物置小屋

黒蝶

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1人向け・慰め系

クラシオンへようこそ-優しすぎるお客様篇-(シリーズになるかも...?)

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...目が覚めた?
いきなり店先で人が倒れてるものだから吃驚したよ。
カフェ『クラシオン』にようこそ。俺はこの店のオーナーです。
ところで、君はどうやってここまで来たか覚えてる?
...やっぱりそうか。いや、なんでもないよ。
ここでお茶していかない?
いいんだよ、帰りたくないならそれで。
そういうときの気分転換の為にこの場所はあるんだからさ。
俺でよければ話を聞くから、嫌なことがあったなら話してごらん?
暴力に暴言か...それで腕に包帯を巻いてるの?
足の怪我は俺が手当てしたんだけど、ちょっと自信ないな...。
痛みはひいてる?それならよかった。
はい、この抹茶のケーキはおまけ。
もう少し話をしようか。
君はその人たちにやり返さなかったの?優しいんだね。
弱いなんて言わないで。
俺はそういう優しい子、好きだから。
相手のことを悪く言わないのも優しい証拠だ。
...なんて、初対面の人に言われてもぴんとこないか。
そうだ、何かほしいものはある?
これも急すぎる一言かもしれないけど、今の君に必要なものなはずだ。
小さなクマのキーホルダー...それが君のオーダーか。
いや、なんでもないよ。
え、時間?...そうだね、もう暗くなるから今日は帰った方がいい。
明日は店を休みにしていると思うから、また明後日きてほしい。...約束だよ。
それじゃあ、また。


いらっしゃいませ。...あ、君は一昨日の。
探し物、見つけておいたよ。この子だよね?
どうして分かったのか、か...君も少しずつ気づきはじめているんじゃない?
傷が痛まなかったり、驚くほど誰にも干渉されなかったり。
まあ、とにかく先にこれを渡しておくよ。
それで、さっきの言葉の意味だけど...ここには、色んなことに疲れた者たちがやってくるんだ。
入店資格はそれだけ、あとは癒しがほしいならどんな状態のお客様でも受け入れてるよ。
...君のように死んでいたとしてもね。
俺には、そういうのが分かっちゃうんだ。
小さい頃から、人とは違った性質を持っていた。
そのせいで気味悪がられることなんてしょっちゅうだったし、未来に希望なんて持てなかった。
今だって希望なんかないけど、そんな俺だからできることをしたかった。
そうしてはじめたのがこの店だよ。
人間以外のお客様も来るし、君みたいに死んだことにさえ気づいていない存在が来ることだってある。
この店の前で倒れていたのは、それだけ君が傷ついていたからだ。
...自ら死を選択したんでしょ?
だけど、君の心残りを少しでも軽くしたかったんだ。
そのキーホルダー、病気で亡くなった友だちとお揃いだったんだよね?
実は、君の友だちがここに来たことがあったんだ。
彼女の心残りは、君を独りにしてしまうこと。
だから君が来るのを待っていたんだけど、あまりにも時間が無さすぎた。
...ほら、あそこに虹の橋が見えるでしょ?
あの先でお友だちが待ってるはずだよ。
彼女はここのコーヒーが好きだった。
君はココアを気に入ってくれたみたいだけど...テイクアウト、してくれる?
お金は要らないよ。...君たちの絆と強さを見せてもらえた。
それに、君は今笑っている。強いて言うならそれがお代だ。
ほら、橋が消えてしまう前に行って。
いってらっしゃい。気をつけてね。
...ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております。
なんて、今回は言えないな。
ふたりとも、どうか幸せに。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
彼女は死んでしまっていた、というオチにしました。
『どんなものでも』入店できる...つまり、それが生者かどうか、ましてや人間かどうかすら関係ない。
ただ、疲れている存在だけが入店できるという設定で綴ってみました。
クラシオンはスペイン語で『癒し』という意味...だったはずです。
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