物置小屋

１人向け・看病系

『ひとりで』は禁止で。(元・執事シリーズです)

どう、久しぶりのちょっとだけ遠出の気分は？
楽しいって思ってくれているのか不安だったから、ちょっと聞いてみたかったんだ。
喜んでもらえてるならよかった。
どんな場所がいいのか分からなくて、結局いつでもこられるような場所になっちゃってごめん。
でも、こうやってふたりで出掛けられるのは奇跡かもしれないね。
ずっと近場にしか行けなかったわけだし...。
喉、乾かない？あそこにお店があるみたいだから、ここで待ってて。
ちょっと人多かったから、人に酔ってるんじゃないかと思ったんだ。
すぐ戻ってくるから...ね？

おまた、せ...何かあった？
なんでもないって顔じゃないよ。...大丈夫、逃げよう。
植物園はまた今度にして、今日はもう帰ろうか。
...このまま無理して強がっていても、楽しくないでしょう？
舌を噛まないように気をつけてください。


...お嬢様、失礼致します。
部屋からずっと出てこないので、強引に入らせていただきました。
やはり怪我をされたのですね。大至急手当てをさせていただきます。
...当たり前でしょ、怒ってるから。
またひとりでなんとかしようとしていた君にも、あの場所の近くにあの人たちがいる可能性を計算に入れてなかった俺自身にも。
はい、手当て終わり。それから、頭痛はおさまった？
昔から君は、頭痛がするときに耳朶を必要以上に触る癖がある。
前にも言ったでしょ、君のことなら見ていれば大抵分かるって。
...ごめん。君にゆっくり過ごしてほしかったのに、結局こんなことになっちゃって...。
だから、君さえよければリベンジさせて。
今度はもっと楽しい旅にできるように、今から計画を練り直すね。
駄目だよ、無理して動いたら...あ、包帯ほどけちゃった。
いいよ、ちゃんと巻き直すから座ってて。
頭痛が治まってるならよかった。もしかして、傷が疼いてる？
頬のところ、ずっと押さえてるから...そっか、やっぱり嫌なことを思い出してたんだ。
今日は好きなものを作ってあげる。何がいい？
...今のそれは反則だよ。
それじゃあ、奥様の腕には及ばないと思うけど唐揚げ作るね。
その後、一緒にスイーツも食べよう。
君は一応もう少し休んでて。出来上がったら呼びに来るから。

朝から仕込みをしておいてよかった。
今から作ればすぐ完成する...はず。
それにしても、俺が作ったものならなんでも好き、か...今思い出してもにやけそうになる。
デザートも、彼女が好きなマカロンを作っておいてよかった。
食事の間だけでも嫌なことは忘れて、喜んでもらえるといいな...。
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久しぶりに綴ったような気がします。