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65 てがかり①
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「いい加減に、素直になれよ……お前は俺のことを、会った頃から好きなんだから」
この前に、アメデオが言っていたわよね……男は一度自分のことを好きだった女性は、ずっと自分のことを好きだと思っているからと。
思わず眉が寄る。そんな訳……あるはずがないでしょう。
まだ、再会する前なら、今は自分は幸せだから婚約破棄のことは、どうでも良いわよと言えたかしら?
こんな……自分のすべて否定されるようなことをされてしまった、この段階で、まだショーンを好きだと言える女性が、世界のどこかには居たりするのかしら?
「好きではないわ。ショーン。私が好きなのは、現在の夫ジョサイア・モーベットよ。貴方のことは好きでも嫌いでもないわ。けど、私が居ない所で、どうか幸せに暮らして欲しいと思う」
静かに淡々と言った私に対し、ショーンは視線を向け面白くなさそうな顔をした。
「あ? ふん。良い気になりやがって。結婚したとは聞いているが、お前……全く色気がない。お前は好きだとしても、向こうには愛されてないんじゃないか?」
にやにやとした、嫌な笑み。
ああ。そういえば、夜会の時にアルベルト様にも言われたわね……新婚夫婦って、もっと甘い空気で色気ある様子なのかしら?
蜜月に新郎が多忙過ぎるという、邪魔をされたりもしたもの。あれは……確かに、ジョサイアにも非があったと思う。オフィーリア様が怒って当たり前だわ。
私たち夫婦の間には、良くわからない誤解があり、ついこの間まですれ違っていたけど、もうそれは解決済なのだ。
それに対し無関係な他人が何か口だしをする権利なんて、あるはずもないのに。
「愛されているわよ。私のことが好きだから、結婚したいって言ってくれたんだから!」
興奮して言い返した私を見て、ショーンは鼻を鳴らし、馬鹿にしたように笑った。
「だから、お前は馬鹿なんだ! ちょっと好きだと言われて、良い気になって……お前なんか、モーベット侯爵に好かれている訳がない!」
これって、単に私を傷つけることしか考えていない暴言よね。あきれた。二人の内情なんて、自分が知るはずもないのに、どうしてこうも自信満々なの。
そういえば、ショーンは良く自分の常識を世間の常識みたいに、言っていたわよね。今思うと、何の根拠のがあった、言い切りなのかしら。
ショーンに考えがあるように、この私にも考えはあるのに。
「ショーン。何を誤解しているのか知らないけど、私は夫から昼も夜も求められて大変よ!」
「……は?」
ぽかんとした間抜けな表情のショーンを見て、なんでこんな決めつけの激しい性格の悪い人が好きだったのか……自分でも、なんだか不思議だった。
幼い頃からずーっと一緒に居たし、将来的に結婚すると思っていたから、出来るだけ良く思いたかったのかもしれない。
けど、私はこれで、確信した。
ショーンはおそらく……ジョサイアが激務で家に帰れていない話を聞いて、別に何の証拠もない。なんとなく思いつきで言っていただけ。
それに、久しぶりに会った私が以前と変わらない様子だったのも、彼の勘違いに拍車をかけたんでしょうね。
「あら……何か、おかしいかしら? 私たち、この前に結婚したばかりの新婚夫婦なのよ。私はジョサイアの子どもを、既に妊娠しているかもしれないわ……これから私を連れて逃げても、産まれる子が金髪碧眼である可能性は、とても高いと思うの」
「なんだよ……嘘つくな」
私が淡々として、ショーンは顔を青くしてたじたじになっているのを見て、私は半目になった。
この前に、アメデオが言っていたわよね……男は一度自分のことを好きだった女性は、ずっと自分のことを好きだと思っているからと。
思わず眉が寄る。そんな訳……あるはずがないでしょう。
まだ、再会する前なら、今は自分は幸せだから婚約破棄のことは、どうでも良いわよと言えたかしら?
こんな……自分のすべて否定されるようなことをされてしまった、この段階で、まだショーンを好きだと言える女性が、世界のどこかには居たりするのかしら?
「好きではないわ。ショーン。私が好きなのは、現在の夫ジョサイア・モーベットよ。貴方のことは好きでも嫌いでもないわ。けど、私が居ない所で、どうか幸せに暮らして欲しいと思う」
静かに淡々と言った私に対し、ショーンは視線を向け面白くなさそうな顔をした。
「あ? ふん。良い気になりやがって。結婚したとは聞いているが、お前……全く色気がない。お前は好きだとしても、向こうには愛されてないんじゃないか?」
にやにやとした、嫌な笑み。
ああ。そういえば、夜会の時にアルベルト様にも言われたわね……新婚夫婦って、もっと甘い空気で色気ある様子なのかしら?
蜜月に新郎が多忙過ぎるという、邪魔をされたりもしたもの。あれは……確かに、ジョサイアにも非があったと思う。オフィーリア様が怒って当たり前だわ。
私たち夫婦の間には、良くわからない誤解があり、ついこの間まですれ違っていたけど、もうそれは解決済なのだ。
それに対し無関係な他人が何か口だしをする権利なんて、あるはずもないのに。
「愛されているわよ。私のことが好きだから、結婚したいって言ってくれたんだから!」
興奮して言い返した私を見て、ショーンは鼻を鳴らし、馬鹿にしたように笑った。
「だから、お前は馬鹿なんだ! ちょっと好きだと言われて、良い気になって……お前なんか、モーベット侯爵に好かれている訳がない!」
これって、単に私を傷つけることしか考えていない暴言よね。あきれた。二人の内情なんて、自分が知るはずもないのに、どうしてこうも自信満々なの。
そういえば、ショーンは良く自分の常識を世間の常識みたいに、言っていたわよね。今思うと、何の根拠のがあった、言い切りなのかしら。
ショーンに考えがあるように、この私にも考えはあるのに。
「ショーン。何を誤解しているのか知らないけど、私は夫から昼も夜も求められて大変よ!」
「……は?」
ぽかんとした間抜けな表情のショーンを見て、なんでこんな決めつけの激しい性格の悪い人が好きだったのか……自分でも、なんだか不思議だった。
幼い頃からずーっと一緒に居たし、将来的に結婚すると思っていたから、出来るだけ良く思いたかったのかもしれない。
けど、私はこれで、確信した。
ショーンはおそらく……ジョサイアが激務で家に帰れていない話を聞いて、別に何の証拠もない。なんとなく思いつきで言っていただけ。
それに、久しぶりに会った私が以前と変わらない様子だったのも、彼の勘違いに拍車をかけたんでしょうね。
「あら……何か、おかしいかしら? 私たち、この前に結婚したばかりの新婚夫婦なのよ。私はジョサイアの子どもを、既に妊娠しているかもしれないわ……これから私を連れて逃げても、産まれる子が金髪碧眼である可能性は、とても高いと思うの」
「なんだよ……嘘つくな」
私が淡々として、ショーンは顔を青くしてたじたじになっているのを見て、私は半目になった。
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