物置小屋

物語の欠片

紅葉(『裏世界の蕀姫』の半端になってしまったものです…)

「こういうことするの、初めて？」
葉が少しずつ赤くなっている木を見ながら歩いていると、春人が優しく声をかけてくれる。
「ごめんなさい。本でしか見たことがなかったので、つい見惚れてしまいました」
「それは全然構わない。ただ、時計を落とさないように」
「は、はい…」
懐中時計がポケットから落下しそうになっているのを見て、鞄にそっとつけ直す。
これなら外れずに歩けるだろうか。
中にはラビとチェリーもいるので、置いていかないように充分注意しなければならない。
「…こんにちは、珍しいですね。お友だちですか？」
「別にそういうのじゃない」
突然始まった会話に驚いて目を向けると、そこには冬真さんが立っていた。
何が珍しいのか疑問に思ったけれど、周りを見て納得する。
私があまり外に出ないからかもしれないだと思ったものの、春人が珍しいと言うのなら本当にそうなのだろう。
「秋久といるなら分かりますが、まさかそれ以外の人たちと交流しているとは…流石ですね」
「春人さんまで茶化さないで。別に人数足りないから来てほしいって言われただけだから」
「大学のお友だちなら、そんなに照れる必要ないと思いますよ。どうかそのお友だちを大切にしてくださいね」
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恐らく11月に書こうとしたものだと思いますが、まだ途中のままです…。