物置小屋

黒蝶

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1人向け・other

その約束は、世界で1番儚く美しい。(大切な約束)

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こんばんは。もしかして、落とし物はこれかな?
ごめん、不審者とかじゃなくて…ずっと見ていたんだ。
さっきからそこに座っていたから、もしかして探しに戻ってきたんじゃないかって…不快に思ったならごめん。
お礼を言われるようなことは何もしてないよ。
僕はただ、君にお礼を…いや、なんでもない。
もし行く場所がなくて辛いと思っているなら、また明日ここに来て。僕でよければ話し相手になることはできるから。


…ああ、こんばんは。やっぱり来てくれたんだね。
その怪我、どうしたの?そうか、暴力…。話しづらいことを教えてくれてありがとう。
別にひいたりしないよ。君が優しい人だってことはちゃんと分かってるから。
そうだ、これを受け取って。お守り代わりにはなると思う。
といっても、ただ花びらの周りを特殊な樹脂で固めて作った首飾りなんだけどね。
どうして泣きそうになっているの?もしかして、変なこと言った?
もし傷つけたならごめん。あんまり人と話したことがないから、無意識のうちに傷つけてしまっていても気づかないんだ。
本当にそれだけでいいの?…分かった。それなら、少しだけこうして抱きしめているよ。
もう少し警戒心を持った方がいい気もするけど、誰かに甘えたいと考えるくらい辛いものを抱えているんだろうね。
…もう少しだけこうしていてもいい?ありがとう。やっぱり君はすごく温かいんだね。
それじゃあ、また辛かったらここに来て。僕はいつでも待ってるから。


君と話してもう10日か…なんだかもっと長い時間一緒にいたような気がする。
君の話を沢山聞けて、一緒にお菓子を食べたり花札で遊んだり…どうしたの?
僕の話?聞いてもつまらないと思うよ?或いは、聞かなければよかったって思うかもしれない。
…分かった。それじゃあ話すよ。
僕がここにいるのは、君にお礼を言いたかったからなんだ。
僕たちは数年前、1度会っているんだよ。
あの頃の僕はまだ植樹されたばかりで心細かったんだ。
沢山花びらが散って掃除が大変だから撤去しようなんて言われて、これで終わるんだなって思ってた。
だけど、君が僕のいいところを沢山見つけて街の人たちと話してくれたおかげでここに残れた。
…そう。僕はあのとき君に植えてもらった苗木。春になって花が咲く時期だけこうして存在できるんだ。
そうだね。妖精みたいな感じかもしれない。
…花が散れば僕も散る。だから、今日はここでお別れを言わなくちゃいけないと思ったんだ。
できれば僕を嫌ってほしかった。そうすれば、僕を憎むことに生きる意味を見いだせるかもしれないって思ったんだ。
本当にごめん。来年?待っててくれるの?…分かった、信じるよ。他の誰でもない、君の言葉だから。
…実はさっきから眠いのを我慢しているんだ。
このまま眠ってしまったら、きっと次に花をつける瞬間まで起きられないから。
ねえ、もう少し近くに来て。…僕はずっと、君のことが好きだった。
どうしても、ちゃんと伝えておきたかった。僕を救ってくれてありがとう。
また話が聞けるのを、楽しみにしているよ。
それじゃあ、次に桜の花が咲くまで…おやすみ。
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桜の花言葉にある『儚さ』『美しさ』をモチーフに綴ってみました。
恐らく彼女は、彼からもらったネックレスを身につけ桜が咲くのを待ち続けるでしょう。
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