富豪外科医は、モテモテだが結婚しない?

青夜

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「カタ研」無人島サバイバル Ⅱ

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 5月10日。
 私たちは、早朝に家を出た。
 
 今回は竹芝桟橋から直接出発するので、そこを集合場所にしている。
 ルーが特別な離陸許可まで手配した。
 やるなー。

 私たちはみんなで柳さんのアルファードに乗って行った。
 柳さんと私、双子と、真夜が真昼も連れて来た。
 食事は現地調達なので、基本的に着替えだけで荷物は少ない。
 一応、お鍋を一つだけと使い捨ての食器くらいだ。
 双子は鍋もいらないと言っていたが、やっぱり汁物くらいは食べたい。
 食器も清潔な物がいい。
 ルーとハーは不満そうな顔をしていたが、何とか説得した。

 埠頭には既に全員が集まっていて、飛行艇も待機していた。
 操縦士の清瀬さんが挨拶に来る。
 
 「部長の御堂柳です。今回はどうぞよろしくお願いします」
 「いや、こちらこそ。これだけ大きな飛行艇を自由に使わせてもらえて、本当にありがたい」
 
 全員で清瀬さんに挨拶した。
 みんなで荷物を積み込んでいく。

 「パレボレ、随分と荷物が多いな」

 着替えだけでみんなそれほどの荷物は無かったが、パレボレは大きなリュックを背負っていた。
 恐らく100リットルは入る登山用の超大型だ。。
 
 「はい、亜紀さん! あの、念のために飲料水だけでもと思いまして」
 「おい、現地でなんとかするぞ? 一応湧き水もあるんだから」
 「すいません。万一と言うことも考えまして」
 「そうか、分かった。でも、ルーとハーにはなるべく見つからないようにね。何しろ張り切ってるから、機嫌を損ねるかもだよ?」
 「はい! 亜紀さん、ありがとうございます!」
 「いいって」

 重い荷物なので私が持ってやった。
 パレボレが嬉しそうに礼を言っていた。
 全員の荷物を積み、いよいよ出発となった。
 安全のために座席のシートベルトを締め、清瀬さんがエンジンを掛ける。
 最初はゆっくりと水面を動き出し、次第にスピードが出てくる。
 みんな窓の外を見ていて興奮してくる。
 機体が傾いて、水面を離れた。
 みんなが楽しそうに歓声を挙げた。

 「3時間くらいで着きますから」

 飛行艇は海を進み続ける。
 安定飛行に入り、みんなシートベルトを外した。
 広大な海原をみんなで眺める。
 ルーとハーがコーヒーをみんなに配った。

 「文化的なものはここで最後だからね!」
 「味わって飲んでね!」

 みんなで笑いながらコーヒーを飲んだ。
 サバイバルキャンプだとは分かっているが、私たちがいるので食糧は問題ない。
 今回島には野生動物は少なそうだが、海の幸は豊富だ。
 ルーが折り畳みのテーブルを立てて、島の地図を拡げた。

 「島の名前は《黒神島》です」
 「ちょっとコワそうな名前だね」
 
 上坂さんが笑って言う。

 「昔、お金持ちの人が住んでいたこともあるみたいだけど、もう80年以上誰も住んでません」
 「島は東西に20キロ、南北に6キロのちょっと横に長い形です。中心は標高111メートルの低い山があります」
 「島の中央付近は森林になってますよー。でも動物はいないみたいですー」
 「一応家はあるけど、もう古くて使えません。夜は自分たちで用意しないと寝る場所もありません」
 「みんな、がんばー」
 「記録では湧き水と井戸もあったようです」
 「湧き水はともかく、井戸はダメだろうねー」
 「いざとなれば、海水を蒸留しますよー」
 「みんな、がんばー」

 みんなで拍手した。
 事前にサバイバルの技術はみんなで勉強した。
 今回はベテラン(?)のルーとハーが指示を出すはずだ。

 「資料には無かったけど、住んでいた人ってどういう人なのかな?」
 「私たちも調べたんですが、軍閥の家の人で、何かの研究をしていたみたいですけど、何の研究かまでは分かりません」
 「そうかー」

 みんな大して気にはしていない。
 ただ、楽しみなので何でも知りたいってだけだ。
 分からなくても別にいい。
 
 双子がどうやってこの島を見つけたのかと言えば、東京に近い無人島を探したということだった。
 でもネットで探しても、本当の無人は無い。
 二人は「無人島ハンター」という詳しい人と連絡を取って話を聞いてきたようだ。
 そしてその人も行ったことは無いそうだが、近くを船で通ったことがあり、緯度経度を記録して法務局で確認したそうだ。
 現在は国有地になっていて、立ち入り出来ないことを知った。
 だから双子は御堂さんに頼んで、立ち入り許可を得た。
 タカさんが、あんまり面倒を掛けるなと言ったが、笑って許してくれた。
 御堂さんが少し調べてくれ、先ほどルーが言った軍閥の人の所有地だったことや、研究の話も聞けた。
 大分古かったが航空写真もあり、島の概要も分かった。
 ただ、80年も前のものなので、今は変わっているかもしれない。
 まあ、何とかなるだろう。

 いよいよ島が近づき、みんなシートベルトを締める。
 清瀬さんが丁寧に着水させた。

 ルーとハーがゴムボートを外に出す。
 放り出すと圧縮空気が膨らませる仕組みだ。
 すぐに10人乗りのゴムボートが2艘拡がった。
 一度飛行艇にロープで固定し、みんなで荷物をボートに移していく。
 揺れるボートの上で、みんな楽しみながら荷物を積んだ。
 ロープを解いて清瀬さんに合図した。

 「じゃあ、2日後に! ありがとうございました!」
 「みんな気を付けてなー!」
 
 私たちが離れるのを待ってから、飛行艇が飛び立った。
 みんなで見送り、ボートを漕ぐ。
 島まで500メートルほどだ。
 周辺は遠浅なので、飛行艇は離れた場所に着水していた。
 私たちならば、500メートルなど、何のことも無い。
 私と柳さんで一艘、ルーとハーでもう一艘をオールで漕ぐ。

 「アレ? 島も周辺の海岸もなんか黒いね?」
 
 上坂さんが双眼鏡を覗いて言った。
 私は背を向けているので分からない。
 そのままグングン近づいて行く。

 「おい! なんか海の中に黒いものが一杯だぞ!」

 坂上さんが叫んだ。
 気になったので、一度柳さんと漕ぐのをやめて前を向いた。

 「!」

 島の周辺の海が黒いトゲのようなもので覆われていた。
 太さは20ミリから30ミリの茎のようなもので、太いバラの枝のようだ。
 先端が尖っていて、胴体にも一杯トゲのようなものがある。

 「なんだ、あれ?」
 「とにかくゆっくり近づいてみましょう」

 ゆっくりとボートを漕いで島に近づいた。
 ルーとハーにも叫んで知らせる。
 島の近くまで来て、黒いトゲのようなものは、何かの海藻のようなものだと分かった。
 オールで触ってみると、結構硬そうだ。
 島の海岸近くまで繁殖している。

 「亜紀ちゃん! これ、ぶっ飛ばそう!」
 「うん!」

 ルーに言われて、海に「虚震花」を撃った。
 もちろん手加減する。
 幅50メートルが吹っ飛び、水しぶきと共に黒いトゲもぶっ飛んだ。

 「じゃあ行こう!」

 またボートを漕いで行った。

 「おい! 近づいて来るぞ!」

 坂上さんが叫んだ。
 私も海を見ると、黒いトゲがどんどん迫って来る。

 「柳さん!」
 「分かってる!」

 必死に漕いで、ルーたちも気付いて急いで漕ぐ。

 
 パンパン


 ボートに黒いトゲが触れて空気が漏れて行った。
 私は咄嗟に海に入って、ボートを引っ張る。
 柳さんも飛び降りた。
 ルーとハーも同じことをしていた。
 
 「急いでぇー!」

 凄い速さでボートを引っ張り、何とか無事に海岸に上がった。
 ボートのエアがグングン抜けていく。
 ボートは最後はただのビニールのシートになっていた。
 みんなで荷物を押さえて、荷物は無事だった。

 「なんなのよー!」
 
 全員無事だったが、とんでもない場所だった。
 
 「おい、アレ……」

 坂上さんが島を見て呆然としていた。
 私たちも見た。
 
 木々はあったが、すべてあの黒いトゲのようなもので覆われていた。
 地面にもずっとうねっている。
 
 「おい、これって不味いんじゃないか?」
 「「……」」

 双子も立ち尽くしていた。
 あまりにも想定と違い過ぎる。





 なんだ、ここ……
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