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秋久ルート
第24話
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「危ないことをする奴が増えたもんだな」
目を開けると、秋久さんが部屋に入ってきた人たちをなぎ倒していた。
「おまえはこれで眠らせたはず、」
「そんなもん向けるなって。危ないだろ?」
刃物をちらつかせた相手にも物怖じせず、秋久さんはすぐにナイフを折った。
武器が壊された相手はみんなで震えている。
「怪我はないか、お嬢ちゃん」
「は、はい。甘栗も無事です」
「それはよかった。少し片づけるまで待っててくれ」
満面の笑みを浮かべてはいるけれど、さっきの動きを見た後だからか少しだけ怖く感じる。
秋久さんが後ろを向くと、襲ってきた人たちの中のひとりが口を開いた。
「ま、待ってくれ守護神!ここがあんたの家だって知らなかったんだ!」
「おまえら、ホーソーンのメンバーだな。カルナからの指示で動いているのか?」
「違う、ボスは関係ない!誰かから依頼の封筒が届いてて、ここの住所と住人を生け捕りにしろって言葉が、」
「…その封筒、出してみろ」
言葉を遮った秋久さんの表情は怒りに満ちていて、相手は震えながらポケットに手を伸ばした。
そこから出てきたのはたしかに封筒で、仕組みは分からないけれど何か書かれているのか分からないようになっているみたいだ。
「…成程、つまり下っ端の給料じゃ足りなくて他の奴らなんてどうでもいいから金がほしいと考えたわけか」
「そ、そういうわけじゃ…」
「ならなんで相手の下調べもしないで襲ってきた?それでどうにかなると、そうやって稼いで幸せになれると本気で思ったのか?」
その一言に、場はしん、と静まりかえる。
「いいか、よく聞け。そもそも何の覚悟もなく人を傷つけて手に入れた金で幸せは買えない。だからあんたたちのところのボスは、申し訳ないと言いつつ金額で仕事を選ばないようにしてる。
足抜けや犯罪に引っかからない情報収集を仕事にしてるんだ。…こんなことをやったって知れば、カルナは悲しむだろうな」
話の展開は分からないけれど、ひとつだけ分かったことがある。
「…カルナさんという方が、大切なんですね」
恐怖より、相手にも何か事情があったんだと察知する。
そんな言葉が零れて、怒られると思ったら相手は申し訳なさそうに頭を下げた。
「すみませんでした!」
「え、あ、」
「俺たちはあなたに酷いことをしようとしたのに、ボスのことをそんなふうに言ってもらって…本当にすみません!」
予想していなかった反応に戸惑っていると、秋久さんが苦笑しながらその人たちに話す。
「お嬢ちゃんが困ってるから、取り敢えず頭を上げてくれ。本当に申し訳ないと思っているなら手を借りたい。
依頼料は前払いするから、できれば引き受けてもらえないか?」
「受けるよ。このまま引き下がるわけにはいかないし…手紙についてもなんとか探ってみる」
「死なない程度にな」
その人たちを捕まえるのかと思ったら、秋久さんはあっさり解放した。
ただ、彼はずっと申し訳なさそうにこちらを見ている。
「あ、あの…」
「お嬢ちゃん、悪いんだがこれから少しつきあってほしい」
目を開けると、秋久さんが部屋に入ってきた人たちをなぎ倒していた。
「おまえはこれで眠らせたはず、」
「そんなもん向けるなって。危ないだろ?」
刃物をちらつかせた相手にも物怖じせず、秋久さんはすぐにナイフを折った。
武器が壊された相手はみんなで震えている。
「怪我はないか、お嬢ちゃん」
「は、はい。甘栗も無事です」
「それはよかった。少し片づけるまで待っててくれ」
満面の笑みを浮かべてはいるけれど、さっきの動きを見た後だからか少しだけ怖く感じる。
秋久さんが後ろを向くと、襲ってきた人たちの中のひとりが口を開いた。
「ま、待ってくれ守護神!ここがあんたの家だって知らなかったんだ!」
「おまえら、ホーソーンのメンバーだな。カルナからの指示で動いているのか?」
「違う、ボスは関係ない!誰かから依頼の封筒が届いてて、ここの住所と住人を生け捕りにしろって言葉が、」
「…その封筒、出してみろ」
言葉を遮った秋久さんの表情は怒りに満ちていて、相手は震えながらポケットに手を伸ばした。
そこから出てきたのはたしかに封筒で、仕組みは分からないけれど何か書かれているのか分からないようになっているみたいだ。
「…成程、つまり下っ端の給料じゃ足りなくて他の奴らなんてどうでもいいから金がほしいと考えたわけか」
「そ、そういうわけじゃ…」
「ならなんで相手の下調べもしないで襲ってきた?それでどうにかなると、そうやって稼いで幸せになれると本気で思ったのか?」
その一言に、場はしん、と静まりかえる。
「いいか、よく聞け。そもそも何の覚悟もなく人を傷つけて手に入れた金で幸せは買えない。だからあんたたちのところのボスは、申し訳ないと言いつつ金額で仕事を選ばないようにしてる。
足抜けや犯罪に引っかからない情報収集を仕事にしてるんだ。…こんなことをやったって知れば、カルナは悲しむだろうな」
話の展開は分からないけれど、ひとつだけ分かったことがある。
「…カルナさんという方が、大切なんですね」
恐怖より、相手にも何か事情があったんだと察知する。
そんな言葉が零れて、怒られると思ったら相手は申し訳なさそうに頭を下げた。
「すみませんでした!」
「え、あ、」
「俺たちはあなたに酷いことをしようとしたのに、ボスのことをそんなふうに言ってもらって…本当にすみません!」
予想していなかった反応に戸惑っていると、秋久さんが苦笑しながらその人たちに話す。
「お嬢ちゃんが困ってるから、取り敢えず頭を上げてくれ。本当に申し訳ないと思っているなら手を借りたい。
依頼料は前払いするから、できれば引き受けてもらえないか?」
「受けるよ。このまま引き下がるわけにはいかないし…手紙についてもなんとか探ってみる」
「死なない程度にな」
その人たちを捕まえるのかと思ったら、秋久さんはあっさり解放した。
ただ、彼はずっと申し訳なさそうにこちらを見ている。
「あ、あの…」
「お嬢ちゃん、悪いんだがこれから少しつきあってほしい」
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