守護霊は吸血鬼❤

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問題はそれだけではない。

この異様いような紅い月を、由宇は目にしていないということだ。

もし彼があれを見ていれば、何らかの反応を示すはずである。

だが、あのとき由宇は、一緒に空を見ていたのに、何も気づいていなかった。

「何なんだよ、ったく……」

気味が悪い。

そう思いながらも、聖は大空に鎮座ちんざし、威容いようを誇る深紅の月から目を離すことができなかった。

そのまま身じろぎもせず、魅入られたように立ち尽くしていると、今度はどこからか泣き声のようなものが聞こえてくるではないか。

「……っ！」

本格的に恐ろしくなってきて、聖は逃げようとした。

だが、その泣き声はあまりにも切実で痛ましく、懇願するようなものだった。

しかも、耳をふさいでも聞こえてくる。

まるで、頭の奥に直接響いてくるようだった。