物置小屋

１人向け・慰め系

ふたりだけの居場所(愛とは何か、という話にしたつもりです)

おはよう。ご飯、いつもありがとう。
たまには俺が早起きして作れればいいんだけど...。
ん？どうしたの、いきなり引っ越したいだなんて...。
いやいや、そこまで言われたら気になるよ。
ごめん。嫌なら今は聞かないから、いつか教えて。
お弁当も作ってくれたの？本当にありがとう。
これで今日も頑張れそうだよ...！
あ、そろそろ行かないと。
できるだけ早く帰ってくるつもりだけど、遅くなるときは連絡するね。


ただいま。今日もお疲れさま。
なんだか疲れてるように見えるけど、大丈夫...なわけないよね。
何かあったの？
...って、その傷どうしたの？
え...親戚にやられた!?
それってもはや家庭内暴力なんじゃ...わっ、急に抱きついてきてどうしたの？
暴力が君の為？そんなわけない！
俺が君のことを殴ったり蹴ったりしたことがあった？
君が嫌がることをしたことがあった？
...ないでしょ。
本当に愛しているなら、こうやってただ抱きしめればいい。
相手を愛しているなら、傷つけるんじゃなくて笑顔にできることをするはずだよ。
...はっきり言うと、常識からはずれてる。
考え方が違うのは当たり前だと思ってる。
でも、暴力は愛なんかじゃない。...そこだけは譲れないよ。
今朝引っ越そうって言ってたのは、この場所が見つかりそうだったからなんだね。
気づけなくてごめん。
ただ、次はちゃんと話してほしい。
そのくらいじゃ、君のことを嫌いになったりなんかしないから。
昔の傷っていうのも、その親戚の人たちにやられたものなの？
そうだったんだ...下の兄弟が生まれるときに預けられて暴力...辛かったね。
そんなに小さい頃なら、逃げ場なんてどこにもない。
それに、周りの大人だって信用できないよね。
俺はそういうことをされたことがないから分からない。
でも...君が今でも人を避けたがるのは、そういう経験をしたことがあるからなのかもしれないね。
傷痕、見せてくれる？大丈夫、誰かに言ったりしないから。
この傷も、背中にある打撲傷みたいな痣も...小さい頃からずっとあるんだね。
君は必死に我慢して、辛くても人には優しく接して...いいところは沢山あるから、いつかもっと自信を持ってほしいな。
私なんて、とかすぐ謝るところとか...そういうのを、絶対俺が取り払うよ。
実は今日の帰り、マンションの広告をもらってきたんだ。
君はどんなところに住んでみたい？
ゆっくりでいいよ。沢山泣いて、すっきりした後でまた話をしよう。
大丈夫。急かさずに待ってるから。

...落ち着いた？
帰り道、雑貨屋さんでいいものを見つけたんだ。
はい、どうぞ。
勿忘草をモチーフにした髪飾りだって。
こういうものならいつでも身につけられるかなって...。
うん、すごく可愛い。
それから、マンションはどこがいい？
俺はどこでもいいから、君が好きなところにしよう。
今の職場からだとここまでが限界で...ごめん。
ん？ここ？...いいね、それじゃあ決まり。
君がいる場所が俺の居場所だし...俺が君の居場所になれるように頑張るよ。
だから、ふたりで一緒に新しいところに引っ越しちゃおう。
全然何も準備してないけど、すごく楽しみだな...。
ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ
今回は花の髪飾りということにしました。
勿忘草の花言葉は、『真実の愛』。
暴力を振るわれたら、なかなか逃げられないのです。
...特に、小さい頃にそういうことがあった場合は。