243 / 385
秋久ルート
第9話
しおりを挟む
初めて入ったお店で、初めて見た世界にただ感動する。
「こういう場所に来たこと、なかったのか」
「ご、ごめんなさい」
「別に謝る必要はない。初めてなら、そんなふうに色々なものを見るのも不思議じゃない。
この場所にある店は店員を人柄重視で選んでるからな。おかしな絡み方をしてくるような奴はまずいないと思っていい」
「そうなんですね…」
世界は学歴重視、という言葉を聞いたことがある。
だから、私なんかがいてはいけないとずっと思っていた。
けれどもし、さっきの言葉が本当なら…この場所にいる人たちはとても幸せだと思う。
「泣いている人、いないんですね」
「誰でも楽しくいられるように、っていうのがこの場所のモットーらしい。この建物を貸し出してる奴は15の頃から社長だからな」
「社長って、1番偉い人なんじゃ…」
「認識としては間違ってないな。さて、用があったのはこの店だ」
美味しそうな食べ物が沢山運ばれてきて、食べている人たちも笑顔で…今まで生きてきたなかで、こんな世界を見たことなんてなかった。
絵本の中だけだったものが、今目の前にある。
そのことがすごく不思議だった。
「店主、来たぞ」
「なんだよ、来るときはもっと早く言ってくれればサービスしたのに…。お、もしかして守護神も隅に置けないな」
「別にそんなんじゃない。…いつものをふたつと特選を頼む」
「はいはい、了解。お客さんもゆっくりしていってくれ!」
「あ、ありがとうございます…」
【守護神】というのはどういう意味だろう。
よく分からなくて首を傾げていると、秋久さんが人からあまり見えない席へと手をひいてくれた。
「この店にはよく来るが、さっきの店長が作る料理が絶品なんだ」
「私も、食べてしまっていいんですか?」
「なんでそんな当たり前のことを訊くんだ…って、そうか。お嬢ちゃん、ここでは好きなものを食べたり飲んだりしていいんだ。
もうおかしな奴等の法則に縛られる必要はないし、もっと自由でいい」
好きなものを、好きなように食べたり飲んだりできる…まさかそんなことが赦されるなんて思わなかった。
あの人たちみたいに賢くないから、私が食べ物をもらえないのは当たり前のことで、仕方ないことだったはずなのに。
そう思っていたのに、どうして今こんなに嬉しいんだろう。
「ほら、しらす丼と特選な。今回のネタでたたけるといいんだけど、もう3日くらい姿を見てない」
「そうか。…そろそろ動くかもしれないな」
何の話をしているのか全然分からないけれど、目の前の料理が美味しそうだということはすぐ感じた。
食べてみてもいいのか迷っていると、秋久さんが優しく手を握ってくれる。
「お嬢ちゃん、苦手じゃないなら食べてみな」
「はい。…いただきます」
「こういう場所に来たこと、なかったのか」
「ご、ごめんなさい」
「別に謝る必要はない。初めてなら、そんなふうに色々なものを見るのも不思議じゃない。
この場所にある店は店員を人柄重視で選んでるからな。おかしな絡み方をしてくるような奴はまずいないと思っていい」
「そうなんですね…」
世界は学歴重視、という言葉を聞いたことがある。
だから、私なんかがいてはいけないとずっと思っていた。
けれどもし、さっきの言葉が本当なら…この場所にいる人たちはとても幸せだと思う。
「泣いている人、いないんですね」
「誰でも楽しくいられるように、っていうのがこの場所のモットーらしい。この建物を貸し出してる奴は15の頃から社長だからな」
「社長って、1番偉い人なんじゃ…」
「認識としては間違ってないな。さて、用があったのはこの店だ」
美味しそうな食べ物が沢山運ばれてきて、食べている人たちも笑顔で…今まで生きてきたなかで、こんな世界を見たことなんてなかった。
絵本の中だけだったものが、今目の前にある。
そのことがすごく不思議だった。
「店主、来たぞ」
「なんだよ、来るときはもっと早く言ってくれればサービスしたのに…。お、もしかして守護神も隅に置けないな」
「別にそんなんじゃない。…いつものをふたつと特選を頼む」
「はいはい、了解。お客さんもゆっくりしていってくれ!」
「あ、ありがとうございます…」
【守護神】というのはどういう意味だろう。
よく分からなくて首を傾げていると、秋久さんが人からあまり見えない席へと手をひいてくれた。
「この店にはよく来るが、さっきの店長が作る料理が絶品なんだ」
「私も、食べてしまっていいんですか?」
「なんでそんな当たり前のことを訊くんだ…って、そうか。お嬢ちゃん、ここでは好きなものを食べたり飲んだりしていいんだ。
もうおかしな奴等の法則に縛られる必要はないし、もっと自由でいい」
好きなものを、好きなように食べたり飲んだりできる…まさかそんなことが赦されるなんて思わなかった。
あの人たちみたいに賢くないから、私が食べ物をもらえないのは当たり前のことで、仕方ないことだったはずなのに。
そう思っていたのに、どうして今こんなに嬉しいんだろう。
「ほら、しらす丼と特選な。今回のネタでたたけるといいんだけど、もう3日くらい姿を見てない」
「そうか。…そろそろ動くかもしれないな」
何の話をしているのか全然分からないけれど、目の前の料理が美味しそうだということはすぐ感じた。
食べてみてもいいのか迷っていると、秋久さんが優しく手を握ってくれる。
「お嬢ちゃん、苦手じゃないなら食べてみな」
「はい。…いただきます」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる