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冬真ルート
第51話
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「…で、どこに行ってた?」
なんとか家まで帰ってこられたけれど、そこにはもう秋久さんたちがいた。
「ごめん。ちょっと忘れ物をしたことに気づいて取りに行ってたんだ。これがないと仕事が始まらないでしょ?」
「そっか、そのパソコン修理に出してたんだっけ?」
「そう」
さっきからずっと持っていたはずの機械を見せて、冬真は誤魔化そうとしている。
私は何も言わずに黙っておくことにした。
冬香さんのことを知られたくないと考えているなら、余計なことを話してしまったら大変なことになる。
「次から連絡するように」
「…ごめん」
「冬真、そこまで落ちこまなくて大丈夫ですよ。僕たちはただ、何かトラブルに巻きこまれたのではないかと考えていただけなんです。
だから、急いでいたとしてもメモを残すなりはしておいていただけますとありがたいです」
「春人さん…ありがとう」
4人の会話は微笑ましい。
ただ、今私がここにいると邪魔になってしまう。
「私は部屋にいるので、何かあれば声をかけてください」
「ありがとう」
そんな冬真の一言は、私の心を優しく包みこむ。
彼の笑顔は温かかった。
しばらく窓の外を見ていると、ばさっと羽音がして何かが部屋に入ってくる。
「スノウ…?」
なんだか楽しそうに首を揺らしているスノウを見ていると、だんだん微笑ましくなってくる。
「どこに行っていたんですか?どこか行きたい場所があったとか…」
スノウの足にはまた手紙のようなものがくくりつけられていて、すぐに視線を逸らそうとした。
見てしまったら大変なことになりそうだと思っていたけれど、ふと目に入ったものに驚く。
「『お姫様へ』…?」
私宛に冬香さんからメッセージが届いたということでいいのだろうか。
勝手に読んではいけないと思いつつ、私宛だからと勢いで開けてしまった。
《これから先ずっと冬真とは話せないと思ってた。だけど、君のおかげで僕は勇気を出せたんだ。
実は少し出かける予定なんだ。もしかすると連絡をとるのが難しくなるかもしれない。
蕀姫、ありがとう。冬真のことをよろしくね》
これじゃあまるで、どこか遠くに行ってもう会えないかもしれないみたいな書き方だ。
それに、あんなに酷い怪我を負っているのに動いていいわけがない。
急いで扉を開けて冬真に話しかけようとする。
「冬…」
そこまでしか声にならなかったのは、体に激しい痛みを感じたからだ。
「どうかしましたか?」
春人さんが話しかけてくれたのは分かったけれど、何を言っているのか分からない。
「お嬢ちゃん、どうした?」
「月見ちゃん具合悪いの?」
声が遠く聞こえる。どうしてこんなふうになったのか自分でも分からない。
多分それだけ冬香さんが危険な状態なんだ。
「…診察させて」
冬真に抱えられたのだと理解して、彼に顔を近づける。
なんとか状況を伝えたい…そう思って言葉を絞り出す。
「マジック…」
「分かったから今はそのまま休んでて」
冬真の言葉に安心して、そのまま目を閉じた。
なんとか家まで帰ってこられたけれど、そこにはもう秋久さんたちがいた。
「ごめん。ちょっと忘れ物をしたことに気づいて取りに行ってたんだ。これがないと仕事が始まらないでしょ?」
「そっか、そのパソコン修理に出してたんだっけ?」
「そう」
さっきからずっと持っていたはずの機械を見せて、冬真は誤魔化そうとしている。
私は何も言わずに黙っておくことにした。
冬香さんのことを知られたくないと考えているなら、余計なことを話してしまったら大変なことになる。
「次から連絡するように」
「…ごめん」
「冬真、そこまで落ちこまなくて大丈夫ですよ。僕たちはただ、何かトラブルに巻きこまれたのではないかと考えていただけなんです。
だから、急いでいたとしてもメモを残すなりはしておいていただけますとありがたいです」
「春人さん…ありがとう」
4人の会話は微笑ましい。
ただ、今私がここにいると邪魔になってしまう。
「私は部屋にいるので、何かあれば声をかけてください」
「ありがとう」
そんな冬真の一言は、私の心を優しく包みこむ。
彼の笑顔は温かかった。
しばらく窓の外を見ていると、ばさっと羽音がして何かが部屋に入ってくる。
「スノウ…?」
なんだか楽しそうに首を揺らしているスノウを見ていると、だんだん微笑ましくなってくる。
「どこに行っていたんですか?どこか行きたい場所があったとか…」
スノウの足にはまた手紙のようなものがくくりつけられていて、すぐに視線を逸らそうとした。
見てしまったら大変なことになりそうだと思っていたけれど、ふと目に入ったものに驚く。
「『お姫様へ』…?」
私宛に冬香さんからメッセージが届いたということでいいのだろうか。
勝手に読んではいけないと思いつつ、私宛だからと勢いで開けてしまった。
《これから先ずっと冬真とは話せないと思ってた。だけど、君のおかげで僕は勇気を出せたんだ。
実は少し出かける予定なんだ。もしかすると連絡をとるのが難しくなるかもしれない。
蕀姫、ありがとう。冬真のことをよろしくね》
これじゃあまるで、どこか遠くに行ってもう会えないかもしれないみたいな書き方だ。
それに、あんなに酷い怪我を負っているのに動いていいわけがない。
急いで扉を開けて冬真に話しかけようとする。
「冬…」
そこまでしか声にならなかったのは、体に激しい痛みを感じたからだ。
「どうかしましたか?」
春人さんが話しかけてくれたのは分かったけれど、何を言っているのか分からない。
「お嬢ちゃん、どうした?」
「月見ちゃん具合悪いの?」
声が遠く聞こえる。どうしてこんなふうになったのか自分でも分からない。
多分それだけ冬香さんが危険な状態なんだ。
「…診察させて」
冬真に抱えられたのだと理解して、彼に顔を近づける。
なんとか状況を伝えたい…そう思って言葉を絞り出す。
「マジック…」
「分かったから今はそのまま休んでて」
冬真の言葉に安心して、そのまま目を閉じた。
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