守護霊は吸血鬼❤

7

用務員に頼み込んで開けてもらい、教科書を鞄に入れ、校門を出ると時刻は七時を回っていた。

この分だと、帰宅して風呂に入れば、ベッドに直行してしまいそうな気がする。

せっかくの教科書も無駄になるな、と聖は自嘲じちょうした。

だが、学校に戻ろうと思ったのはそれだけではない。

由宇と離れて一旦気持ちを落ちつけたかったのと、できるだけ障害物のない場所で月を見たかったからだった。

「やっぱり、紅い……」

その月は、夕焼けに染められているわけでもないのに、おそろしく真っ赤だった。

そう、まるで誰かが流した鮮血せんけつのように。

不気味な思いが身ぶるいとなって駆け抜ける。

聖は視線を一度地面に落とし、それからもう一度空へと投じた。

やはり月は寸分たがわぬ場所に、真紅しんくの円盤のように収まっている。

まるで今にも、そこから滴り落ちる血のしずくが頬を打ちそうなほどだった。