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秋久ルート
第25話
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「…それで、緊急会議?」
「悪いな、こんな時間に召集して」
「俺たちはいいけど、月見ちゃんまで連れてきちゃうとはね」
「ご、ごめんなさい」
夏彦さんの言葉に思わず謝ってしまったけれど、秋久さんが苦笑いしながらこちらを見ていた。
「別にお嬢ちゃんが謝ることなんて何ひとつない。ただ、ちょっと計画が狂っただけだ」
「計画、ですか?」
「こっちの話だ」
秋久さんの言葉に、春人さんが小さく息を吐く。
「それにしても、随分大胆な手法ですね。それほどまでに自信があるということでしょうか」
「多分な。だからお嬢ちゃんと甘栗を家に置いてくるのは危険だと判断した」
他の人たちが難しい話をしているなか、ひとりついていけず困ってしまう。
そんな私を見かねたのか、冬真さんが手招きしてくれた。
「ここで休んでて。あんまり一般市民が聞いていい話じゃないし、ここの方が多分甘栗も落ち着くから」
「ありがとうございます」
話を聞かせてもらえないとなると少し寂しい。
さっきの人たちの様子を見ていると、狙われたのが秋久さんだったとは思えなかったし、どんな人が何の為にやったことなのか気になる。
「甘栗、眠かったらゆっくり休んでいてくださいね」
甘栗も不安に思っているのか、全然寝る気配がない。
腕のなかで落ち着きなくずっと動いていて、なんとか落ち着いてもらえるように背中を撫で続ける。
「…お嬢ちゃん、少しいいか?」
「は、はい」
部屋を出ると、他の3人が真剣な表情で資料のようなものを見ていた。
今から何が始まるのか分からない分怖いこともあるけれど、とにかく話をきちんと聞くしかない。
「お嬢ちゃんにはずっとちゃんと話せてなかったが、さっきあいつらが俺のことを呼ぶのを聞いただろ?
だから、俺たちが何者なのかもう説明しようと思う」
「守護神、の意味ですか?」
私の言葉に春人さんが呆然とした様子でこちらを見ている。
「本当に呼ばれてしまったんですね」
「まあ、本名を開かせる仕事じゃないからな…」
悪いことをしているわけじゃないみたいなのに、どうして名前を隠さないといけないんだろう。
首を傾げていると、秋久さんが分かりやすく説明してくれた。
「単純にいうと、俺たちは4人で【カルテット】という組織として活動している。
依頼の受け口になるのは俺か冬真が多いが、誰かが欠けた時点で仕事が難しくなるチームだ。因みにこのことは殆どの人間が知らない」
そんなすごい話を聞いてしまって大丈夫だったのだろうか。
不安に思っていると、秋久さんは優しく微笑みかけてくれた。
「大丈夫だ。お嬢ちゃんが気にすることは何もない。今回狙われたのも、俺が油断していたせいだ。…すまない」
「謝らないでください。護ってくれて、ありがとうございます」
今の私にはこうやって言葉で伝えることしかできない。
ただ、感謝していることがきちんと伝わってほしい…そんなことを考えながら前を向いた。
「悪いな、こんな時間に召集して」
「俺たちはいいけど、月見ちゃんまで連れてきちゃうとはね」
「ご、ごめんなさい」
夏彦さんの言葉に思わず謝ってしまったけれど、秋久さんが苦笑いしながらこちらを見ていた。
「別にお嬢ちゃんが謝ることなんて何ひとつない。ただ、ちょっと計画が狂っただけだ」
「計画、ですか?」
「こっちの話だ」
秋久さんの言葉に、春人さんが小さく息を吐く。
「それにしても、随分大胆な手法ですね。それほどまでに自信があるということでしょうか」
「多分な。だからお嬢ちゃんと甘栗を家に置いてくるのは危険だと判断した」
他の人たちが難しい話をしているなか、ひとりついていけず困ってしまう。
そんな私を見かねたのか、冬真さんが手招きしてくれた。
「ここで休んでて。あんまり一般市民が聞いていい話じゃないし、ここの方が多分甘栗も落ち着くから」
「ありがとうございます」
話を聞かせてもらえないとなると少し寂しい。
さっきの人たちの様子を見ていると、狙われたのが秋久さんだったとは思えなかったし、どんな人が何の為にやったことなのか気になる。
「甘栗、眠かったらゆっくり休んでいてくださいね」
甘栗も不安に思っているのか、全然寝る気配がない。
腕のなかで落ち着きなくずっと動いていて、なんとか落ち着いてもらえるように背中を撫で続ける。
「…お嬢ちゃん、少しいいか?」
「は、はい」
部屋を出ると、他の3人が真剣な表情で資料のようなものを見ていた。
今から何が始まるのか分からない分怖いこともあるけれど、とにかく話をきちんと聞くしかない。
「お嬢ちゃんにはずっとちゃんと話せてなかったが、さっきあいつらが俺のことを呼ぶのを聞いただろ?
だから、俺たちが何者なのかもう説明しようと思う」
「守護神、の意味ですか?」
私の言葉に春人さんが呆然とした様子でこちらを見ている。
「本当に呼ばれてしまったんですね」
「まあ、本名を開かせる仕事じゃないからな…」
悪いことをしているわけじゃないみたいなのに、どうして名前を隠さないといけないんだろう。
首を傾げていると、秋久さんが分かりやすく説明してくれた。
「単純にいうと、俺たちは4人で【カルテット】という組織として活動している。
依頼の受け口になるのは俺か冬真が多いが、誰かが欠けた時点で仕事が難しくなるチームだ。因みにこのことは殆どの人間が知らない」
そんなすごい話を聞いてしまって大丈夫だったのだろうか。
不安に思っていると、秋久さんは優しく微笑みかけてくれた。
「大丈夫だ。お嬢ちゃんが気にすることは何もない。今回狙われたのも、俺が油断していたせいだ。…すまない」
「謝らないでください。護ってくれて、ありがとうございます」
今の私にはこうやって言葉で伝えることしかできない。
ただ、感謝していることがきちんと伝わってほしい…そんなことを考えながら前を向いた。
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