物置小屋

１人向け・看病系

部屋満開(元・執事)

…お嬢様、失礼いたします。
ああ、やはりお目覚めでしたか。紅茶の用意をしてきますので、少々お待ちください。
なんですか？黙って腕を掴まれても困るのですが…。
いえ、怒っていませんよ。怒ってなんか…いません。
…あーあ、執事じゃなくなってから感情を隠すのが下手になったみたいだ。
帰ったら床に卵ぶちまけて倒れてるんだもん。…どうしてそんな無理したの？
お弁当を作ってくれようとしたのは分かってるけど、連日寝不足だろうから休むようにって言ったよね？
…謝らないで。ただ、最近うなされて眠れてなかったんだから花見は中止。
そんなに悲しまなくても、本物の桜でやるのはこれから先いつでもできるから。
さっき往診に来てくれた医者が帰ったところだよ。
やっぱり寝不足だって。あと過労。…お弁当の練習、どれくらいしたの？
分かるよ。君は料理が苦手ってわけじゃないけど、品数増やすために練習してたんだよね？
見覚えのないレシピ本が沢山あった。…ありがとう。だけどやっぱり、無理はしてほしくない。
さっきまで点滴してたけど、起きられる？…じゃあ、リビングに来て。

本物の桜は用意できなかったけど、折り紙で作ってみたんだ。
それから、申し訳程度の本物の花びら。…これじゃ足りない？
そんなに驚くとは思ってなかった。折り紙、昔から好きなんだ。
お弁当は、君が作ってくれていた分に何品か追加した。
これで気分は味わえるかなって…どうかな？
お礼を言われるようなことはしてないよ。俺はただ、君と過ごせればそれでいいから。
…お花見気分を味わいながらゆっくり食べよう。
ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ
元・執事シリーズで綴ってみました。