物置小屋

１人向け・看病系

どんな壁がたちはだかっても(元・執事シリーズです)

ただいま戻りました、お嬢様。...ごめん、やっぱり癖が抜けないみたい。
それよりどうかしたの？顔、真っ青だけど...どうしたのその傷!?
ただ転んだだけじゃ、そんな怪我にはならないよ。...もしかして、突き飛ばされた？
突風で階段から転げ落ちて、そんな深い傷がつくことはなかなかないんじゃないかな。
確証がなくてもいいんだ。...押された感じはした？
そっか。...何はともあれ、一先ず手当てするね。
滲みると思うけど我慢して。痛い、よね。ごめん、すぐ終わらせるから。
...よし、できた。その傷じゃ立っているのも大変だったんじゃない？
しばらく買い物に行くのは禁止。必要な食材があれば俺が買ってくるから、君はここで待ってて。
ふたりだけの家なんだし、遠慮なんかしなくたいいんだよ。
...ああ、ごめん。さっき会った依頼者から、忘れ物をしてるってメールがきたから行ってくるね。
もう少しだけ待ってて。


...もしもし。先程は電話に出られず大変申し訳ございません。ご用件をお願いします。
...なんて、もう分かってますよ。
俺に手を出さず、彼女の前に現れたんですか？
どうしてそんなことをするんです？
あなたはその家のたったひとりのお嬢様になれて満足でしょう？...彼女や俺に干渉してくる権利はないはずだ。
俺たちはあんたたちを暴力で訴えることができる。それに、家を破滅に追い込むこともできる。
二度と探偵なんか雇って俺たちの居所を探ろうとなんかしないことです。
...でないと、次は法廷で会うことになりますから。
ああ、お久しぶりです。旦那様は相変わらず...ええ、あなたの娘さんには釘を刺しました。
もう二度と俺たちに関わらなければ、訴えるようなことはしません。
あなたの娘さんと奥方にもよろしくお伝えください。
...それではさようなら。
家が分からなくても、利用する交通手段で駅周辺を見張られていたってことか。
このままだと家も特定されるかもしれない。...もう手は出してこないだろうけど、彼女には言えないな。


ただいま。...ごめん、ちょっと遅くなっちゃった。
それより、どうして隠してたの？会ったんでしょ。...あの人たちに。
さっき電話がかかってきたんだ。
自分だけで解決しようとしないでほしい。
俺たちはただの恋人なんだから、ふたり一緒に戦おう。
そうすればきっと大丈夫だから。
家の場所が分からないように回り道してくれたんでしょ？ありがとう。
あんまり無理はしないようにね。
...さて。実は夕飯の仕込みはバッチリしておいたんだ。
温めたらできるから...そんなに暴れないで、しっかり掴まってて。
誰も見てないんだから、たまにはこうやってお姫様抱っこで運んでもいいでしょ？...照れてる顔も可愛い。
ついでにいいものを手に入れてきたよ。この杖があれば、歩くのに支障はないはずだから。
...病院には行きたくないんでしょ？
ちゃんと分かるよ、君のことだから。
ほら、夕飯完成。折れてはないみたいだけど、家の中でもそれ使って歩いてね。
それとも、毎回おぶって運んであげようか？...本当に可愛い反応をするね。
冷めないうちに食べよう。顔も打ってるけど、歯とか頭は痛くない？それならちょっと安心した。
それじゃあ、いただきます。
あ、食べる前にひとつだけ。...もう君に痛い思いなんてさせないから。
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相手の間抜けさも含めて綴りたかったのですが、ちゃんとできているでしょうか...。