1,518 / 1,797
1人向け・other
次があるなら...(童話モチーフ・心中ものです)
しおりを挟む
...もう逃げられないね。
気にしなくていいんだ、君は何も悪くない。
ただ車椅子を使っているというだけなんだから。
僕がもっと早く聞き取れていたらよかったのに...ごめん。
左側じゃなかったら、ちゃんと聞こえていたのかもしれない。
僕は、君が好きだよ。ううん、愛してる。
左耳が聞こえない僕を、君だけは人間として扱ってくれた。
それだけで充分だったんだ。
だけどまさか、こんなふうに追われることになるなんてね。
覚えてる?この海は、君と初めてデートにきた場所だ。
そうそう、君が作ってくれたサンドイッチを一緒に食べたね。
あの日もこんなふうに月が綺麗だった。
ふたりで見られてとても嬉しかったよ。
...え、君も楽しいって思ってくれてたの?嬉しいな。
もうすぐ追っ手がきてしまいそうだ。
ねえ。もしも、僕たちが普通の家に生まれていたら...夫婦になることも赦されたのかな?
泣かないで、君のせいじゃないから。
僕がいけないんだ。
...婚約させられそうになった君を連れ去った。
それは大罪でしょ?
嬉しかったなんて、変なことを言うんだね。
でも僕は後悔してないよ。
君があの男性のことを愛しているなら諦めようと思っていた。
だけど、そういうわけじゃなかったんでしょ?
泣いているのを見て、放っておけなかった。
だから...僕は、君が側にいてくれるなら何も怖くないよ。
これからここに飛びこむのも、間違いなく生きてはいられないであろうことも。
君は怖くないの?今ならまだ引き返せるよ。
...そっか、もう覚悟を決めてるんだね。
僕を選んでくれて...僕を好きになってくれてありがとう。
君のことを幸せにできなくてごめんね。
これからか...そうだね。
きっと、ふたりだけの世界に行ける。
そうなったら何がしたい?
いいよ、君のことはどこまでだって運ぶから。
君の車椅子を押すのは僕だけがいい。
一緒に花を摘んで、ご飯を食べて。
夜はおしゃべりしながら眠りにつく。
全部ありふれたことだけど、それだけでいいんだ。
君が隣にいてくれれば、あとは何も要らない。
...まずい、本当に時間がないみたいだ。
本当にいいんだね?...よし、それじゃあふたりだけの世界を目指して出発だ。
大丈夫だよ、君のことはこうやって抱きしめていくから。
勿論、この車椅子もね。
ありがとう。僕も愛してるよ。
...たとえ次があったとしても、こうしてふたりで添い遂げよう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
久しぶりの童話モチーフです。
左耳が聞こえないロミオと、車椅子のジュリエット...ふたりはきっと幸せになったことでしょう。
『ロミオとジュリエット』...小さい頃は哀しい終わりだと思っていました。
ですが今は、【世界で1番大切な人と添い遂げられた物語】として読んでいます。
ふたりは永遠想いあうことができる...そんな関係がいいと思えるのは何故でしょうか。
気にしなくていいんだ、君は何も悪くない。
ただ車椅子を使っているというだけなんだから。
僕がもっと早く聞き取れていたらよかったのに...ごめん。
左側じゃなかったら、ちゃんと聞こえていたのかもしれない。
僕は、君が好きだよ。ううん、愛してる。
左耳が聞こえない僕を、君だけは人間として扱ってくれた。
それだけで充分だったんだ。
だけどまさか、こんなふうに追われることになるなんてね。
覚えてる?この海は、君と初めてデートにきた場所だ。
そうそう、君が作ってくれたサンドイッチを一緒に食べたね。
あの日もこんなふうに月が綺麗だった。
ふたりで見られてとても嬉しかったよ。
...え、君も楽しいって思ってくれてたの?嬉しいな。
もうすぐ追っ手がきてしまいそうだ。
ねえ。もしも、僕たちが普通の家に生まれていたら...夫婦になることも赦されたのかな?
泣かないで、君のせいじゃないから。
僕がいけないんだ。
...婚約させられそうになった君を連れ去った。
それは大罪でしょ?
嬉しかったなんて、変なことを言うんだね。
でも僕は後悔してないよ。
君があの男性のことを愛しているなら諦めようと思っていた。
だけど、そういうわけじゃなかったんでしょ?
泣いているのを見て、放っておけなかった。
だから...僕は、君が側にいてくれるなら何も怖くないよ。
これからここに飛びこむのも、間違いなく生きてはいられないであろうことも。
君は怖くないの?今ならまだ引き返せるよ。
...そっか、もう覚悟を決めてるんだね。
僕を選んでくれて...僕を好きになってくれてありがとう。
君のことを幸せにできなくてごめんね。
これからか...そうだね。
きっと、ふたりだけの世界に行ける。
そうなったら何がしたい?
いいよ、君のことはどこまでだって運ぶから。
君の車椅子を押すのは僕だけがいい。
一緒に花を摘んで、ご飯を食べて。
夜はおしゃべりしながら眠りにつく。
全部ありふれたことだけど、それだけでいいんだ。
君が隣にいてくれれば、あとは何も要らない。
...まずい、本当に時間がないみたいだ。
本当にいいんだね?...よし、それじゃあふたりだけの世界を目指して出発だ。
大丈夫だよ、君のことはこうやって抱きしめていくから。
勿論、この車椅子もね。
ありがとう。僕も愛してるよ。
...たとえ次があったとしても、こうしてふたりで添い遂げよう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
久しぶりの童話モチーフです。
左耳が聞こえないロミオと、車椅子のジュリエット...ふたりはきっと幸せになったことでしょう。
『ロミオとジュリエット』...小さい頃は哀しい終わりだと思っていました。
ですが今は、【世界で1番大切な人と添い遂げられた物語】として読んでいます。
ふたりは永遠想いあうことができる...そんな関係がいいと思えるのは何故でしょうか。
0
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
一人用声劇台本
ふゎ
恋愛
一人用声劇台本です。
男性向け女性用シチュエーションです。
私自身声の仕事をしており、
自分の好きな台本を書いてみようという気持ちで書いたものなので自己満のものになります。
ご使用したい方がいましたらお気軽にどうぞ
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
【R18】もう一度セックスに溺れて
ちゅー
恋愛
--------------------------------------
「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」
過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。
--------------------------------------
結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。
大好きだ!イケメンなのに彼女がいない弟が母親を抱く姿を目撃する私に起こる身の危険
白崎アイド
大衆娯楽
1差年下の弟はイケメンなのに、彼女ができたためしがない。
まさか、男にしか興味がないのかと思ったら、実の母親を抱く姿を見てしまった。
ショックと恐ろしさで私は逃げるようにして部屋に駆け込む。
すると、部屋に弟が入ってきて・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる