12 / 12
「でも、私はまだ愛という感情を知らない」――『FINAL FANTASY VI』スクウェア
しおりを挟む
不朽の名作なんて言葉が安っぽく響く、RPGの、いやファンタジーの金字塔。
受けた衝撃は心の奥深くに突き刺さっているし、物語を愛する根源となる力を与えてもらったように思う。
あまりにも好きすぎて、誰にも踏み入られたくない聖域で、だから他人とこの作品について話し合うことも今までしなかった。
最近、ユーチューブで声優の中村悠一さんがリマスター版を実況プレイされているのを見て、ああ、もう駄目だ~と一気に過去に引きずり戻された。
ごく幼い子どものころに、この作品に出会えた幸運に感謝したい。
◇あらすじ
1000年前に起きた魔法の力を巡る大戦争「魔大戦」。
全てを焼き尽くしたその戦いが終わった時、世界から魔法の力が消えさり、人々は蒸気と機械の力で世界を復興させていった。
しかし、時の帝国皇帝ガストラは幻獣界に潜む幻獣達を発見したことを機に、機械と魔法の力を組み合わせることで魔法に代わる新たな力「魔導」をこの世に生み出し、手中に収めたその強大な力で世界征服をもくろむようになっていった。
それから十数年、ナルシェの炭坑に氷漬けの幻獣がいるという情報が入る。
ガストラは幻獣界への侵攻時に発見し帝国兵として養育していた強い魔導の力を生まれ持つ少女ティナ、帝国兵のビックス、ウェッジをその地へ向けて派遣する。
人はまた、あやまちを繰り返そうとしているのか……。
FF6はSFC最後の作品で、ファイナルファンタジーシリーズの中でも異色作である。
群像劇という形式をとり、12名のメンバーを任意でパーティーに追加することができるというのが、他作品との大きな違いだ。
もちろん、主軸はティナであることは間違いない。
「あやつりの輪」によって感情を失っていた彼女の葛藤、苦悩、悔悟そして成長が、帝国・リターナー・幻獣全てを巻き込んでドラマを起こしていく。
ラスボスのケフカは、ファイナルファンタジー史上、一、二を争う知名度&人気度ではないだろうか。
何しろ生い立ちが特異だし、キャラが立っているし、発言もすごい。
「滅ぶとわかっていて なぜつくる 死ぬと分かっていて なぜ生きようとする 死ねばすべて無になってしまうのに」
「命… 夢… 希望…どこから来て どこへ行く?そんなものは… このわたしが 破壊する!!」
この作品は1994年、つまり30年近く前に発売された。
なのに、現代にも通じるような哲学的な台詞が多い。
ケフカは生まれながらに良心を持たない『モンスター』として描かれているが、こういった人物像は、今の私たちにとってあまりにも身近だ。
魔導(科学)や幻獣(神)との関わり方や、それらを支配できると考える人間の愚かさも、変わらず誰の心にもある。
どのキャラクターの人物造形も素晴らしく、それぞれに心の傷や過去を抱えており、魅力的に描かれている。
彼らが織りなす人間模様やドラマも、物語を彩る重要な要素だ。
個人的には、ロックが死ぬほど好きで、今振り返ってもやっぱり好きだ。
……いや、分かってるんですよ。ロックは今で言うところの『ダメ男』の典型的パターンっていうのはね。
職業はトレジャーハンターという名の泥棒だし、誰かれ構わず「守る守る」言うし、一番タチの悪い無自覚の女たらしだし(エドガーは自覚ありだし紳士だ)、極めつけは物語の終盤に出てくる彼のトラウマだ。
ネタバレになるので詳細は伏せるが、「いや、あんた、いくら愛してるからって……」と常軌を逸した行動に鳥肌が立ったのを覚えている。
明るくお調子者に振る舞いながらも、根っこの部分では歪んでいるというか、かなりぶっとんだ若者なのである。
ただ、その屈折っぷり、もっと言えば変態っぷりが心に突き刺さる。
守る守る詐欺も、単なるキャラではなく、ちゃんと説明がつく理由があるのだ。
私がFF9のジタンも含め泥棒キャラが大好きなのは、間違いなくロックが根底にある。
それと、忘れてはいけないのが音楽。
『仲間を求めて』はFF楽曲総選挙でも1位に輝いた名曲中の名曲だし、ティナのテーマ、ロックのテーマなど、キャラクターごとのテーマソングも素晴らしい。
オペラのシーンは実際にコンサートで演奏されたりと、ゲーム音楽の枠組みを越えた壮麗な音楽である。
私はバトルシステムにはあまり詳しくないので割愛するが、とにかくシナリオと音楽、キャラクターが最高なので、もし今まで一度もプレイしたことがない方は、ぜひ復刻版などでプレイしてみていただきたい。
この作品については、費やした時間を絶対に後悔しないと断言できる。
愛って何ですか?という問いに、この物語が、全てをかけて答えてくれる。
◇好きな台詞
「私がやる。私にしかできない!」
◇こんな方におすすめ
ゲーム・RPGがお好きな方
群像劇がお好きな方
ファンタジーがお好きな方
魔大戦・魔導アーマーと聞いて、ぐっとくる方
胸が熱くなりたい、感動したい方
美しい音楽・ワクワクする音楽が聞きたい方
骨太なストーリーを楽しみたい方
ドラマティックな展開がお好きな方
子どものころ、FF6をプレイしたことがある方
受けた衝撃は心の奥深くに突き刺さっているし、物語を愛する根源となる力を与えてもらったように思う。
あまりにも好きすぎて、誰にも踏み入られたくない聖域で、だから他人とこの作品について話し合うことも今までしなかった。
最近、ユーチューブで声優の中村悠一さんがリマスター版を実況プレイされているのを見て、ああ、もう駄目だ~と一気に過去に引きずり戻された。
ごく幼い子どものころに、この作品に出会えた幸運に感謝したい。
◇あらすじ
1000年前に起きた魔法の力を巡る大戦争「魔大戦」。
全てを焼き尽くしたその戦いが終わった時、世界から魔法の力が消えさり、人々は蒸気と機械の力で世界を復興させていった。
しかし、時の帝国皇帝ガストラは幻獣界に潜む幻獣達を発見したことを機に、機械と魔法の力を組み合わせることで魔法に代わる新たな力「魔導」をこの世に生み出し、手中に収めたその強大な力で世界征服をもくろむようになっていった。
それから十数年、ナルシェの炭坑に氷漬けの幻獣がいるという情報が入る。
ガストラは幻獣界への侵攻時に発見し帝国兵として養育していた強い魔導の力を生まれ持つ少女ティナ、帝国兵のビックス、ウェッジをその地へ向けて派遣する。
人はまた、あやまちを繰り返そうとしているのか……。
FF6はSFC最後の作品で、ファイナルファンタジーシリーズの中でも異色作である。
群像劇という形式をとり、12名のメンバーを任意でパーティーに追加することができるというのが、他作品との大きな違いだ。
もちろん、主軸はティナであることは間違いない。
「あやつりの輪」によって感情を失っていた彼女の葛藤、苦悩、悔悟そして成長が、帝国・リターナー・幻獣全てを巻き込んでドラマを起こしていく。
ラスボスのケフカは、ファイナルファンタジー史上、一、二を争う知名度&人気度ではないだろうか。
何しろ生い立ちが特異だし、キャラが立っているし、発言もすごい。
「滅ぶとわかっていて なぜつくる 死ぬと分かっていて なぜ生きようとする 死ねばすべて無になってしまうのに」
「命… 夢… 希望…どこから来て どこへ行く?そんなものは… このわたしが 破壊する!!」
この作品は1994年、つまり30年近く前に発売された。
なのに、現代にも通じるような哲学的な台詞が多い。
ケフカは生まれながらに良心を持たない『モンスター』として描かれているが、こういった人物像は、今の私たちにとってあまりにも身近だ。
魔導(科学)や幻獣(神)との関わり方や、それらを支配できると考える人間の愚かさも、変わらず誰の心にもある。
どのキャラクターの人物造形も素晴らしく、それぞれに心の傷や過去を抱えており、魅力的に描かれている。
彼らが織りなす人間模様やドラマも、物語を彩る重要な要素だ。
個人的には、ロックが死ぬほど好きで、今振り返ってもやっぱり好きだ。
……いや、分かってるんですよ。ロックは今で言うところの『ダメ男』の典型的パターンっていうのはね。
職業はトレジャーハンターという名の泥棒だし、誰かれ構わず「守る守る」言うし、一番タチの悪い無自覚の女たらしだし(エドガーは自覚ありだし紳士だ)、極めつけは物語の終盤に出てくる彼のトラウマだ。
ネタバレになるので詳細は伏せるが、「いや、あんた、いくら愛してるからって……」と常軌を逸した行動に鳥肌が立ったのを覚えている。
明るくお調子者に振る舞いながらも、根っこの部分では歪んでいるというか、かなりぶっとんだ若者なのである。
ただ、その屈折っぷり、もっと言えば変態っぷりが心に突き刺さる。
守る守る詐欺も、単なるキャラではなく、ちゃんと説明がつく理由があるのだ。
私がFF9のジタンも含め泥棒キャラが大好きなのは、間違いなくロックが根底にある。
それと、忘れてはいけないのが音楽。
『仲間を求めて』はFF楽曲総選挙でも1位に輝いた名曲中の名曲だし、ティナのテーマ、ロックのテーマなど、キャラクターごとのテーマソングも素晴らしい。
オペラのシーンは実際にコンサートで演奏されたりと、ゲーム音楽の枠組みを越えた壮麗な音楽である。
私はバトルシステムにはあまり詳しくないので割愛するが、とにかくシナリオと音楽、キャラクターが最高なので、もし今まで一度もプレイしたことがない方は、ぜひ復刻版などでプレイしてみていただきたい。
この作品については、費やした時間を絶対に後悔しないと断言できる。
愛って何ですか?という問いに、この物語が、全てをかけて答えてくれる。
◇好きな台詞
「私がやる。私にしかできない!」
◇こんな方におすすめ
ゲーム・RPGがお好きな方
群像劇がお好きな方
ファンタジーがお好きな方
魔大戦・魔導アーマーと聞いて、ぐっとくる方
胸が熱くなりたい、感動したい方
美しい音楽・ワクワクする音楽が聞きたい方
骨太なストーリーを楽しみたい方
ドラマティックな展開がお好きな方
子どものころ、FF6をプレイしたことがある方
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
0
この作品の感想を投稿する
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる