物置小屋

１人向け・other

はじまりのフォビドゥン(魔法使い)

どうも。そんなに家に帰りたくないわけ？
だったらこっちに来なよ。ただし、何かを見ても追いかけたり食べ物を貰わないこと。約束できる？
分かった。なら一緒に来ればいい。


何驚いてるの？…ああ、そういうこと。俺の魔法で隠してあるから、普通の人間には視えないよ。
こっちのクッキーは食べていいよ。あと、そっちのぶどうジュースは飲んでいい。
なんで食べちゃいけないのか？…この世界のものを食べるってことは、この世界の住人になるってことだから。
そっちは人間界で手に入れたもので作ったから特に何も感じないと思うけど、こっちのは俺の魔力がこもってるから駄目。
迂闊に手を出さない方がいい。待ってる人がいるんでしょ？
なんでまた泣くの…帰る場所がない？
生きるのが辛い、か。しかも君を貶す相手がいる？
…そいつを殺せば戻る？嫌ならしないけど。
ちょっと、そっちの木の実はダメだって！…飲んじゃった？
言うんじゃなかった。絶対させないために伝えておくべきだと思ったのに…面白い人間だね。
このままここに置いてあげる。俺の監督不行届だし、しかたない。
君、何かできる？…あのね、何もできないのにそんなあかぎれだらけになってるわけないでしょ。
食器を片付けてくれるだけで充分。それができるの、当たり前じゃないから。
今は手の傷を治すのが先。あと、ここで使う文字の読み書きを教える。
それが一段落したら家事を手伝ってもらうから。
いきなり人を殺してこいって言われてもできないでしょ？
できないことを押しつけたりしない。
これ読んで。君が読める文字で書いてあるから。
…で、気に入った料理教えてよ。ちゃんと作るから。
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ハロウィンっぽい話にしました。