重いと言われても、止められないこの想い。~素敵過ぎる黒獅子騎士団長様への言い尽くせぬ愛~

待鳥園子

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66 怒り(side Reinhard)②

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◇◆◇


「お兄様! ただいま!」

「おかえり。アリエル。大変だったようだね。何処にも、怪我はないか?」

 帰って来た途端に僕の腕に飛び込んで来た妹は、変わった様子は見つからない。庶民としてお忍びで旅をしたので、白い肌が灼けてしまったくらいだろうか。侍女に言って良く手入れするように言わねば。

「ええ。お兄様のおかげで、何もなかったわ。けど、私の護衛からの定期連絡が途絶えてから、すぐにあんな人数を送り込むなんて……驚いたわ。戦争を起こすつもりなの?」

「……王家の者が行方不明になれば、それも仕方ないことだとわかっているだろう? 状況がわからないから、お前の身を盾に何を言い出すか、わからなかったんだ。僕らが守るべき国民の不利益を招くことになる。アリエルだって、それは嫌だろう?」

「そうね……それは、そうだけど」

 アリエルは自分の立場を理解している。自分の身ひとつでどれだけ価値があるのか、それを言い聞かせてきたのは、他でもない僕だからだ。

「……ああ。ナッシュ卿、今回の旅は大変だったようだ。君も無事で良かったよ。報告はすべて聞いている。君が居るからと妹を任せたのは、どうやら正解だったようだ」

 妹の後ろに居た彼は、笑顔の僕の言葉を聞いて顔を引き攣らせた。少々嫌味な言い方になってしまうのも仕方ない。

 定期連絡が途絶え、妹の無事の連絡を聞くまで、生きた心地がしなかったのだ。

 妹は将来結婚を望む男でなければ、何もなくでは終わらせられなかった。

「不甲斐なく、アリエル様に危険を近づけてしまい、申し訳ありませんでした」

「お兄様! デュークのせいではないわ……私がいけないのよ。報告を聞いたでしょう? デュークは不在にする時に部屋から離れるなと言ったのに、私は……ルイ様なら大丈夫だろうとそう思ってしまったの。だから、デュークのせいではないわ……」

 必死に彼を庇う妹に、僕は大きくため息をついた。

 なるほど。部屋を不在にするが、自分が居ない間はここを離れてはいけないと言って出たのか。それを聞かなかった、妹が悪い。誘拐される訳だ。

 それでは、ここに居る彼が警備責任者であったとしても、過失を負わせる訳にもいくまい。

 妹に何かあればまた違った判断だっただろうが、何もないのだ。ここは許すしかあるまい。

 運良く妹に愛された男に、僕が何かをする訳にもいかない。

 妹には絶対に、嫌われたくはないからね。あの子以外にはなんと思われようとも良いのだが。
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