されると、光永はすかさず両手で男の右手首を逆手に掴み、腕挫十字固を繰り出す。

男は右肘関節を極められて顔をしかめた。

「あいででででででででっ!! う、ううう腕が……!! お、おおお折れる折れる折れるっ!!」

男が情けなく断末魔を挙げると、守央に詰め寄っていた別の男はそれに気づく。

「野郎っ……!」

男が光永に襲い掛かろうとすると、守央は両腕を男の首に背後から巻き付けて組み、裸絞はだかじめを繰り出した。

男が尻餅をつくと、守央はその場にしゃがみ、さらに男の首を絞め上げる。

男が顔をしかめると、世璋に詰め寄っていたもう1人の男もそれに気づいた。

「チッ……!」

男は舌打ちして険しい表情を浮かべると、世璋の顔面目掛けて右拳を振り下ろす。

「このくそったれがぁっ!!」

その瞬間、世璋は左腕で男の右拳を左斜め上へ受け流し、両手で男の体を掴みながら右中段膝蹴りを男の腹に食らわせた。

男の体がくの字に曲がると、さらに世璋は左腕を男の右脇の下に通し、両手で男の体を引き込む。

男が仰向けに投げ倒されると、世璋はすかさず左手で男の右腕を掴み、右手と右膝で男の体を地面に押さえつけた。

他の男たちは世璋たちの様子に目を向け、恐る恐る後退りし始める。
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